2024年1月2日火曜日

昔から嫌いな部活

 



昔から嫌なのは運動部の監督、私も中学、高校とサッカー部に入っていて、監督は怖かった。練習中は常に罵声、試合に負けると坊主、練習中は絶対に水を飲むななど、今から考えるとパワハラであったが、それでも神戸市、兵庫県でも強く、近畿大会でも優勝した。私自身、神戸市代表や、国体候補にもなったので、まだ我慢できた。また監督も後に国体代表の監督や、サッカー協会の副会長になる勉強家で、当時の最新のサッカー戦術、練習法を実践していた。練習は週に3回、それも日が暮れるまでなので、冬場は2時間も練習できない。こんな制限された状況では、いかに効率的に練習するかがカギだったのだろう。

 

娘が中学校のバレー部に入っていて、練習中に十字靭帯断裂という事故にあった。大学病院で手術して、入院した。退院後、松葉杖が必要だったが、なんとか歩けるので、部活に行き、椅子に座っていると、監督から「何を座っているのか、立って見学しろ」と怒られたという。監督と言っても30歳くらいの若い先生で、この先生の頭には、逆に同じ状況で、同じことを年上の上司から言われたら、どう思うかという発想はない。年齢差、上下関係からの上からの目線である。要するにバカなのである。

 

同じようなことは枚挙なくある。うちに来ている患者で、なかなか忙しくて治療に来られない小学生がいる。どうしてかと聞くと、練習を休むとレギュラーから外されるという、病気になってもかというと、そうだと答える。おそらく先生にこのことをいうと、まさかそんなことは言っていないと抗弁するだろうが、こうした先生は本当に多い。同じくバカである。同じようなことが会社であれば、完全にブラック企業である。先輩が練習中、後輩が玉拾いばかりしているテニス部がある。玉拾いが練習になるのかと監督に言いたい。これもバカである。

 

親もまたあまりに熱心すぎる場合がある。子供がサッカーのチームに入っていると、どこで試合をしようと必ず応援に駆けつけ、できるだけ名門サッカー校に入れようとする。一時の教育ママと同じようなもので、いくらサッカーがうまくてもプロになる確率は東大にいくより遥かに難しいということを知っているなら、教育ママの方がよほど効率良い。うちの親など、忙しかったし、興味もなかったのか、一度もサッカーの試合など見に来たこともなかったし、他の部員も同様であった。親が子供の試合を見に来ることはよほどでなければなかった。私の従兄は近鉄でラグビーをして、日本代表にもなったことがあるが、叔母さんはついにラグビーの試合を見に行ってないし、おそらく兄弟姉妹もそうであろう。スポーツはあくまで趣味の延長であり、それほど家族で応援するほどのものではなかった。

 

昔は、監督、コーチと部員、あるいは先輩と後輩の関係が、厳しく、ほぼ絶対服従の世界であった。これは戦争の影響が強く、軍隊の上下関係が部活動にそのまま持ってきた。昭和40年代、周りの大人のほとんどは戦争経験者で、生死を賭けた経験をしている人も多かった。そうした世代が、学校に戻り、部活動に参加すると、生徒に対して自分が受けたのと同じような厳しい訓練と秩序を求める。私がいた六甲学院の場合は、中学1年生から高校3年生まで一緒に練習していたこともあり、先輩―後輩の関係は非常によく、上下差は薄かったが、他の強豪校はそうした関係がひどかった。

 

一時、日本のスポーツ界では、オリンピックの成績が悪く、メダルが取れない時代が続いた。その後、柔道、卓球、バレーなどの多くの競技で、優秀な選手を早い年齢で全国から集め、トレセンで優秀なコーチから指導を受けるようになった。その結果、いろんな分野でのメダルが増えていった。スポーツは、勉強以上に才能がものをいう世界であり、才能のある子供を見つけ、早い時期から専門的な指導を受けて、世界に乗り出す必要があるのは、昔の東ドイツやソ連などの共産主義国家の実例からもわかる。今は共産主義国家でなくても、欧米のほとんどの国でこうしたやり方をとっている。逆に言えば中高生で、その時点で、トレセンなどに呼ばれなければ、将来的にオリンピックに出る可能性は低いことを意味し、一般的な中高校生での部活からプロになるような可能性は少ない。つまり子供が中学生の部活をいくら一生懸命にしていても、地区、県、あるいは国の選抜に選ばれていなければ、才能がないということである。であるなら、中学、高校の部活はそんなに練習する必要もないし、指導者も頑張る必要はない。勝ち負けにこだわる必要はあまりない。欧米ではすでに小学校での全国大会が禁止され、さらに中高生の全国大会も廃止の方向に向かっている。もともとサッカーで言えば、才能のある選手はトレセンあるいはプロサッカーチームの下部組織に属し、それ以外はあくまで趣味での練習で、大会もせいぜい、日本で言えば、県単位が最高であろう。

 

少なくとも小学校、中学校の全国大会は全て廃止すべきであり、移動も考えると県単位を最高にするくらいでいいだろう。極め付けは、アフリカからの陸上選手、ブラジルからのサッカー選手、中国からの卓球選手などは、異常である。サッカーにしても、私の地元、青森県の青森山田高校のサイトを見るとスタッフは、監督1名、コーチ9名、チームドクター1名、チームトレーナー1名、部員210名となっている。私がいた当時の六甲学院高校サッカー部は、監督1名、部員20名くらいで、これで近畿大会に優秀したが、他の高校でも部員が50名を超えるところはなかったし、コーチはOBを入れて多くて2名くらいであった。もはや青森山田高校を改名して、青森山田体育高校あるいはフットボールクラブに変更した方が良い。もはやプロチームである。この高校のスポーツコースは579名、生徒数1140名の半分以上を占めており、授業も5時間目以降は、「スポーツI,II」などとなっており、事実上、2時から部活時間となる。朝練も含めると毎日4時間以上は練習しているのだろう。ほぼ練習時間もプロ並みである。潰れかけの私立高校に、金を出す人がいればフランス、スペイン、イタリア、ブラジルのアカデミーからプロになれなかった若手選手30名ほどを入学させ、鍛えれば山田高校に勝てるかもしれない。これでも批判はできまい。


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