椿山荘の読書灯 隣に迷惑をかけず便利
娘二人が昨年から東京と横浜に住むようになったので、一度、家内と一緒に鎌倉と東京を旅行しようということになった。初日は弘前から新幹線と東海道線、横須賀線を乗り継いで、鎌倉に着いたのは午後1時。駅前で昼食をとり、すぐに江ノ島電鉄の一日乗車券を買って、ホテルのある七里ヶ浜に着いたのが、午後2時半。江の電に始めて乗ったのが、40年前で、大船に住んでいた友人と流れ星を見ようと江ノ島に行った以来である。当時のことは全く忘れてしまったが、男同士で流れ星を見に行った淋しい思い出だけが残っている。
鎌倉プリンスホテルは駅から歩いて10分。海岸では多くのサーファーがいる。波も高く、確かにいいサーフスポットである。ホテルのバンケットホールが海岸沿いにあり、ここから斜めエレベーターで高い場所にあるホテルに登るようになっている。ホテルはリゾートホテルで、部屋からは江ノ島海岸が見渡せて美しい。すぐに再び江の電で長谷まで行き、鎌倉大仏と長谷寺を見た。小津安二郎の映画でよく登場する場所であるが、観光客の半分は外人で、韓国人、中国人、西洋人以外にもタイ人の姿が多く、えんじ色の袈裟を被ったタイ人僧侶が目立った。その後、鎌倉市に向かい、鶴岡八幡宮を訪れた時に雨が降り、川喜多映画記念館も見たかったが、5時で休館のため残念し、娘と待ち合わせの藤沢にまた江の電で向かった。藤沢は思った以上の大きな街であったが、とくに特徴もなく、居酒屋は客が多かったが、内容はおそまつであった。
次の日は、午前中ゆったりホテルで過ごしてから、東京に向かった。藤沢から湘南新宿ラインで新宿まで行き、そこからタクシーで宿泊先の目白の椿山荘に。椿山荘はフォーシーズンズの時から憧れのホテルであったが、この時期はパック旅行で安くなるため思い切って泊まることにした。荷物を置いて、今度は池袋のデパートに行き、さらに新宿で買い物をして再びタクシーでホテルに行った。椿山荘の内装は、リッツカールトン系とよく似ていて、韓国ドラマのお金持ちの家のイメージである。最近のホテルではネスカフェのカプセル式のコーヒマシンがあるが、前回、リッツカールトン(大阪)では有料かと思い、やめたが、今回はホテルの人に無料と聞いてから飲んだ。根がさもしいのか、どうもホテルの有料ドリンクを使う気にはならない。リッツではインターネットも有料(確か1000円くらい)であったが、ここは無料で、バスタオルも余分に一枚あり、朝シャワーを浴びた時に濡れたものを使わなくてすむ。ご多分にもれず、このホテルも外国人、ことに中国人が多いが、かなり旅慣れた人が多いため、ロビーでの喧噪はない。夕食は東京に住む長女と日本橋の「皆美」という鯛めしで有名な出雲料理の店に行った。さすがに鯛めしはうまいが、コースの最後の方に出てくるので、満腹で十分に楽しめない。茶碗で2杯分あるから、コースの終盤ではきつい。
最後の日は、東京の新宿に住む知人の案内で、椿山荘近郊、早稲田界隈を案内してもらった。永青文庫そばの小道を歩いていると、横の小さな神社で何かの撮影があった。ちらっと「奇跡の人」という脚本を見たが、宮本信子さんが演じていた。その後、知人の案内で、神保町の「鶴八」という寿司屋に連れて行ってもらった。昭和の匂いをぷんぷんさせた店で、店主と奥さん、座席は6つという小さな店である。握りがものすごく早く、さらに味は最高で、これぞ江戸前という手の込んだものである。前日の鎌倉の記憶が残っているのか、小津安二郎の映画、笠智衆がカウンターに座っていても違和感はない。こうした店も含めて最新のレストランから東京の食文化は深く、広い。その後、娘からもらった三陽商会のファミリーセールの招待券があり、会場はこの寿司屋から近い科学技術館でやっていたので、歩いた。三陽商会もバーバリーを扱ったころは多少興味があったが、今はマッキントッシュに変わったので、私は一切興味なく、家内はコートが6割引きということで、来年の冬用に購入した。
学会や所用で東京に行くことは多いが、今回は久しぶりに旅行だけなので楽しかった。それでもどこも人が多く、また年ごとに外国人が多くなり、田舎に住む私のようなものからすれば、どうも違和感がつきまとう。
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