2020年11月17日火曜日

成人の矯正患者さんが増えています


 今年は、10歳以下の患者さんは、最後まで面倒を見きれない可能性もあるため、治療をお断りしています。というのは例えば、6歳で反対咬合のために、来院されたとします、前歯部が萌出する7、8歳頃からリンガルアーチ、セクショナルアーチによる前歯部のかみ合わせの改善を行い、最終的には成長を終了した高校生頃にマルチブラケット装置による仕上げの治療を行います。その後の保定も含めて10年以上の矯正管理が必要となります。今から10年、その頃までには引退したいと思っていますので、年少の患者さんについては、一般歯科からの先生の紹介も含めて来院をお断りしています。これには料金体系も関係しており、矯正治療は請負制なので、一度、受け入れれば、最後までの料金をいただいているので、責任を持って治療をしなくてはいけないからです。ただ唇顎口蓋裂の患者さんについては健康保険の対象で、最後は他の矯正歯科医に任せることができますので、引き続き、年少の患者さんも受け付けています。

 

 地方の矯正歯科医院では、成人より子供の患者さんが多く、私のところでも、これまで7割くらいは子供の患者さんですので、10歳以下の患者さんを断るのは、かなりの患者減少になると予想していました。また紹介いただく一般歯科の先生にも返書にそうした理由を書いたため、最近では10歳以下の患者さんの紹介はなくなりました。今年は、新型コロナウイルスの関係と子供患者の減少で、経営的にかなり厳しいと覚悟していました。ところが、成人の患者さんが例年より増え、結構忙しい状態が続いています。

 

 こうした成人患者の最近の増加は、私の診療所だけでなく、知っているだけで、北海道、仙台、福島、新潟、鹿児島の先生もそう言っており、これは全国的な傾向かもしれません。ただ大阪、東京の先生はそれほどではないというので、大都市以外の傾向かもしれません。患者さんに聞くと、今はどこに行くのにも、マスクをつけているので、であれば、矯正治療を今のうちに直し、2、3年後にマスクを外す時期になった時に綺麗な歯並びのなっていたいと言います。確かに、マスク生活下では、目に化粧の重点を移し、口元は口紅もつけないと言います。マスク美人という言葉もあり、マスクをつけていると美人だが、マスクを外すとそうでないとニュアンスを含みます。マスクを外して、目元、口元ともに美人になりたいという人が多いのでしょう。実は、都会では数年前から、成人矯正は大きなブームで、子供の頃できなかった歯列矯正を大人になってしたいと人が一気に増えました。ある雑誌で特集した“人生の中でやりたいことリスト100”の中にも矯正治療が入っているほどです。こうした大都市での流行が、新型コロナウイルス問題で地方にも広がったようです。

 

 ただ心配なのは、成人矯正が増えるのはいいのですが、それが通院、診療のあまりいらないマウスピース矯正(インビザラインなど)に向かうのは危険です。インビザラインについては薬事承認されていない製品であり、その適用にはかなり慎重になるべきで、患者さんからのクレームが多くあります。もちろんインビザラインも日々進歩していて、適用も広くなりましたが、非抜歯から抜歯の変更、ワイヤー矯正との併用、転換などが必要なこともあり、できれば矯正歯科専門医院で治療した方が良いし、あらかじめこうした点についても費用も含めて十分に説明を受けた方が良いと思います。


 

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