今年の春にオープンする弘前れんが倉庫美術館、館長に三上雅通氏が決まった。三上さんとは弘前ロータリークラブで少し面識があるが、頭の回転が早く、本職の弁護士でも母校の慶應義塾大学の法科大学院で教授をしていたほどの学識を持つだけでなく、こと映画に関する知識は半端でなく、ほとんどオタクと呼べるほどすごい。さらに弘前で行なった奈良智美さんの3回の展覧会でも主要なメンバーとして活躍し、成功に導いた。そうした意味では弘前の知識人の中でも最も新しい美術館の館長にふさわしい人物といえよう。もっと早く内定して欲しかったという不満はあるものの、本当にいい人が館長になってよかった。
三上さんが中心になって活動しているNPO法人Harappaの活動を見ていると、新美術館の活動がおおよそわかる。ズバリ弘前市民にためにアートを切り口にいろんな活動をする拠点にするというものであろう。弘前市は観光拠点に美術館を考えているが、もちろんそうした要素は重要であるが、さらに弘前市が全国的にもアートの街として有名になり、そこに住む住民も自分の街をアートの街として誇れるようになってほしい。美術館の周囲に古民家や古い家をリノベーションした喫茶店やレストランがあってもいいし、古い映画館がリバイバルしてもいいだろうし、音楽祭や映画祭もいいなあ。また若者が作った陶器や家具を売る店もあってもいいだろうし、自分のデザインした服を売ってもいいだろう。
2ヶ月ほど前、土手町を歩いていると、中年の外国人女性が地図を片手に困っていた。近くのメガネ屋に入ってその店主に聞いているようだが、英語がわからなく無駄だったようだ。そのまま行き過ぎようと思ったが、途中で引き返し、その女性に何か探しているのか聞くと、英語で書かれた弘前の小物、インテリアショップのマップを見せてくれた。イタリアから来たようだが、日本の小物が可愛いく、弘前でもいろんな店を探しているということだった。探している店は代官町にある店だったが、その日は定休日で、違う店を教えて別れた。わざわざ海外から来て弘前の店を探すのかと思ったが、逆のこと、私がイタリアのミラノに行けば同じように地図片手にミラノの骨董店に行っているかもしれない。
こうした街を探索するのは楽しいことであり、さらに一軒一軒の店が全国にもここしかない商品がある店であれば、それは個性があり、面白い。これも一種のアートであろう。大きなシッピングモールもいいのだが、こうした個性的な店が集まった街はもっと面白い。
以前のブログで是非、美術館では野外シネマ上映をしてほしいと述べたが、館長が三上さんであれば、より可能性は高くなった。ただ野外シネマの問題点は近隣の住民に反対される可能性がある。多くの人が集まれば、近くの住む人からすれば騒音になり、迷惑になろう。おしゃれな美術館であれば、“ロシュフォールの恋人たち”や“シェルブールの雨傘”などのフランス映画がいいなあと思っていたが、ふとここは、成瀬巳喜男の“石中先生行状記”はどうだろうか。撮影は地元弘前で行われており、1950年当時の弘前の街を映し出している。美術館近所に住む住民にも懐かしい映画、風景であろう。近くに住んでいる人々が楽しい野外シネマという点ではこうした地元の作品、例えば美空ひばりの“リンゴ園の少女”や“八甲田山”もいいかもしれない。
PS:もうすぐ見られなくなると思うが、“石中先生行状記”がyoutubeで挙げられている。昭和25年当時の弘前の姿が出ていて面白い。杉葉子さんという女優、今風でスタイルが良い。三船敏郎さんもハンサム。藤原釜足さんは親父の旧友で、いい味を出している。昔の土手町界隈はわかるが、他の場所はあまりわからない。第二話の芝居小屋は弘前のものだろうか。教えて欲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=1EfbRTMPD_M
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