2022年2月12日土曜日

大橋歩さんのイラスト

 



フランスのthe model cyclistのフィギュア



私たちの世代にとって大橋歩さんとは、平凡パンチの表紙を担当したイラストレーターとして知られる。創刊号から7年間、390号まで、その独特なイラストは、若者に支持された。当時、若者の雑誌といえば、週刊プレイボーイと平凡パンチが二大双璧であったが、プレイボーイは雑誌内容そのもの、人気ある女性アイドルを表紙にしていたのに対して、平凡パンチはあくまでイラスト表紙に固執した。ただ若者にとっては、直接好きなタレントの裸が載る週刊プレイボーイの方が売れ、次第に平凡パンチもそうした方向に変化していった。

 

今回、大橋歩のイラストが数点、ヤフオクに出品されていたので、その中でも大橋さんの特徴的なタッチが出ているものを購入した。届いた作品は、オークションの解説にはパステル画と書いていたが、表面をなぞるように観察しても、パステル絵具の厚みが見当たらず、ひょっとしたら印刷画かと思った。額縁も古いため、額縁の裏のテープをすべて剥がし、絵を直接見てみると、自筆のパステル+水彩画ということがわかり安心した。解説ではピンクハウスのイラストに使われたものではないかとしているが、はっきりしない。大橋さんは1980年代に人気のあったファッションブランド、ピンクハウスのためのイラストを10年ほど担当したいたので、構図からもその中の一枚と思われる。いつものように額縁のタカハシに生成りの立体額を注文したが、横長のものを注文したため、上下の幅が狭く、バランス的に変になってしまった。正方形のものにすべきであったと悔やまれる。

 

大橋さんの最近描いた原画あるいは版画は、京都のイオプラスというお店や、ほぼ日TOBICHIのオンラインショップで販売することもあるが、あまりオークションで作品は出てこないので、今回は少し奮発して購入した。

 

大橋さんは1940年生まれなので、今年で82歳だが、おしゃれで、その絵や洋服は若者に人気があり、最近では村上春樹の「村上ラヂオ」のイラストで知られ、また洋服ではhobonichi +A.というブランドでエージレスの服を作っている。

絵本作家の角野栄子さんもおしゃれで、明るい赤の洋服が似合う方だが、大橋歩さんも、自分のデザインした洋服を着て、本当に素敵である。こうした年配の女性の方が多くなれば、老人人口の多くなった日本もおしゃれな国になるだろうと思うが、まだまだで、もっとテレビや雑誌、他のメディアでも、こうした明るい洋服や髪型もおしゃれというムードを作れば、真似る年配の方も増えるかもしれない。

 

ここ十年くらい、診療所のインテリアや絵もクラッシックなものからモダンのものに変えてきてきた。院長室には、いまだに鹿児島大学の後輩から送別会でもらった桜島の絵と弘前の版画家、下澤木鉢郎の版画を掛けているが、それ以外のクラッシックな絵は、母親の絵の師匠、武井泰道の絵で、診療室に飾っている。あまり言いたくないが、弟子になると師匠の絵を購入する義務が生じ、仕方なく購入したもので、それほど好きな作品ではないので、この際、撤去して倉庫に移動し、そこに大橋歩さんの作品を飾った。飾った当日、患者さんから「いい絵ですね」と言われ、案外、患者さんは診療室の中を見ているものだと思った。

 

村上隆がプロデユースするZingaroというところで、日本の現代絵画をネット販売しているが、この中でもダントツに人気の高い作家は、KYNEという画家の若い女性を描いた版画で、それこそ数十秒で売れてしまい、すぐに倍くらいの価格となり、そして一年後には4倍くらいとなる。ロッカクアヤコさんの作品もそうだが、まだまだ現代絵画のバブルは続いており、KYNEの例で言えば、2017年に6万円で買った2枚の版画が、20212のヤフーオクションでは256万円で落札された。画廊であれば、このさらに倍の価格であり、50部のシルクスクリーンでこの価格は異常である。完全な投機物件となっている。

 

若い女性の患者さんが多くなったので、もう少し、こうした年齢層に合わせたインテリアを目指したい。


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