2024年6月2日日曜日

日本人のオリジナリティーはすごい

 

ルイヴィトンのBOROのシャツ 47万円

近年、アニメを中心として日本文化が世界中で注目されている。その範囲は広く、俳句は世界一短い詩として愛好家は世界中にいるし、盆栽や金魚などの人気も高い。さらにフランスでの柔道、アメリカでの空手人気は日本以上であり、さらにスティーブ・ジョブズが日本の禅に強く影響されていたのはよく知られた話だし、ゴッホやゴーギャンは日本の浮世絵に、カラス工芸家のガレが日本文化に惹かれていた。フィンランドではカラオケが生きがいになっている人も多い。

 

こうした日本のコンテンツは、これまで日本独自のものとして海外の人には理解できないものとされていたが、ITの普及とともに世界各国で日本文化がもてはやされるようになった。特に日本料理で言えば、50年前で、外国人はナマモノが苦手で食べられないという人が多かったが、今は寿司は日本を代表する料理で、多くの国で人気がある。ラーメン、とんかつ、カレー、すき焼き、うどんなどはもはや世界食となっているし、ある意味、チキンラーメン、カップヌードルに代表されるインスタント麺も日本の文化と呼べよう。今日、世界における日本、あるいは日本文化の影響力はすべての分野にとんでもない影響を与えているのは間違いない。

 

私個人、絵が好きなので、明治から昭和初期の日本画を集めているが、才能のある素晴らしい絵がヤフーオークションで売られている。20年前までは二束三文の値段で手に入ったが、ここ数年は、中国など海外の人々がオークションに参加するために、かなり値段が上がってきたが、それでも大量の絵が売買されている。私たちにとって、これは普通のことであるが、およそ100年前のアジアの国のことを考えよう。隣国の中国で言えば、孫文の率いる国民党の時代である。この時代、果たしてどれほどの画家が中国にいて、その絵を売って生計を立てていただろうか。もちろん大家と呼ばれる画家がいて、当時の金持ちがその絵を買っていたということはありうるが、そこらの小さな商店の店主が掛け軸を買ったり、お茶のための茶器を購入することはなかった。大正から昭和にかけて、普通の日本人でも絵が好きで気に入った作家の作品を買う人は大勢いて、それらに支えられ、生計を立てていた作家も多くいた。また絵だけでなく、陶器についてもアジア、あるいは欧米さえも、日本ほど多くの陶芸家がいる国はなく、ヨーロッパの陶芸国、デンマークでも日本は陶芸の天国だという。おそらくプロの作家も少ない。日本と違って、陶芸家や画家となっても食えないから、数が少ないのである。もちろん100年前のビルマやベトナムでも、画家や陶芸家をいただろうが、名前を知られるような個人画家、陶芸家はほとんどいなかったと思う。そうした芸術家を支える風土がなかった。欧米にしろ、芸術は貴族、金持ちのものであり、庶民にとって、生花やお茶を習うという文化サロン的なものはない。

 

つまり、日本の文化は、一部の貴族や武士のものではなく、広く大衆に行き渡ったものであり、それが現代のアニメに続く日本文化の核となっている。おそらくは250年続いた江戸時代が関係する。天候不良などのよる飢餓などもあったが、江戸時代を通じて概ね平和な時代が続き、また識字率も高かったことから、本の需要も高かった。個人的に一番驚くのは算学という数学が庶民の趣味となっていて、一部のマニアが存在していたことである。この流れは今でも連綿と続き、多くの数学者を出している一因となっている。

 

今日、弘前の小都市でもカルチャスクールというものがあり、初級イタリア語、フラダンス、俳句、手芸、料理など30を超えるスクールがあるが、こうした文化はおそらく日本以外にはなく、需要のないところにはプロは育たず、そうした文化を支える国民性が日本にあるのだろう。いくら中国がアニメ大国になろうとしても、それを支える読者層がどうかと思う。ここ数年で分かったことは、日本で通用することは世界で通用し、さらには地方で通用することは、日本を超えて世界で通用する可能性がある。一例を挙げると、郷土史家の田中忠三郎さんがコレクションした津軽のBORO、衣服が勿体無いため、つぎはぎをしていった衣料は、地元津軽でも汚いものとして打ち捨てられた文化であったが、それが今では世界のファッショントレンドとなり、ルイヴィトンやコムデギャルソンでも取り上げられるものとなった。

 

かって日本人は欧米人の真似ばかりするオリジナルティのない国民とされてきたが、今は世界をリードするオリジナリティーあふれる国民と言ってよく、これからの時代、日本で流行っていること、発明されたものはますます世界を幸せにするのではなかろうか。映画「ブレードランナー」のような日本語にあふれた未来社会があるのかもしれない。

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