2023年1月1日日曜日

関西に対する青森の認識度

 

関西学院大学は関西では有名私大であるが、青森県では関東学院大学以下である。



ネットで、青森県出身の奥さんと熊本県出身の旦那さんの東京に出ることに対する価値観の違いが話題になっていた。青森県出身の奥さんに言わせると、青森の人にとって、外に出ることはイコール、東京に出ることを意味するが、熊本の人にとっては、福岡、広島、大阪も選択肢になるというものだ。もちろん青森から東京までの間には仙台という大都市があるが、それでも東京には全く及ばない小さな都市という認識である。

 

こちらで矯正歯科をしていて、東京の先生が羨ましいと思うのは、患者さんの受け入れ制限、転医が少ない点である。弘前でいうと、高校生で矯正治療を受ける人は、大学進学となると名門大学のある東京に進学する学生が多い。矯正治療は、少なくとも2年間かかるので、高校1年生以外の2年生、3年生の患者さんは断り、進路が決まった時点で、どうするか決めている。多くの場合、東京の大学に進学するために、東京の先生に紹介することになる。同様に弘前大学の学生についても、卒業後の就職先は東京に集中するために、大学1、2年生の学生以外は受け付けられない。中学生では永久歯がまだ完成していないこともあり、弘前では基本的には高校1年生と、大学1、2生しか矯正治療の対象にならない。こうしたことは東京の先生ではあまりなく、高校生は余程のことがなければ、東京の大学を選ぶし、同じく大学生も東京の企業に就職する。社会人になって青森に就職しても、転職などで東京に行くことが多い。

 

青森の場合は、県外というと、もっぱら東京を指すことが多く、大阪という選択肢はあまりない。むしろ大阪に行く人よりは、海外に行く人が多いくらいであり、青森と大阪の距離より、青森とアメリカの距離が近いくらいである。うちの次女は兵庫県の関西学院大学に進学したが、弘前の高校では、関西学院大学のことは先生も含めて誰も知らず、そんな大学を聞いたことはない、関東学院大学の間違いでないかと言われた。関西圏内では、関西学院大学は私立の名門校で、東京で言えば青山学院や法政大学に近いが、青森では全く無名である。そのため卒業した高校のHPを見ると進学先大学の序列(いい大学から載せる)では、関東学院大学以下となっていた(関東学院大学経済学部の偏差値は40、関西学院大学経済学部は57.5)。

 

同様に大阪の人が青森に来ることはほとんどなく、一時、弘前にいる関西人で集まりを持とうということを提唱したこともある。弘前でいうなら関西出身者は学生を除けば、おそらく20人程度であろう。街中で関西弁を聞くことは少なく、開業当初、私が関西弁を使うので、余所者感が強く、患者さんから「こちらにずっとおられるのですか」という質問を受けたし、学会などで数日、休診していると、患者さんから弘前歯科医師会に連絡があり、いなくなっていないか確認された。

 

弘前には、有名なお菓子屋「大阪屋」や弘前藩御用商人の大津屋は大津出身であったり、北前船が盛んであたった江戸時代は、そこそこ、関西とも関係があったが、明治時代以降、関西と青森はほとんど関係がなくなり、長い間、東北本線の青森—上野というルートが県外との主要な流れとなっていた。今でこそ、大阪—青森間も飛行で行けば2時間くらいあるが、私が弘前駅から夜行列車で大阪に行った時は16時間以上かかったと思う。よほどでなければ、青森から大阪に行くことはなかった。

 

そうした中、シソンヌのじろうさんは、弘前高校を卒業後に大阪の関西外語大学短期大学に進学している。これはよほど珍しく、進学校、弘前高校や青森高校の進学先(令和4年度)を見ても、京都大学が少しいるくらいで、県外の大学イコール東京の大学という考えがある。もう少し西日本にも青森の魅力を知ってほしいし、逆に青森から関西の大学にも行ってほしい。


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