2019年7月19日金曜日

京都のお座敷遊び



 知人が京都の祇園で、お座敷遊びを堪能したようで、四人で2時間のお遊び代が50万円以上すると聞いて驚いた。一人10万円以上、毎日通えば月に300万円、一年で3600万円、10年で3億六千万円。実際、贔屓になれば、これほど費用はかからないが、それでも同伴もあるし、心づけも多くなり、相当、金がかかる遊びであることは間違いない。誰がこうした遊びをするのだろうか。かって東京の永田町界隈には多くの料亭があり、政治家が密談したが、今ではそうした料亭も次々となくなっている。また今の大企業の社長といっても、多くはサラリーマン社長で、確かに役員としての給料は多いし、交際費も多いが、元々は新入社員から社長に登りつめただけであり、それまではそれほど給料も多くない。こうしたサラリーマン社長は、若い時から祇園でお座敷遊びはしていないし、社長になって、利用することがあっても、実際にそうした遊びが楽しいかわからない。さらに定年後はそうしたところに行ける金はない。また陶器や絵画を集めるような趣味もないだろう。昔のいわゆる金持ちの道楽、芸者遊びや骨董集めなど、金と暇、そして長い時間がかかるものについて、今は大企業のサラリーマン社長には全く関係ないものになっている。それではIT企業のオーナ社長など、自分の能力で金を稼いだ人物がこうした場所を利用するのか。外国人の接待にこうしたお座敷遊びを選ぶ場合もあろうが、回数からすればしれたもので、むしろ気の利いたフランス料理、イタリア料理あるいは創作日本料理などを選ぶであろう。それほど大した料理でもないものを食べ、芸者の踊りを見て数十万円の出費はいくら金持ちでも、贔屓にはならないだろう。つまりお座敷遊びをして大金を使う人は急速に減っているのだろう。私は63歳であるが、昔であれば50-60歳代がお座敷遊びのメインであったろうが、周りを見回してもそんな人はいない。

 40年ほど前であれば、女の子にマンションを買って、次々のおこずかいを与える人は周りにもいたが、そうした手合いも最近ではとんと聞かない。金がないのではなく、そうした面倒を背負いたくないのであろう。弘前でも鍛冶町という繁華街があるが、近年の凋落ぶりはひどい。20年前まではスナック、キャバレーやクラブなどもたくさんあったが、今はかなり少なくなり、居酒屋や食べ物屋に変わっている。この流れは全国中で起こっており、どこも若い人がスナックなどに行かなくなった。当然、その延長で京都に祇園にお座敷遊びをする人もおそらく激減していると思う。

 それでも京都だけはまだ芸者、舞妓さんもいる方で、それだけ利用があるのだろう。多分、水商売という範疇ではなく、一種の芸人になっており、何かの大きなパーティーの余興や、記念に呼ばれるのだろう。芸人であれば、人気の度合いで報酬も違うが、祇園の芸者さんでは、誰が来るかわからない場合でも、一定の費用がかかる。いわば祇園の芸者さんというブランド代なのだろう。芸人さんを出演料50万円でパーティーに呼ぶのに誰が来るかわからないことはあり得ないが、祇園ではそうしたことが許される。これはある意味すごいことだが、個人の遊びとして、お座敷遊びはもはや絶滅種であろう。

 津軽の手踊りは京都の方から見るといかにも下品ではあるが、芸人という観点から見れば貴賎の差はなく、私は三味線、歌い、太鼓も含めて津軽の手踊りに色気を感じる。

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