2020年4月19日日曜日

N-95 マスク

買ったのはこれ Crosstex社
前回のブログに紹介したシャワーカーテンを利用した医療用ガウンです。家内に作ってもらいました。消毒液をいっぱいかけられるのでカワクーノと併用すれば、使い回しができそうです。このマスクは普通のサージカルマスクです(3M).


カワクーノ 回転しないのでシワになりにく




 通常のサージカルマスクよりさらに高機能なN-95マスクの入手がほぼ不可能となっている。ネット上では中国製のN-95マスクが高い値段で取引されているが、こうした商品がN-95に相当する基準に達しているか、不明であり、やはり3Mなどアメリカ、日本企業以外のN-95マスクは信用置けない。

 歯科診療では、どうしてもタービンと呼ばれる高速な切削器具を使うことが多い。あのジェット機のようなキーンとうるさい機械である。圧縮空気を利用して内部の歯車のようなものを高速で回転する。切削時、高い熱を発生するために水を噴射しながら歯を削る。この際に発生するエアロゾルが問題で、もし感染者がいれば、その口腔内のウイルスがこのエアロゾルとなり、空気中にばらまかれる。通常の咳やくしゃみの場合は水分にウイルスが包まれるので、通常のマスクでも捉えられるが、エアロゾル化したウイルスは通常のマスクを通す。そのためアメリカ歯科医師会でも、基本的にはエアロゾルの発生するタービン、超音波スケーラーによる歯科治療は控えるように言っているが、それでも使わないわけにはいかない。その場合は、ゴーグル、防護服、グローブとともにN-95マスクの着用を勧めている。

 矯正歯科ではタービンを使うことは少ないが、それでもタービンを使う時はN-95マスクを着用して治療するようにしている。現在、ギリギリで手に入れたものも含めてアメリカ製のN-95マスクも少なくなり、再利用を検討しなくてはいけない。

 厚労省の推薦するN-95マスクの推薦は、過酸化水素水プラズマ滅菌器あるいは。過酸化水素滅菌器などであるが、いずれも大病院の滅菌室などにある特殊滅菌器で、歯科医院にはこうした器具はない。もう一つの方法として5枚のマスクを5日間のサイクルで再利用すると言うもので、紙についたウイルスは72時間で死ぬという研究に基づく。そこで私のところでも曜日を記載して、紙袋に入れ、72時間以上経ってからもう一度使うようにしていた。

 ところが4/17のニュースで香港の研究者の実験で、なんとサージカスマスク上のウイルスが最も長生きし、マスクの内側で4日後まで、外側で7日後まで感染力の持つウイルスが検出されたと言う。内側のマスクでは7日後にようやく陰性化したが、外側はわからない。これはショックで、マスクに限り、72時間たってもウイルスは死んでいないことになる。そこで他の方法を考えてみた。前述した実験では56度の温度で30分、70度の温度で5分でウイルスが死ぬ。そういえば台湾のIT大臣が電鍋という台湾の炊飯器でマスクの再利用を説明していた。これによれば70度くらい、8分でマスクの除菌ができ、3回くらいは再利用できると言う。香港の実験結果と似ている。つまり70度くらいの温度で8分以上おけば、除菌できることになる。

 医院にある乾熱滅菌器やオートクレーブは70度の温度設定はできない。温度調節のできる小型の乾熱消毒器をネットで買う方法もあるが、今後の活用が望めない。騒ぎが収まってからも使えるものとなると、まず思い浮かぶのが布団乾燥機である。ダニ退治機能も付き70度以上の高温となるため、マスクを30分ほど容器に入れて布団乾燥機で高温にすれば十分に除菌できそうである。ただマスクだけでなく、ガウンも除菌しようとすれば容器を検討しなくてはいけない。そこで他に何かないか検討すると、カワクーノという吊るして乾かす乾燥機がある。内部温度は70度くらいにはなるようなので、この乾燥機にマスクや防護服を吊るせば30分で理論的には除菌できることになる。排気は上部の穴から出るようで、ここから出たウイルスは3時間は空気中に漂うので、閉院後に30分セットして翌日、窓を開けて換気すればよかろう。ただ空気中に漂うウイルスが壁、床についたらと考えると、診療室の外、倉庫の方がいいのか、いろいろ悩む。まず自分の帽子、マスク、ガウンなどカワクーノに入れて使ってみたい。騒動が終われば家で衣類の乾燥に使えて便利そうである。
*4/22から開院前の30分、マスク、ガウンを入れて乾燥してみた。その後、ガウンは次亜塩素酸系の消毒剤を開始時、昼休みと終了時に噴霧している。効果は不明である。たた濡れたタオルを乾かすには1時間の乾燥では無理のようで、2、3時間はかかりそうである。

** 4/30   N-95マスクはFDAにより認定され、そのリストは以下のサイトに載っている。現在、楽天などで買えるN-95のマスクはリストに載っていない。つまりN-95相当という意味しかない。3M、日本製や中国企業でもこのリストに載っている製品はほとんど買えない(唯一、Moldex社くらいか)。恐ろしいのは、こうしたまがい物のN-95を病院に寄贈する会社や団体があり、善意が逆に医療従事者の感染を生む可能性がある。
https://www.cdc.gov/niosh/npptl/topics/respirators/disp_part/N95list1.html

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