2022年2月3日木曜日

カムカムエブリボディ

 



 NHKの朝の連続テレビ小説「カムカムエブリボディ」がとてつもなく面白い。この番組は昭和から平成への3世代のヒロインを扱ったもので、最初の上白石萌音、安子編は、女優さんがそれほど好きでなかったこともあり、通常の連続テレビ小説を超えるものではなかったが、深津絵里演じる二代目るい編になると抜群に面白くなった。こうした連続テレビ小説は、毎朝、ルーティンに見ている人も多く、それほど次回が待ち遠しいということはなかったが、このるい編になると、毎回、次回はどうなるのだろうかと期待してしまい、実際、視聴率も徐々に上がってきている。

 

深津絵里さんは確か50歳近いと思うが、最初の頃、20歳代は少し違和感があったが抜群の演技で最近はほとんど馴染み、違和感は全くない。るい編の最大の魅力は、オダギリジョーが演じるトランペッター、大月錠一郎のキャラで、ほのぼのとした明るさはたまらない。もともと脚本家の藤本有紀は、オダギリジューを念頭に置いて脚本を書いたようで、おそらく期待以上の演技となっているのだろう。

 

最新回では、るいの娘、ひなたが登場し、面白いキャラを展開している。ひなたは昭和40年生まれで、令和4年では57歳となる。ひなたの小学校のランドセルは、革製のごついものではなく、京都市独自のランリックという軽量のものを使っている。京都市では子供にとってランドセルは高価で、重たいということで昭和43年頃から使われるようになり、昭和40年生まれのひなたももちろんこのラリックを使う。流石に時代劇ファンというのはこの世代でもよほど変わり者であったと思うが、当時、流行っていたヒッピーのような個性的なお父さんの子であれば、さもありなんと思ってしまう。

 

子供達が時代劇に夢中になったのは、昭和37年から昭和40年まで放送されていた「隠密剣士」くらいまでで、当時は忍者が流行り、子供達は手裏剣で遊んだ。その後、子供向けの時代劇はなく、大人向けの「銭形平次」、「三匹の侍」、「水戸黄門」などが人気があったが、学校でもそうした番組が話題になることは一切なく、ましてひなたが登場する昭和50年頃、小学生が時代劇を見ることはよほど珍しく、父親といつも時代劇を見ていたことによる珍しいパターンである。個人的には、昭和48 年から放送されていた萬屋錦之介主演の「子連れ狼」は面白く、憧れたが、当時、私は17歳で、その年齢で見た場合の印象である。決して小学生がハマる番組ではない。

 

最近では、ネットフリックスの普及により各国のドラマを簡単に見ることができるようになった。韓国ドラマ、台湾ドラマ、アメリカドラマ、中国ドラマなど、国によりドラマの質は変わり、韓国ドラマはドロドロしているが、台湾ドラマはほんわかして、アメリカドラマはアクションものが多く、中国ドラマは歴史物がすごい。こうした国によるドラマの違いがあるが、日本を代表するドラマとなると、やはりこのNHKの朝の連続小説ドラマであろう。毎回15分という短い番組ではネット上で流すのは難しく、1時間物に編集しなおして、ネットにあげれば、日本独自のドラマとして世界各国でも人気が出そうに思えるがどうであろうか。NHKも経営手法を検討するなら、そのコンテンツを例えばネットフリックスを通じて世界に発信すべきであろう。

 

この番組の脚本家、藤本有紀さんは、番組のあちこちに伏線を植えて、後の回で、それをバラすという手法をよくする人なので、朝見て、夜の再放送を見て、なおかつ静止画でセット全体を見るようにしている。ネットでも書かれているが、いろいろな仕掛けが番組に盛り込まれ、そうした舞台演出の楽しみを味わえる番組となっている。ここまでくれば、徹底的に伏線を張り巡らし、何度も楽しめる番組にしてほしいものである。

 


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