2018年4月21日土曜日

鈍感な人間


 先日、昔、昔、48年前に亡くなった同級生のことを夢に見た。彼女は小学校5、6年の時のクラスメートで、僕が委員長をした時は、副委員長、副委員長をした時は委員長と交互に代わるような関係だった。成績がよくて、私立の女子中学校に行くとばかり思っていたが、どういう訳か地元の公立中学校に進学した。僕は、中学校が遠方だったので毎日6時に起きて、朝650分くらいのバスに乗った。中学一年の秋ころだったか、近所のバス停で待っていると、一度だけ彼女を見た。彼女はこちらのことを気づいていないのか、そのまま通り過ぎた。その半年後、小学校の知人から彼女が腎臓病、ネフローゼで亡くなったのを知った。僕の実家の2軒隣の病院で亡くなったという。わずか13歳の命だった。

 夢の中では20歳くらいに成長した彼女が教会の椅子に座っていた。「びっくりした。死んだとばかり思っていた」というと、彼女は笑って「死んじゃいないよ。今は名古屋の住んでるの」という。彼女は小学校の時は、非常におとなしく、ほとんどしゃべったことはなく、夢の中での饒舌な彼女に驚き、大人になって変わったなあと夢の中で思った。妙にリアリティーのある夢で、久しぶりに旧友になったような幸せな気持ちになった。

 この歳になっても、自分でなさけないと思うのは、人の気持ちにあまりに鈍感なことである。彼女の場合も、クラスの女子は皆、病気のことを知っていたと思うし、男子でも何人かは知っていたのだろう。ただ僕は全く知らなかった。亡くなるまで一切知らなかった。一番、残念に思ったのは、僕の実家の二軒隣の病院に入院し、亡くなったことだ。それこそ歩いてものの1分で会えた。少しでも彼女の病気のことを知っていれば、友人に聞くなりして小学校卒業後も彼女の経過を知っていただろう。彼女も広瀬歯科医院と看板があるので僕の家のことは入院中も知っていただろう。

 中学から高校まで毎日、六年間一緒に阪急電車で通学した友人がいる。数年前に彼と久しぶりの会った折、中学3年のころ母親が亡くなり、当時、父親と対立し、精神的にかなりやばかったことを初めて聞いた。この話を聞くまで、全く彼がそうなっていたことは気づかなかった。鈍感な人間である。表面的に何事もないように振る舞っていても、敏感な人であれば、彼の気持ちの乱れはわかったであろうが、僕はその後、30年以上経つまで気づかなかった。我ながら、人の気持ちがわからない鈍感な人間である。

 話が変わるが、テレビ朝日の女性記者が、財務省次官のセクハラを週刊新潮で暴露した。色々な問題はあるが、なぜテレビ朝日では自社の女性記者の訴えを取り上げなかったのか、疑問である。上司は女性であったという。先日、弘前の弁護士に聞いたところ、元財務次官が週刊新潮を名誉毀損で訴えれば、ほぼ勝つ(政務次官が)という。30年程前、ロス疑惑で三浦和義さんが殺人などで多くのマスコミで取り上げられた。その後、三浦が名誉毀損でマスコミ相手に数百の裁判を行い、ほとんど勝訴した。これが今でも判例となり、今回の週刊新潮の場合、民事では名誉毀損で勝てるようだ。調べると週刊新潮は多くの事件において名誉毀損で負けている。というより名誉毀損で百万円くらい払ってもまったく気にしない会社なのである。それに引き換えテレビ会社はこうした無法な方針は取れないので、女性記者のセクハラ問題を無視したのであろう。今回の場合も元財務次官は職を失ったばかりか世間的評判は一気に落ちた。これを金で換算するとどれくらいになるかわからないが、これまでの判例では支払額は数十万円から百万円くらいとなる。これが数千万から数億円になると週刊新潮でもこうした記事は書かなかったと思われる。

 セクハラといのうは、本人の気持ちの問題であり、同じ言い方をしてもセクハラと捉える女性もいれば、全く気にしない女性もいる。私のような鈍感な人物は、よくよく注意しないといけないことである。

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