2018年9月16日日曜日

臥蛇島 自衛隊




 今朝の産經新聞のニュースで、離島奪還の訓練地として鹿児島の臥蛇島を防衛庁が検討していることが載っていた。自衛隊は中国、韓国による離島防衛あるいは奪還を目的として垂直離着陸輸送機オスプレイや水陸両用車の装備、さらには強襲揚陸艦の導入計画があり、日本版海兵隊の新設も行ってきた。ただ適切な離島訓練地が国内にないため、これまでアメリカの基地で訓練を行ってきたが、期間や経費がかかることから、国内の訓練地を探し、その候補となったのが鹿児島県十島村臥蛇島である。

 臥蛇島は以前、人が住んでいたが、昭和45年から全世帯が移住して無人島となっている。面積は4.07km2で、周囲は9km、最高標高は487mとなる。これは日中間で紛争となっている尖閣列島最大の島、魚釣島に近い。魚釣島は面積3.82km2で、周囲は11km、最高標高352mである。どちらも海から切り立った断崖に囲まれ、港となる場所は限られ、攻撃、防御とも難しい。

 1990年、鹿児島大学に勤務していた頃、十島村巡回診療のため4度ほど口之島、中之島、平島、諏訪之瀬島、宝島、小宝島などの島を訪れたことがある。現在、人口は733名、一番人口が多いのは中之島で155名、少ないのは小宝島で49名、臥蛇島、小臥蛇島、上之根島、横当島は無人島となっている。臥蛇島以外の島はもともと無人島で、ここに人が住んだ記録はないが、臥蛇島は戦前、カツオ漁が盛んで100名以上の住人がいた。中之島は何度か泊まったが、海岸沿いの港近くに隠れた公営温泉がある。ここからは沖の臥蛇島も見えるし、トビウオ漁などはこの島の近くまで行くのであろう。私が行っていたときは、一部の島、小宝島などは艀を使っての上陸で、波が1m以上上下する中を艀に乗るには勇気がいった。それでも波が2m越えると上陸できない港もあり、最高1週間以上、船が来なくて島に閉じ込められたことがあった。

 今回、自衛隊が訓練地に使うということだが、その場合に、臥蛇島に自衛隊が常駐することになると思うが、かって人が住んでいた点、電気、水道などのインフラは何とか整備できるであろう。また中之島までの20kmを連絡船で繋げば十島丸による定期連絡船を使え、臥蛇島にそれほど大型船の着岸設備は必要ない。ただ臥蛇島は周囲が豊富な漁場だけに、訓練地として爆撃、砲撃があるなら、当然、中之島を中心とした島民への漁業補償や十島村のインフラ整備(港、船)などの援助が必要となろう。かってヒッピーは住んでいた諏訪之瀬島を除くと基地、訓練地反対となる住民は少ないと思われる。あと、これは全く根拠ないが、鹿児島、東京から沖縄への飛行航路は、十島村上空を通る。もちろん現在の飛行はすべて自動運行でルートが決まるが、有視界で中之島、諏訪之瀬島、宝島は上空からの大きな目印となる。離島奪回の訓練には多くの戦闘機も参加するため、こうした民間飛行のルートになる場合は問題となるいかもしれない。

 ついでに言うと、ミサイル迎撃システム、イージスアショア配置の候補として秋田県の陸上自衛隊の新屋演習場を候補にしているが、ここはあまりに秋田市内に近く、当然、反対の声は大きい。むしろ秋田県なら航空自衛隊の加茂分屯基地や内陸になるが三種町の秋田射撃場、あるいはいっそ基地防衛設備も含めると青森県の車力分屯基地の方がよい。車力基地にはパトリオットミサイルやアメリカ軍のXバンドレーザーもあり、かなり強力は防御施設がある。青森県にはむつ市の釜臥山山頂に通称、ガメラレーダーがあり、これにイージアショアの基地ができれば、青森県は日本最大の防衛拠点となる。日本ではごねれば金になる風潮があり、人口のほぼ同じ沖縄県(142万人)と青森県(138万円)を比べると沖縄県の一般会計は7310億円に対して青森県は6846億円、歳入をみると、沖縄県の県税は1239億円、地方交付税が2030億円に対して青森県は県税が1167億円、地方交付税は2142億円で差はないが、国庫支出金が沖縄では1993億円に対して青森県は1044億円で950億円の差がある。これが沖縄振興交付金の差なのだろう。金をよこせとは言わないが、青森県には本土最大の米軍基地である三沢基地、海上自衛隊の大湊基地はじめ多くの基地があり、せめて日本の防衛に大きな貢献をしている点はわかってほしい。

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