私の診療所には多くのプリンターがある。まず顎運動測定装置用のプリンター、筋電図用のプリンター、デジタルレントゲン用のプリンター、受付用のプリンター、そしてメインの院長室のプリンター、計5台のプリンターがある。開業当初、レーザープリンターがよいと思い、キャノンのA4専用のビジネスプリンターを買った。結構高く、40万円以上かかったと思う。これを十年以上使い、その後、アップルの接続端子が変わったので新しいタイプのキャノンのビジネスプリンターを買った。Image Runner IRC2110というもので定価は確か40万円くらいしたが、安くしてもらい、それでも25万円くらいした。こうしたビジネス用のレーザープリンターはいずれもキャノンのオフィース設備関連会社から買ったが、いつの間にか、そうした会社もなくなった。
ビジネス用プリンターは使っているところが多いと思うが、問題は印刷費である。とくにインクトナーは驚く程高い。私のところでは2年間ごとに4色のトナーをそれぞれ交換し、各トナーがそれぞれ25000円くらいするため、交換の度に10万円近くかかることになる。カラーコピーで一枚当り10から20円くらいになる。この出費は大きい。
そこで登場したのが、エプソンのエコタンクシリーズである。これはプリンターの価格破壊と言ってもよい商品である。これまでキャノンを中心としたプリンターメーカーの商法は本体価格を下げて、カラートナーでもうける仕組みであった。プリンターを5000円で買ったのに、交換したカラートナーが5000円かかったという笑えない話もあるし、インクがなくなれば新しいプリンターを買う人もいる。エプソンのエコタンクプリンターの本体価格は、インクジェットプリンターにしては高い方だが、インクがなくなるとトナーを交換するのではなく、ボトルでインクを補充する。そのため、トナーを買う必要がなく、補充用のインクも安い。今度、診療所のプリンターのインクがなくなったら、このエコタンクプリンターに交換しようと待っていたが、ようやくインクがなくなったので、エコタンクシリーズでは一番、大型のEW—M5071FTを購入した。
M5071はA3までに印刷できるインクジェット複合機で、値段はヤマダ電気でちょうど10万円だった。印刷コストはカラーで一枚0.8円、白黒0.4円で、これまでのレーザープリンターの10-20分の一コストである。本体は20kgあるので二人がかりで3階まで運んでくれたが、接続は本当に簡単で、まずタンクに4色の液を注入し、その後は30分くらい運転準備をし、エプソンにHPからドライバーをダウンロードすれば、無線ランで簡単に繋がる。
一番心配していたのが印刷速度で、カタログではカラーで約10ipmとなっていてはっきりわからないが、一分間に10枚であればレーザープリンターの半分くらいとなる。印刷速度が遅いのはいやだなあと思っていたが、医院の標準的な文書を数枚印刷したところ、ファーストプリントタイムも早いし、実際の印刷も早い。その後、普通紙に写真を全面印刷したが、これもそれほど時間はかからず、印刷速度については通常のオフィースで使う分には全く問題はないように思える。画質のついてはエプソンの写真用最高機種のPX5VIIをデジタルレントゲン用のプリンターとして使っているが、このプリンターで印刷したカラー写真に比べるとかなり劣る。ただ前まで使っていたレーザープリンターと比べると画質は違うものの、どちらもこんなものかというレベルで、印刷費を考えれば十分に納得できる。
プリンターの印刷コストが1/10から1/20になるということは、経費削減が叫ばれる昨今の会社でも大きなメリットである。うちでも10年間のプリントコストが本体価格25万円にトナーを4回交換したので40万円、計65万円、年間6.5万円かかったが、これが本体価格10万円にインク代2180円×10回、5年で交換しても年間のコストは2.5万円くらいと1/3くらいになる。コスト的に最も大きなメリットがでるのはビジネス用であるが、本丸のビジネス用エコタンク搭載プリンターは、今のところ、今回買ったM5071FTと用紙容量の少ないM970A3Tしかない。おそらくM5071FTより印刷スピードと耐久性がもっと上がったインクジェットプリンターPX—M7110Fのエコタンク版が将来でるであろうが、これが本丸中の本丸で、ある程度の会社ではこれで十分となる。印刷速度が一分間に20枚以上、耐久枚数が60万枚、印刷コストがカラーで0.8円、本体30万円以内であれば、これまでレーザープリンターを使っていたオフィースでもエコタンク内蔵型プリンターが標準になるかもしれない。うちの場合は、毎日20-30枚,月で600-700枚、年間で8000枚くらいとなる。この規模であれば、M5071で十分であろう。
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