2018年10月4日木曜日

東京は高い

東京のプティックホテル

弘前、偕行社(改装前) おそらく費用は数分の一


 娘の結婚式で東京に行った。昔は、学会の会議のため、二年間、毎月、上京していたが、最近では年に二、三度が一杯である。お上りなので、行く度に、話題地を訪ねるようにしていているが、混雑を避けて1、2年経ってから行くことにしている。今年の春にはスカイタワーを、今回はギンザ6に行った。どちらも人ごみは少ない。結婚式場は、娘の希望で渋谷表参道のトランクホテルという今流行のところだった。昔のシティー、ブランドホテル、今ではプティックホテルというそうだが、それほどたいしたことはない。全体の雰囲気は私の好きな現代美術館風、ブルータス風と言えるのだが、どうもしっくりこない。一つは渋谷の込み入った区画にあり、周辺の環境がよくないためである。宿泊していたホテルニューオータニには大きな日本庭園があり、ロビーも広くてゆったりしている。そうした環境面では劣る。例えば、弘前にある日本陸軍将校の懇親場であった偕行社がもう少しすれば、修復が終わるが、こうした伝統的な西洋建築の方が結婚式場としてはよほどよい。赤坂迎賓館など最高なのだが。

 料理も緑を基本色としたおしゃれなものだが、相当高いものなのだろう。東京に行き、最も腹が立つのは、食べものが高すぎる。寿司など一人前、二万円が普通、高い所だと三万円以上する、フランス料理、イタリア料理、日本料理もこれくらいする。もちろんこの値段の値するサービス、内容の店も多いが、けっこうがっかりする店も多い。寿司でも最近では回転寿司でおいしいところも多く、腹一杯たべても2、3千円くらいである。さすがにこの十倍の価値があるかといわれれば、ミシュランの三ツ星レストランでも厳しい。もちろんこうした比較自体がおかしなことはわかるが、少なくとも値段が十倍であれば、味が同じレベルではよくない。

 私は生まれが大阪なので、つい物の価値を比較で考えてしまう。23000円の回転寿司と比較して、高級寿司に3万円払う価値があるかというである。おそらく感動するほどおいしく、年に一回でも食いたいと思えば3万円払っても食べるであろうが、そうでなければ、食べることはない。ここ数年の価格破壊競争はすべての分野において、低価格品の高品質化が行われ、安くてもいい商品が多くなっている。そうなると高いものと安いものの差が小さくなり、結果、高級品は衰退する。それでもギンザ6が存在するのは、高級品を求めるお客がいるからであり、こうしたお客は商品の内容よりは、名前、所有欲を求めるからであろう。

 東京で2、3万円の寿司を食べて、さすがにまずいところはないし、仮に感動するほどうまくなくても、せいぜい失う金は数万円である。また高級プティックでブランド服を買っても数十万円であろう。ところがもっとも東京で恐ろしいところは、歯科医院である。変な歯科医院に行くと、院長の口車に乗せられ、すべての歯に治療必要、矯正治療、インプラント、補綴と、総額数百万円ということになる。日本には世界に冠たる健康保険制度があり、もともとの基本治療費が非常に安い上に、患者の窓口支払いはその30%となる。例えば、ある補綴物の保険治療費を100とすると、患者の支払いは30に対して、それを自費で治療した場合は500、さらにボッタクリ歯科では1000くらいとなる。患者の支払いは30倍以上となる。寿司でいえば、2000円の回転寿司の30倍、6万円の寿司となる。もちろん6万円の寿司屋でまずいところはないが、歯科医院ではかなり問題があるところもあり、一種の詐欺に近い。こうした歯科医院は東京では普通にあるし、外見やネットの評判ではわからない。地方では寿司の例でいえば、せいぜい1、2万円が上限であり、あまりに高い費用を提示するとあっという間に口コミで高い歯科医院ということになってしまう。

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