2021年12月12日日曜日

外資系歯科メーカーについて

 


現在、私の診療所では、保定患者を中心に、EMS社のエアーフローを用いた歯のクリーニングを行なっている。細かい粒子を高圧で、歯の表面い吹き付け、着色などを除去するもので、一部の一般歯科医院では、歯周疾患の治療のために積極的に使っている。ブラケットがついた歯についても、これまでのPMTCよりは綺麗にプラークを取ることができて、患者さんからも喜ばれている。

 

元々はモリタから出ていたハンディータイプのものを使っていたが、EMSの衛生士の方から、今度、新型のプロフィキシスマスターという製品が出るので、これを是非使って欲しいと言われ、日本で未発売の時から欧米のカタログをチェックし、日本で販売と同時に購入した。そのため東北でも早い導入であった。日本では松風が代理店として扱うことになったが、最初の導入のため、何度か故障があり、そのたびに松風の担当者が修理に来て、お世話になった。

 

その後、松風からスイスのEMS社が直接、EMSジャパンを作り、ここで扱うことになった。ただこうした外資系の歯科材料屋にありがちな、傲慢な経営方針に変わり、まず年に一度のメンテナンスを求められた。一回のメンテナンス料は5万円で、それ以外にも交換部品や修理費が必要となる。医療機材であり、構造上もパウダーなどが機械内に詰まることもあるので、年に一度のメンテナンスは、仕方ないと受け入れた。ただここでも外資系特有の合理的というか、せこい方法がとられ、メンテナンスをする場合、それ専用の箱が送られ、それに詰めて送るのだが、簡単には梱包できず、なかなか難しい。これまでの松風で扱っていた時は、青森の機材屋にそのまま渡せば、そちらから送ってくれるので、手間が省けた。さらにメンテナンス中の代品は以前が、タダであったが料金がかかるようになった。

 

ここまではまだ辛抱できた。かなり日数が経ってから、メンテナナンスが終了した機械が送られてきた。ところが今まで故障したことがない、スケーラーの調子が悪いと衛生士がいう。もう少し様子を見るように言ったが、やはり調子が悪い。メンテナンスに出して、すぐに故障が出るようならメンテナンスの意味がないような気がし、不満が残った。よほど前の松風の方が、対応が良かった。そこでこうしたユーザーの不満は直接会社に伝えた方が良いと思い、電話すると電話を取った女の方が対応し、上の人に電話を代わって欲しいと頼んでも、私が対処しますの一点張りで、結局、上の人にこうしたクレームがありましたと伝えて欲しいと言って電話を切った。せいぜい20-30名の小規模会社で、よほど電話をとる人と社長の間に距離があるのかと思った。常々、受付に、少しでも問題があるような電話は決して自分で対応しないように言っているが、受付、あるいは下の社員とトップとの風通しの悪い会社は、経験上、大きな問題が出る。知人で日本のトップの銀行、10万人以上の社員がいる銀行の役員がいるが、彼は俺が高給をもらっているのは、人に頭を下げる、謝るからで、部下の失態があれば、すぐに謝りに行くと言っていた。同じクレームでの上の人が謝りにくれば、それで済む場合が多い。外資系の会社、EMSだけでなく、カボ、シーメンス、デンツプライ、と言っても別に社長が外人ではないだろうが、どうも日本のメーカーとやり方と違い、私のような古い人間にはついていけない。ただ矯正機材の多くは、50年前から外資系会社であったが、非常にユーザーと長年、良好な関係を築いていたことから、外資系会社に問題があるわけでない。こうした外資系歯科機材の会社は、トップが歯科畑の人ではなく、他の分野の商法を歯科に持ち込もうとしているように思える。歯科用ユニットのプランメカもそうだが、最近はどうも日本のメーカーに任せず、本社が直接にタッチするようになってきたが、こうした傾向がうまくいけばいいのだが、心配である。医療系の会社は、物を売り、金を稼ぐだけでなく、ユーザーの向こうに患者がいるのを忘れないでは欲しい。そのため、利益が少なくても、それを利用する患者がいる限り、継続することも必要となる。会社の財務表を見て、利益の少ない部門を廃止し、成長する部門に集中するのは、確かに経営的にはいいのかもしれないが、同時に医療メーカーとして責任も忘れないで欲しい。特に外資系の社長の多くは、海外の大学出身者であり、こうした古い日本式の商慣習を知らないようだが、とても大事なことと思える。


 最近、カボもプランメカの傘下に入った。これまでのカボのやり方、CTの被ばく線量はパントモ以下として売る、故障すれば高い修理費がかかるので、月々のメンテナンス費を払った方がお得といったやり方は問題あるのはこのブログでも度々指摘した。前者は欧米のガイドラインに違反した販売法であり、後者は自分の会社のユニットは故障を起こしやすいと自分で言っているようなもので、売上だけを考えた浅はかで、ばかな戦略である。おそらくこれまでOEM

で売っていたCT、顎運動装置や、場合によっては歯科ユニットも、プランメカ製品と競合するため、販売の見直しが行われるだろう。


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