LL ビーンの製品は、好きで、愛用している。今頃の時期はいつもセール期間でかなり安くなっているので、来年用に購入することが多い。今回も何点か購入したが、そのひとつが“Katahdin Iron Works” シリーズで、これはメイン州の中央部にかってあったカタディン鉄工所で働く人々の衣料をモチーフに作られたもので、シャツ、パンツ、アウター、シューズなどある。どれもタフな作りとなっており、いわゆる”Heavy Duty”なものである。
例えば、今回購入したシャツにしても、肘の部分は当て布がなされ、衿の部分は頑丈に補強されている。また布地も”NOR’EASTER cotton”という最もタフなものである。他にもこのシリーズではワークブーツもあるが、これはアメリカのチベワ社製のものであり、働く靴として高い評価がある。
もともとアメリカ人はこうした“Heavy Duty”(酷使に耐える、頑丈な)という言葉が好きで、物作りの中心的な考えとなっている。物の価値を評価する基準として、頑丈で故障せず、長持ちするということが求められる。こうした考えを示す例として、第二次世界大戦当時の戦闘機、零戦とP−47戦闘機(サンダーボルト)を比べるとはっきりする。零戦は出力の低いエンジンで高性能を出すために、機体を極限まで絞り、軽くした。一方、P-47戦闘機は大出力にエンジンで大型な頑丈な機体を引っぱるもので、零戦は簡単に撃ち落とされたが、P-47はなかなか撃墜されなかった。設計思想が全く異なる。こうした考えはそのまま継承され、サンダーボルトの名を継承したA-10爆撃機は、史上最高のタフさを示し、相当な被弾を受けても墜落しなかった。そのため、何度も退役が検討されたが、その都度、熱烈な要望があり、今でも一線で活躍している。
こうしたタフさは、アメリカ人が昔から最も好きな要件であり、日本車、とくにトヨタがアメリカで売れる理由でもある。私にすれば、トヨタ車などデザインが野暮ったいと思うが、日本車の中でも抜きん出て故障は少なく、タフである。タクシーに使われているトヨタ車(クラウンコンフォート)は少なくとも70万キロ、100万キロは走る。またトヨタがだす新型JPNタクシー車でも50万キロまでは確か保証されていると思う。最近ではスバル車もそのタフさで人気が出ているが、ようするにこうした頑丈さをアメリカ人はなにより愛する。他にはカシオのG-Shock、これもアメリカ人受けするもので、絶大な人気がある。またニコン、キャノンがカメラの世界で不動の地位を得たのも、ベトナム戦争始め、過酷な状況下でも故障しなかったことが挙げられる。
日本製品は海外輸出、ことにアメリカへの輸出に対して、こうしたタフさが求められ、結果的には故障の少ない、信頼性の製品となった。いかにも頑丈なトランプ新大統領が選ばれたのもタフさを愛するアメリカ人の精神の合致したのかもしれない。個人的には、同和政策のために高い関税率(30%)となった輸入皮靴の関税の撤廃を希望する。アメリカ製の革靴、ことにワークシューズには非常に優れたものが多く、電化製品同様にアメリカ並みの価格設定にならないかと期待する。
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