2021年12月16日木曜日

韓国の平均賃金が日本を超えた



韓国の一人当たりGDP、平均賃金が日本を超えたというニュースがネット上で話題になっている。2021年度の調査では、韓国の一人当たりのGDP43780ドル、日本は41507ドル、年収は韓国が462万円、日本が424万円で、いずれも韓国の方が優っている。これに対して、集計方法の問題だとか、韓国は海外分も入れている、年齢構成が違う、大企業のみの集計といった意見もあるが、それでも日本並みになってきたのは間違いない。

 

1965年(昭和40年)当時の日本人のサラリーマンの平均年収は448000円、当時の為替1ドル−360円で換算すると1240ドルに対してアメリカの年収はおよそ1万ドルで日本の8倍ほどであったが、その後、日本も物価上昇とともに年収も増え、1990年にはアメリカが47000ドル、日本は4万ドルと接近したものの、その後、2020年ではアメリカが6万9000ドル、日本は39000ドルと差が開いた。

 

どうも日本だけ1990年代以降、物価、賃金の上昇もなく、韓国が追いついてきたというのが実際である。日本と近い国はイタリアで、他の欧米の主要国は軒並みに賃金と物価の増加が起こっている。このことは日本、イタリアは、他国からすれば相対的に物価が安く、逆にアメリカは物価が高いことになる。そのため観光客からすれば、日本やイタリアが最もコスパの高い国となる。逆に言えば、アメリカ製品のコスパは低い。それでもアイフォンは売れるし、B-35戦闘機も売れる。値段が高くても売れるものだけを生産しているのだろう。それではアメリカは何で儲けているかというと、ほとんどは金融、IT関係の企業によるもので、何かを実際に作って儲けているものではない。同じ百万円を儲けるのに、株で儲けるのは家にあるコンピューターで、わずか1日でできるかもしれないが、これを服を作って儲けるとなると、デザインを決め、工場に発注し、そして小売に卸して売る。恐ろしく手間が掛かる。

 

現代社会は、世界がインターネットでつながれ、例えばUSA Amazonを使えば、一部商品は買えないにしても、税金と輸送費を払えば、全く日本のアマゾンと同じように買える。以前は海外から購入した方が安い商品も多くなったが、ここ数年で関税も下がり、簡単に買えることから、海外との価格差も減ってきた。こうしたネットによる購買がさらに進むと、世界中から何でも買えるようになり、市場としての商品価値は均質化され、ある意味、世界共通の価格となる。中国製の時計はいくら頑張っても1万円以上することはなく、日本のセイコーやカシオは数万円、そしてスイスのロレックスは百万円の値段がつく。これが世界中の共通価格となる。国によりその生産品のブランド化が決まり、韓国製サムソンと日本製パナソニックのブランド差はなくなったのであろう。

 

青森県の平均賃金は東京の約半分の2万2000ドルくらいで、ポーランドやブラジルのリオデジャネーロの平均賃金と同じくらいだったと思う。青森県には農産品、漁獲品以外に大きな産業はなく、ましてや金融やIT関係の企業はほとんどなく、公務員が一番いい職業と考えられている。日本とアメリカの関係が、そのまま青森と東京の関係に相似しており、青森での生活を考えることで、ますますアメリカとの給与面での差がつく将来を予想できる。結論としては、料理、家賃など物価は安く、賃金が安くともそれなりの幸せな生活ができ、決して東京より賃金が安いからといって困ることはない。ただ、30年以上、物価も上がらないが、賃金も上がらないのは、かなり異常な状況であり、そろそろ賃上げ、物価の上昇となることは間違いない。また円ドルの為替レートも今の円安傾向より円高傾向が理にかなっており、例えば、1ドルが80円になるだけで、日本の平均賃金は56000ドルとなりカナダ並みとなる。個人的には1ドル115円は安すぎ、100円くらいが妥当と考える。

 

アジアでも賃金が最も高かったのが日本であったが、これからアジア諸国も賃金が上昇すると、海外技能実習制度などは崩壊するであろうし、ノーベル賞を受賞した真鍋淑郎のように優秀な人材の頭脳流出も顕著になってくるかもしれない。アジアの先頭を牽引してきた日本の役目は、そろそろ終了しているのかもしれないが、日本のような国がなかったアフリカの現状を見ると、日本の功績は大きい。


 

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