2021年12月18日土曜日

歯科医院を選ぶポイント(子供の矯正治療)


 


2年ほど前から、子供の患者は治療終了まで数年以上かかるため、新患は原則的に断っている。そのため、患者構成も10年前は18歳以下が70%であったが、今は口唇口蓋裂患者を除くと、ほぼ成人患者が占めて、18歳以下の患者も20%程度になった。

 

私のところでは、マルチブラケット装置の調整では、まずワイヤーを外し、調整あるいは新たなワイヤーを曲げて装着し、説明して、終了となる。全て一人でしているので15分の予約を入れているが、衛生士による歯磨き指導以外には、他の患者が一緒に治療することはないため、同時間には一人の患者しか入れていない。さらにマルチブラケット装置の装着は1時間、治療途中の1年検査では30分かかるために1日の患者数はせいぜい20-30名くらいとなる。衛生士にワイヤーの交換などさせればもっと患者はみられると思うが、どうも自分でしないと気が済まない。それでも以前は、土曜日以外はだいたい10-15名くらいで多少は休憩の時間もあったが、最近は患者が多く、ほぼ毎日、20-30人、土曜日は40人程度となり、これ以上の患者は見られない。患者の多くは来院時に1ヶ月後の予約をするために、特に新規の患者の予約はかなり先になってしまい、ご迷惑をおかけしている。

 

子供患者を見ない点については、一番多い反対咬合の患者さんの例で説明する。早い患者さんでは45歳頃に来院する。ムーシールドという装置による治療を使ってかみ合わせが治ることがあっても、上の前歯が萌出する7、8歳の頃にまた治療が必要となり、骨格性反対咬合の場合は、ここまでが一期治療で、ここから成長終了まで経過観察となる。二期治療は、早くて女子で13,14歳くらいから、男子では16-18歳くらいからマルチブラケット装置による仕上げの治療となる。さらに2年ほど治療を行い、保定となる、ここまで10年以上となる。私の場合はとてもこの年齢までは仕事をしていないので、小児の患者を取っていない。同様に、叢生、上顎前突のケースも少なくとも高校卒業までは見ていく必要がある。

 

子供の歯並びについて、何とか見てもらえないかという電話も多いが、上記の理由と患者が多いため、誠に申し訳ないが断っている。それで、どこに行ったらよいかと聞かれるが、これは紹介にも責任が生じるので、基本的には自分で探すように言っている。まずネットや知人から評判を聞き、実際に何軒も訪ねて一番、信用がおける歯科医院での治療を選ぶのが良い。その際のポイントは

 

大まかな治療方針を聞く。いつまで治療が必要で、それまでにかかる費用を聞く。これは経験のある歯科医であれば、検査などしなくてもだいたいわかる。早期治療を勧められた場合は、治らなかった場合のことも聞く。子供の治療、一期治療で終わる症例は少なく、多くの場合はマルチブラケット装置による二期治療を必要とする。一期治療で治らない場合、二期治療は他院に紹介すると言われれば、料金についても聞いておく。二期治療を他院で紹介しても、まず新規の患者扱いとなり、一期治療費は無駄となる。それなら、最初から二期治療をする歯科医院に紹介してもらえばよいことになる。すなわち、最後まで責任を持って矯正治療をしてもらう先生が良い。ただ長期の治療となり相性などもあるため、必ず数軒の歯科医院で意見を聞いてから治療を始めてほしい。また転勤などの可能がある場合も、転医、その際の返金なども聞いておく。

 

日本矯正歯科学会では、上顎前突、反対咬合のガイドラインを示しているが、それによれば、あまり早期治療の意義を示されておらず、そうしたガイドラインを読んでおいて先生に質問することも大事である。こうしたガイドラインは治療の基礎的な資料であり、ある程度、矯正治療をしている先生であれば、十分に理解しており、患者さんの疑問に答えられる。中にはエビデンスのほとんどない治療法が勧められることもあり、気をつけたほうがよい。

 

https://www.jos.gr.jp/guideline

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