歯医者になるためには、ある程度手先が器用でないといけません。私自身、あまり器用な方ではありませんが、それでも細かい物を作るのは結構好きです。歯科技工をした後、家に帰って気分転換のためプラモデルを作っていた時期もありました。
子供のころ、家が歯医者だったせいか、プラモデルや竹飛行機などは手先が器用になるということで、好きなだけ買ってもらいました。小学校前の文房具屋には文房具とともに、入り口右の棚には100-500円程度のプラモデルや竹飛行機のキットが売っていました。
竹飛行機と言っても今の人はピンとこないと思いますが、薄くて細長い紙袋を開けるとバルサ材の胴体とプラスティックのプロペラ、ゴムとあとは細長い竹ひごと真鍮のチューブ、そして薄い紙が入っています。設計図に合わせて、ろうそく、お湯で竹を柔らかくして曲げていきます。ここであまり力を入れるとポッキリと折れてしまいます。接続は真鍮のチューブに挟み込みペンチでしめます。胴体と翼は糸でしばり、さらに接着剤で固めます。翼には紙を糊で貼っていきますが、皺のでないように貼るのは大変難しいものです。こうした完成した機体を空き地で飛ばす訳ですが、ほとんどきれいに飛んだことはなく、いつのまにか壊れてお終いです。
「少年」や「冒険王」などの月刊誌には、色々な付録がついていました。この組み立ても結構むずかしく、はめ込み、のり付けの組み合わせで完成させていきます。ゴム動力によるレコードプレイヤーというのもありました。
凧の製作など、昔は子供の社会の中にも、器用、不器用がわかる遊びが多かったように思えます。竹飛行機など今の小学3、4年生で作れる子供はほとんどいないでしょう。プラモデル、竹飛行機、月刊誌の付録、駄菓子屋の型抜き、夏休みの工作など、男の子の器用さを求める遊びが多く、女の子もリリアン、編み物、刺繍などがありました。こうした遊びは今やすべてコンピューターゲームに移ったようです。そのため、うちの二人の娘も親から見ても器用か、不器用がわからないし、本人もそうでしょう。
歯科医や技工士のように器用さを要求される職業に、不器用なひとが就くと、かわいそうな結果になります。昔はクラスでも家庭でも、あるいは本人も自分がこういった物作りに器用が不器用かは色々な遊びや経験からわかったものですが、今の子供はこういったことがわかりません。
学校でも教材としてプラモデルでも作らせるか、あるいは夏休みの特別教室で、竹飛行機や真空管ラジオなど作らせたらどうでしょうか。弘前でも発明クラブがあってこういった活動をしていますが、あまり盛り上がっていないようです。技術立国日本、それを続けていくためには、頭脳だけではなく、手も動かせる人が必要です。こういった物作りの教育、特に手先の器用さを試す授業があってもいいでしょう。不器用とわかるだけでも教育となります。それにはプラモデル作りが色んな要素が詰まっています。設計図を理解する。パーツを切り離し、バリをとる。そしてきちんと組み立てる。さらに言うと規定された色を塗る。資料を読むなどがあります。工場生産のすべての過程が詰まっています。
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