昭和大学医学部、東京医科大学の入試不正の問題が話題となっている。例えば、東京医科大学では一次試験では理科、外国語、数学の試験があり、それを通った者が二次試験に進むが、二次試験では小論文、面接、適正検査となる。このうち小論文(100点満点)で点数に全員、0.8を掛け、減点した上、現役と二浪までの男子は20点加点、三浪男子は10点加点、四浪以上と女子には加点なしと操作していた。昭和大学でも現役と一浪には加点するが、二浪以上は加点せず、補欠合格選定に際しても大学卒業者の子弟を優先していることがわかった。
不公平というのが世間一般の声であるが、海外を見渡すとこうしたことは当たり前にあり、特にアメリカの名門私立大学がひどい。有名な話としてブッシュジュニア大統領はイエール大学、ハーバード大学大学院を卒業したが、とても入学できるような成績ではなく、名門ブッシュ家の七光りと多額の大学への寄付で、こうしたことが可能となった。大学としては多くのコネを持つ家の子弟は優先すべき対象だし、寄付の多いところを優先するのもひどく当たり前のことと考えている。こうした不公平はあまり問題となっていない。またイギリスでもオックスフォードやケンブリッジ大学では入学にあたり面接を重視する傾向があり、どうしても親が代々、卒業している名家が優先される傾向がある。一方、貧困層ははなからこうした大学に入ろうとしない。
これはもう40年以上前のことで時効であるが、私が受験したある私立の歯科大学では、この大学の子弟のみを集めた一週間ほどの夏期講座があり、ここでの模擬試験(数学)がそのまま本番の入試にもでた。私の場合は本番でも同じ問題を間違えたが。もう一つの大学では、一般入試の英語が物凄難しくして最高が60点、平均が20点くらいにして、実技試験と面接の点数を多くしていた。理事長が親父の友人だったので、面接は昔話で終わった。いずれも卒業生を重視した試験であった。一般大学と違い、歯科、医科大学の卒業生は、卒業後も何かと集まりが多く、さらにやれ50周年記念とか新校舎を作るとかの度に寄付金が集められる。さらに歯科医師会や医師会の講演に卒業学校の教授を招くこともある。
こうした不正は世の中にはたくさんあり、それをいちいち間違っていると指摘するのは正しいのかもしれないが、かえって社会にひずみが出る場合がある。医学部入試が難しくなり、子弟が医学部に入学できなくなったため廃業に追い込まれる医院は地方には本当に多い。親が医者で、跡を継がなければいけないので、子供は地元の病院、医院に帰るのだが、そうでなければ、誰も地方には行こうとはしない。あまり頭が悪い子弟が医者になるのは困るが、昭和大学のように子弟をある程度優先するのは必要悪かもしれない。昨今は優秀な学生は、収入のよい医学部に進学することが多いが、数学が極めて優秀な生徒はできれば理学部に進学して、将来的にはノーベル賞をとってほしい。正直なところ、頭がよいだけでいい医者になれるかは疑問であり、親が医者である場合の方が私の知っている限りいい開業医になっている場合が多い。確かに学力のみで合否を判定するのが、最も公平なやり方かもしれないが、自分が患者となった時のことを考えると、高校、中学で最も成績のよい同級生を思い浮かべればよい。果たしてその同級生に命を託せるか。あいつにはと思うこともあろう。ただ現行の入試では、成績トップから医学部を受験し、医師になる。むしろ入試点数は7割くらいで、残りを高校時代の部活動やボランティア活動などの内申と面接で決めた方がよい。確かに男女や現役、浪人による差をつける必要はないが、子弟、学校や地方自治体の強い推薦(町の唯一の診療所の子弟など)については多少優先してもよかろう。
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