2023年1月12日木曜日

青森県のこれからの観光 アグリツーリズム 民泊

 


これからの日本の観光の大きな柱は、田舎の景色や環境を満喫するアグリツーリズムであろう。ドイツ、イギリス、フランスなどでは長期休暇を利用して農村部に出かけ、自然を楽しむアグリツーリズムが盛んである。本格的な料理が出て、宿泊設備も整ったホテルのようなところから、一般家庭に泊まる民泊のようにものまでいろんなタイプがある。都会に疲れた人々はストレスを解放し、住民との交流ができる、こうしたツーリズムに憧れ、人気がある。友人の夫婦もイタリアを自転車で周り、村村の小さな宿や民泊を楽しんだ。ホテルのレストランで食べられないような家庭食と地元のワインを堪能でき、思い出の深い旅になったようだ。

 

旅行者にとっては、観光地に行って、美しい景色を見たり、郷土料理を食べたりするのは楽しいことであるが、それ以上に思い出に残るのが、地元の人々との交流である。以前、松本市を探索して、疲れて椅子に座っていると、地元のおじさんが地図片手に近場の隠れた観光地を説明してくれた。どこに行ったか忘れたが、こういうちょっとした交流が記憶に残る。ましては、地元の実際の家に泊まり、そこの家庭料理を食べ、あるいは農作業に一部でも手伝えれば、大きな思い出になることは間違いない。ハワイから来た観光客が私の家に泊まり、夜はきりたんぽ鍋を食べ、日本酒で酔い、翌日は積もった雪片付けを手伝う。こうした経験は通常の旅行では得難いもので、ましては宿泊、食費は安ければ、利用したい観光客は多いと思う。

 

海外に行くと、日本の風土は本当に美しいと思う。特にこれほど四季がはっきりしているところは少なく、また農村部の景色も美しい。青森県でも、台湾の中学生を農村部に招いて、一種の修学旅行のようなイベントをしているが、台湾の中学生にとっては、東京や京都の方が楽しいだろう。むしろそうしたところに飽きた20歳以上の方には日本の農村部の家に泊まれる旅行は受けると思う。先日、仙台に行くために奥羽本線で弘前から新青森に電車で行った。二人の若いカップルが大きな旅行カバンを持って電車に乗っていた。おそらく青森空港から弘前駅にバスで来て、そのまま電車に乗ったのであろう。冬の青森に初めて来たのだろう。北常盤駅で降りたのだが、電車のドアが開き、雪にホームに降りた瞬間、「やばい」と叫んでいた。あまりの田舎と雪の多さ、寒さが想像以上だったのだろう。どこかでしばらくカップルで働くのであろうが、この最初の体験は忘れられないであろう。

 

最近、インバウンド向けの体験型観光が叫ばれていて、忍者の扮装をしたり、寿司を作ったりなどの体験に人気があるが、何といってもこうした作られた体験より実際の現地での体験が圧倒的に強い。タイやベトナムなどの人々は雪など見たことはなく、周り中が雪だらけ、朝起きると30cmの雪が積もり、それをスコップで雪かきをする、そんな体験は忍者の扮装をするより、よほど強烈な体験である。また地元の祭りに製作から直接参加する体験も面白く、例えば、弘前ではねぷた祭りがあり、至る所で町内の有志が集まり、ねぶたを作っている。外国人の参加も大歓迎で、製作から参加すれば、祭り後の飲み会にも参加でき、それは何よりもの思い出となろう。

 

こうした点では、青森県は実に観光資源の多いところであり、工夫次第では世界でも有数のアグリツーリズム、民泊の場所になる可能性がある。ただ大きな問題は、人見知りする県民性で、外国人観光客を家に迎える、世話をする人は少ない。アメリカの民泊の主体は、引退した夫婦が小遣い稼ぎに空いている部屋を民泊として貸しているが、青森県でも子供が東京に行って部屋が余っている家はいくらでもいて、やろうとすればできるが、見ず知らずの観光客に自宅を宿として提供するかとなると厳しい。それでも民泊の宿泊先を紹介するサイト、airbnbを見ると、弘前周辺で12軒あり、数年前まで2軒しかなかっただけで、急激に増えたようだ。ただこうした民泊については、あまりマスコミや弘前市の広報でも取り上げられず、市民への情報は少ない。利点、欠点も含めて、もう少し地元の新聞やテレビ、あるいは市の方でも取り上げてもらえば、さらにやってみようかという人が現れるかもしれない。実際、昔の鯵ヶ沢プリンスホテル、今はシンガポールの会社の傘下となったロックウッド・ホテルに、正月、泊まった知人に聞くと、宿泊者の30%以上がオーストラリアなどから来た外国人スキー客で、驚いたと言っていた。青森県にはスキー、温泉、雪、りんご、白神世界遺産、祭り、桜など、観光資源が多く、最初に東京、京都観光に行った観光客が次にリピーターとして行きたい要素が多く、かなり期待できる。



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