2019年9月8日日曜日

韓国の徴用工問題を考える



 韓国の徴用工裁判の判決では、三菱重工など日本企業に一人当たり1億ウオン(約一千万円)の支払いを命じる最高裁判決が出ている。これは当事者のみ出なく、その子供にも当てはまる。また慰安婦問題では、平成十四年にはアジア女性基金から一人当たり韓国では500万円、さらに平成28年の慰安婦財団から一人当たり約一千万円が支給されている。これらは生者とその子供への支給額であり、いずれも一千万円以上の支給となっている。交通事故などの保険金は一億円以上になるのを考えると決して多い額ではないが、それでも慰安婦、徴用工とも従事した時には、一応、給料は払われ、未払金は1965年の日韓基本条約で解決しており、この一千万円はあくまで慰謝料ということである。額としては安くはない。

 一方、韓国はその開国から、多くの国民の命を政府の弾圧で奪ってきた。例えば、朝鮮戦争中に起こった韓国国内の共産党シンパに対する虐殺、保導連盟事件では60万人から120万人が虐殺されている。また済州島四・三事件では島民の6万人が虐殺されている。これは韓国政府も認める韓国人、韓国政府による韓国国民への虐殺である。もちろんその全責任は韓国政府にあり、盧大統領、文大統領もその事実を知り、陳謝している。ただ寡聞にして、これらの犠牲者に対して、韓国政府がそれなりの賠償金を払ったということは聞かない。おそらく慰安婦や徴用工などの生者に対する賠償金は一千万円を超えることを加味すると、虐殺され、一家の主柱である父、兄を亡くした家族への賠償はそれの数倍になるだろう。一人3000万円とすれば、100万人で30兆円となる。さらに韓国軍はベトナムで女性を妊娠させ、その混血児の問題、いわゆるライダイハンに関しても韓国大統領による陳謝はあるものの、賠償金の支払いはない。

 2000年代始め、盧武鉉大統領は徴用工を含む太平洋戦争被害者遺族に2000万ウオン、生存者には月8万ウオンを払うことにした。当初は遺族に対しては5000万ウオンの予定であったが、大統領はこれを再戻し、2000万ウオンに下げさせた。日本円で200万円くらいであり、また年金額も月8000円、あまりに安いので被害者が今度は日本企業相手に訴訟を起こし、1億ウオンの賠償金を勝ち得た。要は賠償金の出し惜しみが今の訴訟に発展したのだ。さらに被害者に対して、韓国政府は2000万ウオンを出したからと相手にされず、日本からの資金により大会社になったボスコも2014年に日帝強制動員被害者支援財団を発足し、100億ウオンの出資をしたが、結局財団の理事に食い荒らされ、被害者の支援を行なっていない。

 1980年に起こった光州事件では軍による発泡で、170人の死者、3000人の負傷者が出たが、その補償金は総額で2297億ウオン(約230億円)であった。負傷者に500万円、死者に1000万円の補償金で、額としては多い。

 日本でも最近のハンセン病患者の家族に対する判決で、一人当たり33万円から143万円の賠償金の支払いが命じられたが、こうした判決では、賠償金の多寡よりは政府がその過失を認め、名誉を回復することに重点が置かれている。訴訟の多い、アメリカでも日系アメリカ人に対する戦時下の強制収容に対しては生存者に対する一人当たり2万ドルの賠償金で決着した。これも同様である。

 こうしてみると、現在の徴用工問題は、1965年の日韓基本条約だけでなく、その後の盧武鉉大統領の補償ですでに解決しており、国際法だけでなく、自国の政策にも矛盾している。

 戦争末期、ほとんどの日本人男性が兵隊にとられ、兵器製作などに従事する人がおらず、戦時動員として女学生などが軍需工場で働かされた。空爆により亡くなった生徒も多いが、基本的には家庭からの通勤であった。青森や鹿児島の少女が集団で2年間の契約で都市部の軍需工場に住み込みで働くようなことはなかったのでは。ところが朝鮮では、金を稼ぐという目的にしろ、500人以上の少女が朝鮮から富山の不二越工場でやってきて、働かされた。徴用工については、日韓基本条約で解決済みではあるが、個々の症例で、朝鮮人への差別に基づく日本人ではあり得ないことがなされた場合では、日本企業、韓国企業、そして韓国政府で保障すべきなのかもしれない。

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