2018年12月1日土曜日

日本の人気画家(現代絵画)





 オークションでの売れ行き=作家の人気ではないが、一つの目安として世界のオークションでどれだけ高値で取引されたかを知ることで作家の人気がわかります。2017年の現代絵画のオークション売上高のベスト500が発表されていて、その中にある日本人作家を書き出してみます。

7 奈良美智 35878411ドル
25  村上隆   8059701 ドル
81  杉山博司   2213086ドル
91  千住博   1778587ドル
131 名和晃平    1111765ドル
146 タカノ綾  958185 ドル
149 石田徹也    9411494 ドル
199 Iwamoto Masakazu  666094ドル
223 サイトウマコト 578242ドル
357 大岳伸朗 317528ドル
368 有元利夫 307660ドル
371 ロッカクアヤコ304378ドル
387 加藤泉    290032ドル
409 五木田智央 270038ドル
457中島千波 236292ドル
469 塚本智也 231487ドル
498 智内兄助211066ドル

 弘前市出身の奈良美智さんが7位に入っているのはすごいことです。現代アート作家として世界的な評価を得ていると言ってもいいでしょう。意外なのは、146位のタカノ綾さんで、10年前くらい前までは、日本で最も個展で早く売れる作家として話題になりました。個展をオープンすると、若い女性が殺到してわずか数分で展示作品がソールドアウトという状態でした。それでも価格は20-30万円くらいだったでしょう。今は多分10倍はしますので、ラッシュして買った方はいい買い物をしました。実は私も6、7年前にタカノ綾さんのリトグラフを2枚、それぞれ1万円ほどでオークションにて買いました。今は数倍するでしょう。彼女も世界的な評価を得ていることになります。

 2020年にオープンする弘前芸術文化施設、設計は現代若手建築家の中では最も期待されている田根剛さん。そこに奈良美智さんの常設の大きな展示があれば、世界中から観光客が来るかもしれません。各地に美術館が建てられ、多くは現代美術館という名称を用いていますが、あそこに行けばこれが見られるというウリが少ないようです。松本市美術館は草間彌生ファンにとっては重要な場所ですし、洋画家の松本竣介の絵は子供時代いた盛岡市の岩手県立美術館に多くあります。是非とも弘前の美術館に来たら奈良美智さんの作品を堪能できたと言われるようになってほしいものです。同時に、小中学校の美術コンクールや養護学校の作品展など身近な行事も、工夫して展示してほしいものである。あまり話題になっていませんが、東京の銀座ナインでも青森県立美術館でもそうですが、最近は雑貨ショップで作家の一点ものの作品が売られています。高くても数万円くらいのものですが、作家にとっては自分の作品がどれだけ売れるかを試すいい機会となります。これまで画廊などでした販売ルートがなかった中、こうした別の販売ルートがあることは作家さんにとってもいいことだと思います。例えば自分の作った農産品を道の駅で売るような、若手の作品を持ち込めるようなショップが弘前の新美術館にあったらいいと思います。

 美術館の別棟には、アップルシードルを主体としたレストランが併設されるようです。これも期待大で、夏には野外映画も是非とも開催してほしいところです。フェデリコ・フェリーニもいいのですが、ここは明るく“ロシュフォールの恋人たち”はどうでしょう。ビール、ワインを飲みながら、最高です。また田根さんが、あのレンガ倉庫にどう改築して、建物と市民が持つ過去の歴史をどう記憶させるか、本当に楽しみです。まったく新築でないため、難しい挑戦ですが、これまで日本に大きな作品がないだけに、田根さんの日本での代表作になるような建物になってほしいものです。

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