先日、家内と一緒に函館に一泊の旅行に行ってきた。近場なので、できるだけ安いホテルを探すと、一泊二食付きで税込1万円くらいのところが湯の川温泉に見つかった。もちろん平日のAGORAでの検索であるが、それにしても安い。実際に泊まると少し古いがいいホテルで、大浴場も良かったし、食事もバイキングで、そこそこの内容であった。20年ほど前にも函館に行ったことがあるが、その時は新幹線が通ってなかったので、青森から直通の特急で行った。今回の新幹線による旅行では、新函館北斗駅から函館駅までが意外に遠く、20分ほどかかり、弘前からだとまず新青森駅に行き、そこから新幹線、そして函館線となる。
函館駅前に、知人の矯正歯科の先生が近々開業するので、どうなっているかを見てきたが、それにしても函館はホテルが多い。また朝市も魚介物を扱う店ばかりで、いささか見飽きた。少し函館の問題点を考えながら、弘前の今後の観光政策について検討したい。
1、函館のホテル、旅館
函館には100室以上のホテル、旅館は35軒、総客室数は8000室以上、それに対して弘前は、ホテルルートイン、ドーミーイン、東横INN、スマイルホテルの4つのビジネスホテルと、弘前プラザホテル、弘前パークホテル、アートホテル弘前シティーなど、合わせて7軒しかなく、総客室数も1040室である。また函館は、函館国際ホテルだけで総客室数は435室、湯の川温泉のホテル、旅館の多くは150-250室の大型施設である。年間の観光客数は函館が606万人に対して弘前は235万人、宿泊者数は函館が504万人、弘前は67万人で、函館は来るだけでなく、宿泊者も多い。弘前には平日のビジネス客を中心にした宿泊者が多く、函館は観光客が多いことによる。湯の川温泉にある大型のホテル、旅館のような宿泊そのものを楽しめる施設は弘前にはない。
2.函館の観光的利点と欠点
明治時代の洋風建築は函館の方がよほど多いし、坂からの海への景観は素晴らしい。一方、江戸時代の古い建築物は弘前城、武家屋敷も含めて、弘前市の方が多い。欧米からの観光客からすれば見慣れた洋風建築より、城や武家屋敷、寺院の方が魅力的に思うかもしれない。また函館の街は坂が多く、高齢者の観光客にとって、少しきつい場所である。弘前、函館ともに観光地だけであれば、4、5時間で回れるため、リピーター客は少ないと思う。さらに函館は、弘前より明らかに観光客向けの施設、旅館、ホテル、物産展、土産屋が多く、函館そのものが観光にかなり依存しており、いわば函館経済が観光という一本足打法に依存している。このため、観光業に浮き沈みで、経済が左右される。以前は、漁業や造船業も盛んなところであっただけにこの規模の街としては怖い感じがある。
3.新幹線の札幌延伸後の危惧
新幹線が札幌まで延伸すれば、新函館北斗から札幌までは1時間、新青森から札幌までは2時間くらいとなる。東京から行くと、弘前も、函館の在来線の乗り換えが必要で、それも含めると4時間半くらいとなる。朝、8時に東京を出ると弘前に着くのは12時頃、函館に着くのは13時頃となる。いずれも4、5時間、観光すると、普通はそこで一泊となる。ただ札幌まで延伸すると、函館、弘前に泊まらず、昼間に観光して、そのまま札幌に行く人もいよう。欧米人観光客の多くはジャパンレイルパスを使っており、古い城下町を見たいとなると、まず弘前に昼に着いて、観光し、宿泊し、次の日の朝に函館に行き、観光後は泊まらず、そのまま札幌にいくコースを選ぶ、効率的に北東北、北海道を回るとなると、こうしたコースを選ぶ人も増えそうである。
4.函館のお土産屋
20年前に比べて函館駅前は劇的に変化して綺麗に街並みになった。一方、朝市の規模もとてつもなく大きくなり、駅前周辺は朝市だらけ、海産品の店ばかりとなった。個人的には海産品は買っても持ち帰りは大変だし、送ってもらうなら近くのスーパで買うわと思ってしまう。これだけ数が多く、よく経営的に成り立っているものだと思う。特に中国、台湾からの観光客が多かったが、買う商品は限れられているように思った。またれんが倉庫のある地区には、オルゴールやガラス商品が多く、展示していたが、若い女性にターゲットを絞った商品が多く、白人男性と何も欲しくないよねと目と目があって、互いに確認した。それでは弘前はというと。ここはりんごしかない。函館の海産物と弘前のりんご、どちらも観光客を惹きつける要素として、これだけでは一歩足りない。
