ノーベル賞の季節も終わり、結果的には日本からはノーベル化学賞に吉野彰さんがめでたく選ばれた。発表前には、毎年、多くの候補が挙げられ、喜怒哀楽が見られるが、意外に日本人の候補者は毎年多い。
ケムステというブログでも受賞前に2019年度のノーベル化学賞の予想を行い、157名の科学者の名を挙げている。もちろん日本人による予想のために、日本人の候補者は多く、29名いて、吉野彰の名もある。
今回は、この157名の科学者のうち、日本以外のアジアの科学者を見てみる。まず有機化学の分野で多糖合成法への貢献としてChi-Huey Wong(翁啓恵)がいる。彼は1948年、台湾生まれのアメリカで研究し、現在は台湾大学にいる。分析化学では無細胞胎児DNAの検出による出生前診断法の確立でDennis Yuk-ming Lo(盧 煜明)がいる。1963年、中国、香港生まれの科学者で、オックスフォード大学で学び、今は香港中文大学にいる。生化学の分野では、ゲノム編集技術CRISPRの開発に、Feng Zhangがいる、今年、最も期待されていた分野である。1981年、中国生まれの若い学者で、今はハーバード大学にいて、国籍もアメリカ人になっている。さらに光合成系巨大タンパク複合体の構造解析ではJian-Ren Shen(沈建仁)がいる。1981年、中国で生まれた科学者で、東京大学で学び、今は岡山大学にいる。高分子化学の分野では、RAFT重合法の開発で、San H. Thangがいる。1976年にベトナムで生まれたベトナム人で、サイゴン大学卒業後、オーストラリアで学び、今はオーストラリアのモナーシュ大学にいる。材料化学の分野では、メソポーラス無機材料の合成および機能開拓でRyong Ryooの名がある。1957年、韓国生まれの科学者で、現在は韓国科学技術院にいる。また有機エレクトロミネッセンス材料の開発では、Ching W. Tang(鄧青雲)の名がある。1947年、香港生まれの中国人で、ブリティッシュコロンビア大学を卒業後、イーストマンコダックに勤務し、今はロチェスター大学にいる。アメリカ国籍をとる。エネルギー化学の分野では、ペロプカイト型太陽電池に開発と応用で、Nam-Gyu Parkの名がある。韓国の科学者で、ソウル大学を卒業し、今は成平館大学にいる。
化学賞の候補者には中国人が4名、韓国人が2名、台湾人、ベトナム人が1名ずつとなっている。微妙な点は、中国人のうち、2名は香港生まれ、1名は日本に在住、1名はアメリカ国籍になっている。純粋に母国で教育を受け、そのまま母国で研究活動をしている科学者は少ない。
これはあくまでノーベル化学賞の候補であるが、157名中、日本人が29名、中国人が4名、韓国人が2名、ベトナム、台湾人が1名となる。2001年以降の国別ノーベル賞受賞者(2018年まで)は147名中、日本は18名、中国が1名なので、物理学や医学生理学でも同じような候補者比率なのだろう。候補者の比率からいえば、日本人は18.4%、中国人は2.5%、韓国人が1.3%で、毎回、自然科学系の受賞者が9名とすれば、日本人は毎年1名いてもおかしくはない。一方、中国人は5年に1名くらいは、韓国人も10年に1名くらいでる可能性がある。
中国、韓国のようなコピー文化がはびこる所ではなかなかノーベル賞に値する研究成果はでないと思うが、もともと優秀な人物が外国、特にアメリカで研究するとなると話は違い、おそらく近い将来、アメリカ留学の中国人、韓国人の中からノーベル賞をとると思われる。
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