滋賀県大津市で、幼児に車が突っ込み、2名が亡くなる痛ましい事故があった。その前には老人による子供と母親が交通事故死する悲惨な事故があったが、こうした車が歩行者をはねる事故が後を絶たない。うちの次女も子供の頃、近所の横断歩道を青信号で歩いていると、信号無視の車にはねられた。幸い大した怪我もなくて、良かったのだが、その際に、警察で言われた言葉に違和感を覚えた。警察官は、「青信号で渡る時の左右をよく見て渡るようにお子様に伝えてください」という。確かにそうではあるが、青信号で渡るときに左右をよく見ないで渡れない方がどうかしてしている。私も、自宅から診療所までわずか8分ほどだが、歩いて通っている。2つの横断歩道があるが、今まで車に轢かれそうになったことが、数回では及ばない。多くは右折車が突っ込んでくるもので、一番ひやっとしたのは、歩いている前、1mくらいをかなりの速度で車が突き抜けたことがあった。流石にカッとしたが、横断歩道を歩いている人と人の間が3m開けばそこに突っ込んでくる車が絶えない。
また実際に青信号を渡っている自転車に車がぶつかったことを二度ほど遭遇した。買い物を後ろに積んだおばさんにタクシーが当たり、自転車は曲がり、買い物品は付近に散乱した。タクシーは一瞬止まり、おばさんに怪我がないのを知ると、そのまま行こうとする。私が引き留めると、『お客さんを乗せているので』とそのまま去ろうとするし、おばさんは荷物を片づけながら『大丈夫です』というので、第三者のこちらは何も言えず、そのままとなった。2回目はこれもタクシーが右折しようとして女子高校生の自転車にぶつかった。高校生には怪我がなかったが、自転車の前輪は曲がっている。タクシーの運転者が降りてきて、何をするのかと思うと、前輪を股の間において、手で曲がった前輪を直している。そして『治ったよ』といってそのまま立ち去った。
こうしたこともあり、私は青信号でも左右どころか前後もしっかり注意して渡ることにしている。さらに知人の外国人は青森のドライバーマナーは最低なので、傘を持っている時は、前に出して横断歩道を渡ると言っていたので、これを真似して、長傘を前に出して歩くようにしている。何度、傘に触れそうになって急ブレーキを踏む車があった。ドライバーから見れば変な人と思われるが、それでも傘の長さくらいの隙間に突っ込むドライバーの方がどうかしている。こうした無茶な突っ込みをするドライバーは、変な人かと思ったが、若い男女から年配の方まで種々で特徴はない。強いて挙げれば、30から50歳くらいの女の方が多い。
こうした歩行者軽視の社会は、それだけ市民の民度が低いことを示しており、インドに旅行した時は、歩行者にはクラクションでどけどけと脅していたし、車が人にぶつかると、逆に怒っていた。今はそうでもないと思うが、中国でもそうだった。つまり車に乗っている人は、俺は金持ちで、歩いているのは貧乏人という感覚なのだろう。貧乏人は文句を言うなということである。弘前市のドライバーマナーからみる民度はインドより少しマシな程度であろう。それでは東京や大阪はどうかというと、弘前市よりはマナーはマシではあるが、そもそも東京の池袋の事件でもそうだが、都心部で車を乗ること自体問題である。ヨーロッパの多くの都市では、都市の中心部には許可車やバス、路面電車以外に入れないようにしており、自転車と歩行者優先となっている。こうした取り組みは日本でも時折あるが、恒常的に行っている町は知らない。車に乗る人からすれば、随分と面倒と思うかもしれないが、地下鉄、バスなどが発達している都市部で、一般人が車を乗る理由は少ない。
田舎では、バスや電車がなく、車がないとどうしようもないところもあるが、それでも今のままの交通マナーでは、死亡事故は減らない。まず車自体の対策としては、追突防止などの安全機構を持つ車の車両保険とそうでない車では差をつけることが考えられる。実際に保険会社の資料によれば、明らかに安全機構を持つ車の事故は少なく、その分保険料を安くすることは可能である。もう一つは取締りの強化である。警察としては人員も少なく、なかなか取り締まりも難しいので、これは市民のタレコミを積極的に活用すべきであろう。暇な老人も多く、交通事故が多い、交差点を始終スマホで撮影する人も出よう。その動画で明らかに違反、スピード違反、信号無視、危険運転などがあれば、即刻、警察に出頭させて、罰金、減点などを行う。また信号機には防犯カメラを設置して活用する手もある。ドライブレコーダーがあれば、それも証拠にすべきであり、メーカーもデーターは一週間、消去できないようすべきである。こうした密告制度が多くなると、町中が警察の取り締まりと同じ状況となる。確かに車とナンバーが写ってもドライバーが特定されないという声もあるが、それでも家に信号無視なので出頭するようにと警察から電話が来るだけで、かなりビビるだろう。
そろそろ日本でも、歩行者優先の制度を本気で考える時代が来ているのではなかろうか。外国人の中には、日本はおもてなしの精神、人々はあたたかく、町は綺麗なのだが、どうして交通マナーは未開発国並みだと言う人がいる。車というのは相撲取り十人以上が数十キロで突進する動く凶器という点を考えれば、少しは銃器のような取り扱いは必要であり、歩行者優先、脱クルマに向けた政府の取り組みが必要であろう。
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