2019年10月3日木曜日

キャシュレス社会と銀行



 日常生活におけるキャッシュレスが驚くほどの速さで進んでいる。最初はマスターズやビザのようなカード払いが主体であったが、その後、交通機関にスイカが使われるようになり、スマホ時代になるとPay-Payのような本格的なキャッシュレスの世界となり、食事や買い物などに使われるのが普通になった。日常生活ではほぼキャッシュ、現金がなくても生活できる。それでも一部のところ、例えば歯科医院では手数料の関係で診療費のキャッシュレスはまだまだであるが、これももうすぐ使えるようになるだろう。

 さらには個人間の送金も、銀行や郵便局を介さずに全てアプリを使ってできるようになった。例えば、親が子供に学費と生活費を送る場合も、親のスマホから子供のスマホに時間を選ばず、自由に送金でき、それも子供は一切、現金化せずに生活費に使える(金額の制限があるが)。こうなるとこれまで郵便局や銀行がしていた業務のかなりに部分をスマホでできることを意味する。

 もともと銀行は、商売などをして稼いだ現金を銀行に預けることを一義とした。家に置いておくより銀行の大金庫に預けた方が安全だからである。そのため江戸時代の両替商は金を預ける費用をとった。その後、西洋式の銀行が入ってくると、預けた現金を、誰かに貸してその利益を得るようなシステムとなった。預金に利子をつけて金(現金)を集め、それに上乗せした利率で貸し出し、その差額を銀行の利益とした。ところが近年、その利子が低くなり、銀行は収益を得るのが難しくなった。そしてそれ以外の収入、送金などの手数料を上げて利益を得ようとした。ところが10000円の送金に手数料が300円もかかるようになると、もっと安いところ、例えばジャパネット銀行などのネットバンクを選ぶようになり、さらにはPayPayなどの個人間送金は今のところは手数料がかからない。こうなると銀行は敵わない。さらに現金支払い機そのものが必要なくなる。銀行はこうしたキャシュレスの慣れていない年配の方のみが利用するところになるであろう。そういえば、昔、三井住友ファイナンシャルグループの株を買い、その頃、株価は4300円くらいであったが、その後、その後、5000円以上になり喜んでいたところ、キャシュレス社会の勢いから最近では3700円くらいに低迷している。こうしたことからも将来的には銀行の役割はかなり減るだろうし、その存在も厳しい。

 一方、現金をほとんど持たないのが一般的となると、まず泥棒が減るだろう。彼らにすれば貴金属や宝石などを換金するのは足がつくため、基本、現金を狙っている。下見をして十分な準備をして家に侵入しても全く現金がなければ空振りで、商売としては成り立たない。同様に町のギャング、恐喝して“金を出せ”とナイフで脅かされても現金はない。お賽銭もスマホで払える神社や寺も出現しているようで、中国出張の多い娘に聞くと、中国、それも上海などの大都市は日本以上にキャッシュレスが進んでおり、現金はほとんど使わないという。紙幣は汚いし、偽札も多いとからという。

 レストランや食堂などでは、お客が食事代を現金で払い、店主はそれをまとめて銀行に持っていく。そして店主の生活費や材料代などは銀行に入金された金から払われる。これが現状であるが、これが全てスマホによるキャッシュレスになると、店主はお客の食事代をスマホで確認し、そこから材料代などを払う。全く銀行を介さずに全てスマホだけで処理できることになる。流石に家のローンなどは銀行で借りる必要はあろうが、今後の銀行は店舗、人員も含めてかなりの縮小が予想される。

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