2010年11月11日木曜日
青森の資源
青森県はその三方を、日本海、津軽海峡(陸奥湾)、太平洋に囲まれた海の幸にめぐまれた県である。漁獲量は北海道、長崎に次ぐ全国3位で、あらゆる魚がとれる。まぐろは有名だが、鯛やいかはほぼ年中捕れ、またズワイガニの漁獲量も一位は境漁港(鳥取)、二位は香住漁港(兵庫県)、三位に青森県の岩崎漁港となっている。越前ガニとして有名な福井県の越前漁港が五位だから、漁獲量だけからみれば青森県の方が多い。ところが青森県の旅館、ホテル、料亭でカニをメインでだすところはひとつもない。他の高級魚である本マグロやひらめと同様、青森県の日本海側の岩崎漁港でとれたカニは、トラックで築地か、あるいは福井にもっていき、そこで越前ガニとして売られる。なぜこういうことがおこるかと言えば単純で、そちらに持って行った方が高値がつくからである。定期的に確実に高値で買ってくれれば地元に卸した方が交通費などを考えればよいとわかっているが、青森県にはそういったところはない。大阪などでは冬になるとわざわざカニを食べるだけのために山陰に行く。旅館が多少汚くても、カニをたらふく食えれば高くても十分満足する。ところが岩崎漁港のある深浦町でもこういった旅館や料亭もないし、近くの鯵ヶ沢や弘前にも一切ない。もったいない。
また農業生産量も高く、自給率が100%を越えている県は、北海道、青森、岩手、秋田の4県だけで、青森県のカロリー自給率で121となっている。以前は農産物と言えば米が主体であったが、現在では青森県でもほとんどすべての農産物が作られ、豚、牛、鶏などの畜産も盛んで、青森県一県で魚、肉、野菜、米すべての食料が自給できる。また川や山にもめぐまれ、いわなやあゆがあちこちの川でとれ、また秋になると山では色々な種類のきのこがとれる。これは本当の話であるが、食料に関しては実際に自給しているところもある。農家では米、野菜を作り、山できのこを、川であゆをとり、車で海にいって魚をとる、こういった家は結構あり、10人家族で、食費が月3万円以下という話を聞いた。
さらに東通、大間などの下北半島には原子力発電所があり、110万KWの東通原発以外にも大間原発、第二東通原発などが建設中で合わせて出力は530万KWとなる。当然、エネルギーは完全に自給している。さらに水力発電や風力発電など自然エネルギー自給率でも10.64%で、大分、富山、秋田、長野に次ぐ、高い自給率である。大分の高い自然エネルギー率は主として地熱発電によるものだが、青森県は温泉も多く、地熱エネルギーは十分に開発できる。食料、自然エネルギー双方の自給率が100%である状態を永続地帯と呼ばれるが、これに最も近いのが実は秋田と青森なのである。もともと青森県では少量ではあるが石油も産出していた。近年、冬期の暖房に地中熱源ヒートポンプ方式が取られている。地下50-100mの穴を掘るとそこの温度は年中15°くらいになる。熱交換システムでこの温度を冬は暖め、夏は冷やして空調として利用する。将来的には設置費用が安くなれば、CO2の排出削減や冷暖房費の削減につながる。すでにこの方法は歩道の融雪にはかなり使われており、非常に有効である。
青森県は資源に恵まれており、雪が多く、水資源にも事欠かないし、ブナを始め、木材生産量も多い。このように青森県は水産資源、農業資源、水資源、木材資源などに恵まれている。
ほかにも青森県の特徴としては、陸海空の3軍の基地が県内にある。海上自衛隊は大湊と八戸に、陸上自衛隊の第9師団が青森に、航空自衛隊が三沢にある。またミサイル防衛については車力に早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」とパトリオットミサイルが、むつ市の釜臥山山頂には超巨大なガメラレーダが設置され、ミサイル防衛に活躍している。またアメリカ空軍の三沢ベースもあり、陸海空軍がこれだけそろった県は他にないであろう。
俺ら東京さ行ぐだ(吉幾三)では、青森県に何にもないとして、テレビ、ラジオ、自動車、ピアノ、バー、電話、ガス、バス、新聞、雑誌、信号、電気がないと歌っているが、今や資源の面では東京よりはるかに恵まれている。それでも若年者を中心とした都市部への人口流出は止まらない。この原因としては地元に仕事がないためで、仕方なく、東京に出て行く。青森の最低賃金645円は東京の821円の79%であるが、有効求人倍率が0.29倍と低い青森県では、賃金実態がこの最低賃金に近いため、東京との賃金格差はもっと大きい。厚労省の勤労労働調査の現金給与比較によれば、製造業では賃金は東京の48.6%となっているが、これが実態に近く、ほぼ半分である。これだけ安い賃金でも青森県では自宅通勤のため、生活が可能であり、若くて優秀な人材を集めることができる。介護ヘルパーの人材確保は難しいとされているが、青森県ではそれほど難しくなく、離職率低い。それだけ仕事がないせいであり、エネルギー資源、食料資源以上に青森の大きな資源が人的資源であろう。中国でも賃金が上昇してきており、勤労意欲や労務管理などを考えるとそろそろ日本への製造業のリターンを視野に入れる必要があり、その場合青森県は人的資源の上でも魅力的である。
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2 件のコメント:
読ませていただきました。興味深かったです。確かに、青森県民は自分たちにいいものがあることを自覚していないところがある気がします。
青森県の一番大きな資源は、人材です。人口の割には多くの偉人を輩出しています。もっと自信をもってほしいものです。
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