2019年9月20日金曜日

懐かしのロードショー







 若い人は、映画解説者の淀川長治さんを知らない。亡くなってすでに20年、おなじみの“さいなら!さいなら!”というキャッチフレーズも懐かしい。彼の話し方には、微妙に神戸訛りがあり、長く東京で、中央で活躍していたため、ほぼ標準語であるが、時々、生まれ故郷の神戸のアクセントが出て、それが味のある語りとなっていた。

 1966(昭和41年)、日本で初めて映画の本格的なテレビ公開が始まった。それまで映画は映画館で見るものであったのが、タダでテレビで見られるのに驚いた。ただ子供の頃ではっきりしなかったが、平日の3時頃にお茶の間映画といった感じで、地味に名作映画を放送していた記憶がある。これが最初のテレに放送であったが、かなり昔の映画を流していただけであった。土曜映画劇場の放送の日、土曜日の9時頃だったか、家族揃ってテレビの前に座り見た。日本で最初に放送された映画は、「裸足の伯爵夫人」、ハンフリーボガードとエヴァガードナーの共演の1954年の映画で、その主題曲は今でも覚えている。内容は10歳の子供には難しくすぎたが、映画が終わると淀川さんが登場し、放送された映画の解説をして、土曜映画劇場のエンド曲が流れておしまいとなる。今では考えられないが、放送が完全に終了するまでじっと見ていた記憶がある。またこの映画はおそらく日本で最初に日本語吹き替えの映画だと思う。それまで映画というと、字幕が中心で、子供向けのディズニー映画などは日本語の吹き替えがあったし、テレビでもララミー牧場などのアメリカドラマは日本語の吹き替えであった。日本で初めて映画をテレビで放送するにあたり、字幕ではまずいと思い。吹き替えにしたのだろう。これ以降、映画俳優と専用の声優が出てきた。

 その後、だいぶ遅れて萩昌弘の月曜ロードショー、水野晴郎の水曜ロードショーなどほぼ毎日のように映画がテレビで放送されるようになった。最近では、“関ジャム 完全燃SHOW”のような音楽番組が登場し、専門家がミュージシアンの作品を詳しく解説し大変面白い。映画においても、こうした解説はより深く作品を鑑賞するためには必要で、漫然と見ていてはわからないことが多い。こうした解説、批評は、ネット上ではたくさんあるのだが、できれば昔のような映画評論家がポイントを話してほしいところである。
 そもそも、今日においては、毎週決まって映画を放送する番組は、地上波ではなく、BSシネマとシBSテレ東京のネマLINEUPくらいしかない。いずれもかなり古い名作を放送していて、新しい映画を見るのは、DVDかネットしかない。もちろん映画専門チャンネルもあるが、あまり一般的ではない。雑誌、ブルータスでも時々、映画特集があり、例えば“いまさら観ていないとは言えない映画”などの特集があったり、有名人のお勧め映画などが紹介される。もちろん解説もあるので、DVDをレンタルするときの参考にしているが、こうした試みはテレビでもできるだろう。BSシネマでは以前、映画監督山田洋次が勧める映画特集があり、面白かったが、こうした試みをもっとしてほしいし、さらに言えば、紹介者の解説も含めてほしいところである。

 全く話が変わるが、弘前レンガ倉庫美術館がいよいよ開館する。とても楽しみにしているが、このブログでも何度も取り上げたが、是非とも夏の野外シネマをしてほしいところである。調べると大型のスクリーン、プロジェクター、映画のレンタルなど上映の一式は、ダスキンなども手がけていて、金さえ出せばそれほど面倒ではない。おそらく野外用のスクリーンと映画上映権くらい借りれば、他のプロジェクター、アンプ、スピーカー、電源、テントなどは文化センターなどの他の市の設備を活用できよう。キッチンカーや移動店舗などを会場の周辺に集め、入場は自由にすべきである。希望としては、美術館にふさわしいフランス映画。弘前の恋人たちが美術館前の芝生に座って映画をみる。
1.     ロシュフォールの恋人たち
2.     シェルブールの雨傘
3.     男と女

他には
1.     ある日どこかで
2.     フェリニーのアマルコルド
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3.     パリの恋人



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