2013年12月11日水曜日

軍隊の行進スタイル








 行進曲が好きで割とYou-tubeで色んな国の行進曲を聞いています。それでも、やはり聞き慣れているせいか、日本のものが一番好きです。とくに「君が代行進曲」、「陸軍分列行進曲」は、西洋式の曲に和のテースト、それも明治のテーストが入っていてほっとします。「軍艦マーチ」、アメリカの「星条旗は永遠なり」、ドイツの「旧友」などはあまりポピュラーすぎて面白みがありません。

 六甲中学、高校では、体育祭に行進をしますが、その行進曲を吹奏楽部が吹きます。かなり長い行進ですし、毎年少しずつ変わるため、6年間でかなり数の行進曲を覚えてしまいます。そういったこともあり、未だに行進曲が好きなのでしょう。

 行進スタイルを見ると、各国で違っています。共産圏ではソビエト式の足をまっすぐにあげる、いわゆるナチス式行進、ガチョウ足行進が行われます。これはかなり膝に負担がかかりそうですし、何よりナチス、ソ連のような全体主義国家を思い出せ、一般的は評判が悪いものです。そのため、ソ連もロシアに変わると、この行進スタイルはやめましたし、東ドイツも同様です。今でもこの行進を行っているのは、中国、北朝鮮、チリなどわずかな国だけです。民主化が進むと真っ先に廃止されるスタイルのようです。

 ただ見る方からすれば、このガチョウ足行進は見栄えがします。おそらく実際に見れば、普通歩きより着足音が大きく、より一層迫力があるでしょう。現在では、中国の行進が世界で最もすばらしい行進と思えます。自衛隊の行進などは比較になりません。中国女性兵士の行進をアップしますが、きれいで、スタイルのいい人を集めて、それも相当訓練しているのでしょう。美しい行進です。まあミニスカートの制服はこの行進のためだとは思いますが。北朝鮮の行進は、人間離れしたもので、腕は一切上げず、重心を後ろに保ったまま、足を非常に高く上げます(動画の中ほどから後)。ラインダンスのようです。よくあのスタイルで歩けるものです。ただ栄養が悪いのか、中国ほど見ていて美しくはありません。日本の自衛隊はどうかというと、行進曲が旧軍のものを使っているせいか、あるいは旧軍から伝わる伝統なのか、足は普通歩きですが、腕を高く振るスタイルです。

 日本陸軍も一時、ナチスに憧れ、行進スタイルもナチ式にしようとしますが、どうも足をまっすぐに伸ばせず、曲がってしまいます。それに日本人は背が低く、足、それも下肢が短いのであまり格好もよくありません。そのため腕を高く上げる方が強調されたようです。


 自衛隊は、あまりに軍隊色をなくす配慮から、歩兵隊を普通隊、砲兵隊を特科と呼び、正式名称として大将もいないような奇妙な集団となっていますが、案外、軍隊としての伝統的な精神、慣習は残っているようですし、これからも大切にしてほしいものです。

3 件のコメント:

kagawa さんのコメント...

毎回 楽しく拝読しております。さて行進の事に着目されてのお話。興味深く読みました。実は当方および仲間とは身体的観点からおよび音楽から行進歩行に着目しています。
仲間の音楽から…というのはここでは省きますが 東京芸大にて研究発表もしております。
私は 古武術をやっておりまして 親交のある柳生心眼流の島津先生と 歩き方について話す機会があり 何故爪先を前に出すか?という話に及びました。
ちなみに侍の時代には 音楽で調子をとり 整然とした行進は無かったようで ペリーが来航上陸した際に 乗組員(兵士)の揃った行進を観て 驚いたらしいです。その後 軍事教練として日本にも組み入れらました。そのいら辺に関しても 民俗学による身体を研究している仲間が詳しいです。
ともあれ 話を戻しますと 爪先を前に突き出す意識を持ちますと 歩幅が増えます。つまり戦術的に機動力が増す訳です。そして一糸乱れぬ行進となれば 機動力が計算しやすく それ故の作戦計画がしやすくなるという事です。
各国の観閲式の行進は それに表現性を加えたものと自分は解釈しています。ただ本来の意味があって それがどこまで理解されてなされてあるかは解りません。
最近は カカトに重心のある方あるいは外反母趾になている方と 靴だけにはとどまらない生活環境が影響して 腹部の筋肉の収縮のバランスが悪く 脊柱の形状 噛み合わせ 頭蓋骨の歪み 大脳鎌への影響 脳の影響 脳下垂体への影響などなど 連動してあります。
いろんな意味で 二足歩行を常として来た人間を考える時 この行進をも考えるに至っております。

広瀬寿秀 さんのコメント...

古武道と歩き方の研究では、青森郷土館の学芸主査、小山隆秀さんが非常にくわしいですので、一度、ご連絡されたらと思います。小山家は代々、弘前藩の武芸を継ぐ家で、小山さんもさらに現代的な解釈をしていますので、kagawaさんとはより深い討論ができると思います。私は、こういった分野には素人で、たまたま、ガチョウ足行進に興味があったため記載した次第です。弘前藩でも最初の西洋式操練は、行進と器械体操だったようで、軍隊においては兵士の戦術と個々の兵士の基本動作は密接に関係し、日本独特のすり足では近代的な戦いができないのでしょう。そういった意味ではそのエッセンスである行進も、その国に軍事戦術と密接に関連するのかもしれません。行進という観点から、オスマントルコ、ナポレオン、ナチス、ソ連など色んな時代の戦術との関連を調べるのもおもしろいかもしれません。

kagawa さんのコメント...

実は小山さんと仲間でして^^;