2020年4月14日火曜日

田舎暮らしの勧め

東京タワーから(2018.10)

弘前公園(2020.2)

 私は兵庫県尼崎市で生まれ、その後、仙台市、鹿児島市、宮崎市と巡って、青森県弘前市に住み着いて、25年になる。尼崎には18年間、仙台には8年、鹿児島に8年、宮崎に1年いたが、弘前が一番長く住んでいるところとなっている。

 そのため私の経験と言っても、兵庫県、宮城県、鹿児島県、宮崎県、青森県の比較になるが、どこが老後住みやすいか考えてみたい。

 兵庫県は生まれ故郷なので、まず言葉の問題が一番少なく、ストレスがない。また料理も一番口に合う。一方、最近でこそ慣れたが、宮城や青森など東北の食事は濃くて、しょっぱい。この地方では、冬場の保存食として漬物などの塩分の濃い食べ物が使われていたために、しっかりした味付けを好むようになった。逆に宮崎、鹿児島は全体的に甘い。これは、特に鹿児島で言えることだが、薩摩藩のころ、砂糖が藩の重要な産物であり、貴重品であった。そのため、砂糖=貴重品=美味しいとなり、食べ物を甘くすることが美味しいとされた。若い人にはわからないと思うが、昔は贈答品に砂糖の詰め合わせが重宝された。流石に昭和40年になると大阪でもそんなことはなくなったが、鹿児島では昭和50年代まで砂糖が贈答品であり、農家や漁師の家では、砂糖壺は神棚に置かれて子供が触れないようにしていた。

 気候については、これも一長一短であり、鹿児島や宮崎では5月頃から11月頃まではエアコンが必要な夏で、特に鹿児島では夏の季節、桜島の火山灰が鹿児島市内に吹かれるために窓を開けられない。その点、同じ暑さでも宮崎の方が窓を開けられるだけでもまだマシである。逆に仙台や青森は冬が長く、感覚的には12月から3月頃までが冬で、夏は78月のみとなる。冬の寒さを堪えるだけでなく、雪片付けも大変である。それじゃ兵庫県はどうかというと、冬が寒く、夏が暑い。流石に夏の温度はどこも35度くらいが上限であるが、1月の平均気温は青森市がマイナス1.8度、仙台は0.9度、神戸が4.8度、宮崎市は6.8度、鹿児島市は7.0度となる。個人的には寒さは着込めば何とかなるが、暑いのはどうしようもない。これは個人差で、寒さに強い人は暑さに弱く、冬場でもアメリカ人など半袖で平気な人は見かけるが、夏場はさずがにアフリカ人でも長袖は着ないだろう。

 県民性については、日本でも南に行くほど、性格は暖かく、人懐っこい。よそものに対しても、警戒心が少ない。一方、青森では、まず津軽弁が喋れないと一線は画し、性格的にも暗くて社交的でないので、よそ者が地元に溶け込むことは難しい。兵庫県や宮城県は中間である。

 物価については、まず土地代は2020年の都道府県の公示地価ランキングでは、1平方メートルの平均額、兵庫県が165721円で7位、次に宮城県が138598円で10位、鹿児島県は68880円で18位、宮崎県は39401円で42位、そして青森県は3145円で46位である。東京都が116950円で青森県の40倍くらいになる。弘前市では、駅から徒歩10分くらいのところで4万円くらいである。住んでみての感覚では宮崎県の物価が安い。平野部が広く、土地が安いためにアパート代や一戸建て価格も安く、また農産物や漁業も盛んで、食品が安い。青森県も同様であるが、それでも灯油代など冬の暖房費がかかる。鹿児島は夜、窓が開けられないので冷房費が高く、また土地が狭いので住居費が高い。最近発表された県庁所在地の平均生活費(月額)を見ると、鹿児島市が171136円、神戸市が168579円、仙台市が147691円、青森市が134620円、宮崎市が134543円で、家賃も含めた物価の高さはほぼ実感に近く、おそらく弘前市は青森市より安く、宮崎市以下であろう。

 弘前市はスキー場まで車で、20分くらいで行けるし、ゴルフ場も近く、釣りやキャンプ場、温泉も多く、アウトドア好きの人はいいところと思う。また医療機関も多く、老人ホームも安い。ただ寒さに苦手の人は厳しいところであろう。一方、暖かいところがいい人は宮崎市がいいであろう。スキーはできないが海水浴はできる。ただどこも住めば都で、いいところもあれば、嫌なところもあり、住んでみないとわからない。新型コロナウイルス問題のため、テレワークによる仕事で大丈夫な人は何も都会に住む必要はなく、そうした意味では今後、都市離れが少しずつ進むような気がする。

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