2012年5月14日月曜日

ブナコ 3




 先日、家庭画報を見ていると、Paper Woodという北海道のシラカバの間伐材と色紙を積層に重ねた合板を使った作品が載っていました。従来の合板のイメージを変えるもので、色紙の素材、色を変えることで椅子、ボックスなどのインテリアや建材など、色々な用途に使われています
http://www.drill-design.com/gohan/#article003)。そして、その作品性の高さとエコの観点から、この素材を使ったスツールがドイツの国際的デザイン賞である「red dot design award」を受賞しました。

 この作品を見て、私は弘前の誇るブナコを思い出しました。同じように用途の少ないブナ材、それも薄くテープ状にしたものを使っていて、やはり造形の面白さとエコの観点から高い評価を受けています。

 ブナコの昔の作品を見ていますと、今のように単一の色だけでなく、二種類の色を使い、Paper Woodと同じような木口を見せていたようなものがありました。私の持っている昔の皿には濃い茶と薄い茶の色が使われ、木目のような美しい模様が入っていますし、赤、黄色のような色付けした素材を使ったものも見た記憶があります。であれば、Paper Woodと同じようなカラフルなブナコもできるのではと思ってしまいます。テープに着色したのか、2種類のテープを使ったのか、技術的なやり方はわかりません。ただもしこれができれば、ブナコの可能性はさらに高くなります。大きめのダストボックスやランドリーボックスなど、赤や青のラインが入れば、かっこいいなあと思ってしまいます。

 さらにこのPaper Woodを作っている合板研究所とコラボすれば、直線はこのPaper Woodを、局面はブナコを使ったユニークな椅子もできそうです。地域の特産品から、ブナコは国際的なプロダクトに挑戦していますが、造形面での面白さだけでなく、視覚的な美しさ、カラーバリエーションもあっていいように思えます。

 テレビで欧米のセレブの間で、日本の工芸品が高い評価を受けており、輪島塗のある集団は海外のコレクターのためだけに手間のかけた作品を提供しているケースもあります。とくに日本の根付け、印籠など小さな作品はコレクター心をくすぐる要素、自分ひとりだけで楽しめるといった点から明治以降多くの名品が海外に流出しています。県内、国内だけに目を向けていると販路は限られてきますが、こと海外に目を向ければ、輪島塗や根付け、印籠など高価な品であっても、購入者はいます。生産者と海外の購入者との間を結ぶルートが鍵になるのでしょう。

 弘前の工芸品、名産品としては、ブナコ以外にも津軽塗、アケビ細工、こぎん刺し、津軽打刃物などがありますし、かっては藁細工、すだれ、筆や兼平石という大きな一枚岩も名産品だったようです。さらに弘前藩記事によれば明治元年に諸藩への贈答品として、弘前織白羽二重、畦織の他、弘前塗弁当などが見られます。弘前塗は今の津軽塗のことですが、弘前織あるいは畦織がどんなものかわかりません。畦織とは博多織のような平織りのもののようですが、どういったデザインかはわかりません。さらに弘前塗料紙文庫、硯箱などもあり、今は津軽塗と言えば、木製の椀などの木地に塗っていきますが、紙にも塗っていたことがわかります。現行品でも和紙に津軽塗を施したコースターなどがありますが、もっと着目してもよい素材かもしれません。

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