2018年12月5日水曜日

中国人の青森観光


藤田健一と孫文

 弘前市でも中国からの観光客を本当に多く見かけるようになった。天津からの定期便が青森空港に来るようになったのも一つの要因かもしれないが、今や中国からの観光客もリピーターが多くなり、最初は東京、京都などを巡るが、二度目からはあまり中国人の来ないようなところを選ぶ。例えば、北海道で自然を楽しみ、その後に弘前市、さらには温泉に来るツアーもある。また青森県内でゴルフやスキーなどを楽しむ人もいる。

 先日、中国から来た留学生と話すチャンスがあった。どこから来たかと聞くと、安徽省からと答えてくれた。安徽省といっても漠然として大きな都市も思いつかないが、ウエキペディアで調べると、中国の東部で、省の人口は6250万人、合肥市は人口745万人、阜陽市が760万人六安市が560万人、他には300万人以上の都市が6つもある。日本の大阪市が269万人、名古屋市が229万人、横浜市が372万人と考えると、安徽省だけで大阪、名古屋、横浜市以上の都市が9つもあることになる。合肥市を含めて安徽省の都市名を知っている日本人はどれだけいるだろうか。私も中国は詳しい方だが、ほとんど初めて聞く都市名である。他の中国人に聞いても安徽省はあまり有名な都市がないと言う。

 現在、青森空港と中国の天津市との間に定期便がある。天津市というと人口は1557万人で、東京を上回る大都市であり、人口30万人足らずの青森市の50倍の規模となる。旅行ツアーを調べると1週間くらいのツアーで大体5000元、日本円で80000円くらいとなる。2016年度の天津の平均月収は5250元であり、日本へのツアー料金はほぼ月収に匹敵する。青森県の平均月収が23.5万円であることから、この金額程度のツアーと考えて良い。多分、青森の人がハワイに行くくらいの感覚で、もはや決して贅沢な旅行ではなくなっている。それでも天津市だけでも1500万人以上いて、まだまだ海外旅行に行った人は少なく、一度は海外旅行したいという人は多い。さらに中国の賃金は上がるにつれ、また為替で元高になれば、ますます海外旅行は気安くなるだろう。

 青森県には中国人の喜ぶものがたくさんある。まずお城。中国にも歴史的建造物は多いが、日本の歴史的なものも好きである。次に桜。弘前の桜は日本一であり、日本=桜のイメージを持つ中国人も多く、有名である。さらに雪、魚(マグロ)、リンゴ、温泉、神社(岩木神社、岩木山)、自然(十和田湖、奥入瀬渓流)、紅葉など、これらは中国にはないものである。さらに言うと、東京などの大都会に比べて物価が安く、旅館、ホテル料金も安い。家の近くにある、メガという大規模ドラッグストアには、中国人ツアーの団体客バスが横付けされ、皆さん店内で買い物をしている。今でも日本人が台湾ツアーにいくと免税ショップなどに案内され、高い買い物をさせられるが、メガのように他で買うより明らかに安いディスカウントショップに案内されるのだから、ぼったくりもなく満足するだろう。

 中国人観光客の多くはスマホ片手に熱心に観光しており、よくこんな店を知っているなあと思われるようなところに出現しているが、それでもまだまだ中国語による発信は少ない。以前、弘前コンベンション協会を通じて、藤田庭園にある洋館に藤田謙一さんと孫文が写っている写真を展示するように求めた。管理している弘前市緑地課で協議することになったが、すでに1年以上経過し、ボツになったのだろう。中国人観光客にすれば、藤田と建国の父、孫文との写真があるのは非常に興味を持つものである。逆の場合も考えれば、日本人が中国に行って、田舎の街の博物館に西郷隆盛と一緒に写った中国人の写真があればびっくりするだろう。同じことである。この集合写真は、撮影場所である田中邸について、その子孫から確認しているし、写真の版権についても神戸の孫文記念館から許可を得ているが、おそらく専門家の確認がなければ、展示できないのだろう。写真は中国の中山大学にも送っており、神戸の孫文記念館でも確認されており、他にどこに確認をするのだろうか。

 話が逸れたが、こうした中国人からの観光の流れは、もはや引き戻ものではなく、ますます重要なものとなってくるだろう。東北でも青森県は中国観光客にとって、最も魅力的なところであり、弘前市でも官民一体となって様々な戦略を立てる必要があろう。

*その後、弘前市緑地課のご尽力により、孫文と藤田謙一の写った集合写真は、藤田記念庭園洋館に飾られることになった。弘前コンベンション協会始め関係各位に感謝いたします。5月の大型連休には、洋館内展示室にて展示していますので、一度見てください。

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