2020年4月25日土曜日

土屋嶺雪 上手くない画家

川合玉堂の滝

橋本関雪の滝
引きこもりの連休中に読む予定の本
土屋嶺雪の滝 水の表現、特に滝の下部が下手



 土屋嶺雪の作品を中心に集めている。ヤフーオークションを通じてこれまで18点になった。同じ作者のコレクションとしては、まあまあの数になったと思う。最初の頃はオークションでも競う相手もなく、一万円前後で落札できたが、最近では入札件数も増え、二万円前後まで上がってきた。こうしてブログに書いたことも一因で、自業自得である。最終的にはどこかの美術館でまとめて預かってもらえるなら寄贈したいと考えている。

 以前のブログでも述べたが、土屋嶺雪は何らかの美術団体に属しておらず、展覧会にも作品を出していない。屏風に描かれた比較的大きな作品もあるのだが、あくまで個人に頼まれて描いたもので展覧会用のものではない。通常、画家は展覧会用の作品と生活のための作品は違う。展覧会用には、自分の技術を存分に注入して大型で人目をひく作品を作る。もちろん賞があればそれを目指すし、何より展覧会により名が知れることを求める。そうして名前が売れるようになると、画廊などを通じて小型の家の床の間や応接間に飾る絵を売る。中にはお金持ちからより大きな作品を頼まれることもあるが、こうした金が生活費となる。一方、土屋嶺雪のような展覧会には出さない、美術団体にも属さないとなると、その評判を聞きつけた、いわゆる口コミで作品を依頼されたり、知人を介して作品を売ったのであろう。

 嶺雪の画風は、師匠であり、友人であったと思われる橋本関雪に近い。山水から動物画、歴史画などジャンルも広いことも似ている。ただ画力について言えば、かなり落ち、関雪は一流とすれば、嶺雪は二流以下、三流くらいのレベルである。関雪は帝展などにも大型で見事な作品を出しているし、帝国美術院にも属して建仁寺の襖絵など歴史に残る作品も描いている。掛け軸のような小品でも優れた作品が多く、嶺雪の作品と比較するとその才能の差は大きい。

 近年、田中一村や不染鉄など、特定の美術団体に属さず個性的な絵画を描いてきた画家の掘り起こしが流行っているが、土屋嶺雪に限って言えば、特定の分野に長けているわけでもなく、また独創的な絵でもない。つまり凡庸でそれほどうまくない絵描きである。それでも彼の作品を18点集めてみると、中にはいい絵もあり、長年、暮らしていた兵庫県、もう少し狭く言うなら明石市くらいで展覧会をするくらいは、いいのではないかと思う。これまでほとんどオークションや画廊にも出てこなかったが、こうしたブログで紹介するうちに少しずつ出てきた。これまではオークションに出てきた作品を出来るだけ落札するようにしてきたが、この養老の瀧のようなあまりできのよくない作品もある。買おうかずいぶん悩んだが、コレクションとしては下手なものも入れなくてはいけない。今後はもう少しいい作品を中心に集めていきたい。


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