2020年10月1日木曜日

津軽のワイン

 


サッシーノのネッビオーロワイン,
国産ネッビオーロ種のワインは珍しい。

 青森県といえば、りんごが有名であるが、最近では地球温暖化の影響で、桃やぶどう、さらにはお茶の栽培も可能になってきた。りんごについては、二次あるいは三次産業として、種々の加工品が出てきており、その中でもりんごを使ったアップルワイン、シードルの生産が近年、脚光を浴びている。もともと、りんごそのものとしては商品価値の低い傷物りんごの加工としてリンゴジュースの生産があり、さらには弘前市栄町にあるキリンシードル工場では、そうしたりんごを使ったシードル、ワイン、ブランディーが作られていた。10年ほど前に、弘前市はハウスワイン・シードル特区を制定し、りんごを使ったワイン、シードル生産の障壁を低くした。結果、多くのシードル工場ができた。その一部は、最近できた弘前レンガ倉庫美術館に隣接するレストランでも楽しめる。さらに一部の農家と生産者は果敢にも本格的なワイン生産に挑んでいる。

 

 もともと明治の初め、士族の殖産のために、ブドウが入り、今の弘前駅前の場所には大きなブドウ農園があった(藤田葡萄農園)。そしてそのブドウを使ってワイン生産を試みたが、どうしてもうまくいかず、結果的には“ぶどう液”と呼ばれる独特な濃い葡萄ジュースが生産され、年配の方には病気の時の滋養品として親しまれている。当時は、寒さに強いぶどう種や生産方法が確立されていなかったのだろう。その後、葡萄の生産量は全国でも9位となる程増大した。

 

 これまで青森県のぶどう生産は、主としてマスカットやスチューベンのような食用果実であったが、ここにきて弘前市はJAつがると協定を結び、本格的なワイン用ぶどうの生産拡大を目指すことになった。日本でのワインをいえば伝統のある山梨県、長野県が中心であるが、弘前のブドウを使ったワイン、“ジャパンプレミアム 津軽産ソーヴィニヨン・ブラン”が欧州系品種白で、日本ワインコンクールで2016年から三年連続で金賞を受賞している。生産は山梨県であるが、ワインはブドウの生産地が決定的で、本場フランスやイタリアでも、ブドウの生産地が大きな評価の一つとなっている。このワインは飲んだことはないが、弘前産の赤ワインで面白いのは、弘前の誇るイタリアンレストラン“サッシーノ”が作っているワインである。オーナーの笹森さんは料理に使う食材は何でも自分で作ると言う変わった人で、その一環として自分でブドウを育てワインを作っている。料理人だけに、日本では珍しい品種のワインを作っている。メルローやシラーなどの有名な品種以外にも、イタリアで多く作られているサンジュヴェーゼや主としてイタリア北部、ピエモンテ州で作られるバルベーラ、ネッビオーロなどを自分の農園で作っている。なかなか雪の多い津軽でも生産には苦労しているようで、生産は数百本の限られているが、今後はもっと生産量は増えそうである。もともとイタリアワイン、それもピエモンテ州のバローロが好きなため、同じ品種を使ったサッシーノの弘前ネッビオーロのワインは本当にうまい。まだ値段が高いが、1本3000円くらいになれば、本場のバローロに負けない売れるワインになるかもしれず、楽しみである。

 

 ネッビオーロ種のブドウは非常に繊細なもので、世界でもイタリアのピエモンテ州の一部しか生産されていない。栽培が土壌や気候に左右され、生産量も低い。笹森さんの農園でも、ほとんど生産できなかった年もあり、その生産量はかなりに増減があるが、それでも青森県で栽培できるのは間違いない。レストラン経営と二足のわらじを履くのは大変で、できれば、他県の方でワイン作りに情熱を持つ方が、弘前産ネッビーロワイン、弘前バローロを目指して欲しい。1000円以下の安いワインは生産量の多い海外製ワインに太刀打ちできず,こうした高級ワインは十分に勝算はある。


2 件のコメント:

kuma さんのコメント...

津軽のワインはまだ飲んでいませんが、美味しそうですね。八戸もイタリアンレストランのリストランテ澤口の澤口さんが、八戸でのワインの本格始動を初めて数年が経ちますが、個人的にはまだまだと思っています。以前中国で名前は忘れましたがとんでもない高級ワインを出したことがありましたが、醸造過程でフランスの名だたるシャトーの職人達をたくさん釣れてきて作っているのを聞き、やはり本場の職人が何人かいないとダメなんだなとか、嫌いな支那に変に感心したりしました。もちろん職人の皆さんは本国に逃げ帰りましたが(笑)。ワイン大好きなんで先生の話に飛びつきました(笑)たまに飲むジンファンデルと言う品種のワインが好きだったりします。

広瀬寿秀 さんのコメント...

実を言うとワインの味はあまりよくわかりません。ただ産地よりはブドウ種の違いの方がはっきりしていて、その点、フランスよりイタリアワインの方が地場品種が多く、好きです。サッシーノのワインは500本くらいの極めて少量生産です。少し高く9000円くらいします。ピエモンテのバローロの同じ値段のものより軽い感じがします。国産ワインということで勘弁してください。まあ2000-3000円クラスでしょうか。
直接、店(ネット)でも買えますが、下記の酒屋でも扱っています。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~kanoya/wsj%20dasasino.html