世界的なグルメ評価、ゴ・エ・ミヨの掲載店は、函館では3トック店がイタリア料理1店、フランス料理1店、寿司1店、2トックがバスク料理1店、人気がスペイン料理1店の計5つとなっている。それに対して弘前では3トック店は日本料理が1店、イタリア料理が1店、フランス料理が1店、2トック店はイタリア料理が1店の計4店である。ほぼ互角である。温泉については函館には湯の川温泉という日本でも有数な温泉があるが、弘前では嶽温泉、百沢温泉、あるいは周囲には多くの温泉があるがいずれも規模は小さい。
5.弘前市の今後の観光対策
まず。ホテルが少なすぎる。ここ10年で弘前キャッスルホテルはなくなったので、いわゆるビジネスホテルに当てはまらない中級ホテル、夫婦、家族で泊まるようなホテルが、弘前プラザホテル、弘前パークホテル、弘前アートホテルくらいしかなく、老朽化している。感覚的には函館の1/10くらいしかないように思える。宿泊設備として函館の大きく水を開けられている。一方、函館については供給過剰傾向があり、今回の旅行のように平日の宿泊はダンピングかと思える値段がついていた。高級ホテルは弘前にはなく、大鰐町に星野リゾートの「界 津軽」があるが、弘前駅からは少し遠く、個人的な感想を言えば、他の高級旅館とさほど違いはない。東京から青森空港にきて、タクシーで弘前市内のホテル、次の日は新幹線で函館、そして札幌、ニセコという日程もある。
6.インバウンド観光客への配慮
いつも思うのだが、外国人観光客は長期の観光なのか、ともかく荷物が多い。そのため移動は大変である。もし新青森駅の裏から弘前市内へのホテルへのスーツケースの配送サービスがあれば、便利である。一個千円、1日、数回の配送があれば、利用する外国人観光客も多いのでは。1日、100個のスーツケースを取り扱うことができれば、ペイできそうである。弘前駅の構内には市内のホテルまでの配送サービスがあるが、むしろ新青森駅からの方が便利である。手ぶらで在来線に乗り換え、ホテルまで行けるなら楽で良い。またホテル業者で協力して、何箇所かのホテルを周り、新青森までいくバスがあってもいいだろう。弘前市内には町の由来を示した標識(古町名標柱)があるが、そろそろ古くなったので、新しい標識にかえ、QRコードで英語、中国語でも表記したらどうだろうか。またレンタルサイクルは弘前を一番効率的に回れる手段で、利用者は多い。使い方などもう少し工夫がいるのかもしれない。
7.函館の集客施設の失敗?
以前は函館駅前には老舗のデパートがあったと思ったが、今は解体され、ハコビバという複合施設があった。ビアガーデンがあるのか入り口にテントな並び、レストランや食事所もあるが観光客はほとんどおらず、2度ほど入ったが、怖くなって出てきた。最近の建物のようだが、すでにゴーストタウン化している。同様にキラリス函館という施設もほとんど人気がなく、行かなかった。むしろ観光客の多くは朝市の方に流れていった。少し驚いたのは、この新しい函館駅のトイレがウォシュレットなしの蓋なしトイレで、今時珍しいと思った。何しろ、駅前が朝市、海鮮丼の店ばかり、朝市といっても鮮魚や野菜、惣菜店は全くなく、あくまで観光客の土産店と食堂だけで、それも台湾の夜市のようなさまざまの店がなく、ほぼ干物、カニに店が際限なくある。さすがにあれを買う欧米人は少ないだろう。また地元民も普段から行くこともないだろう。地元で問題化しないのだろうか。明らかに過剰状態である。

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