2024年9月11日水曜日

住宅建築費の高騰

 



最近は暇なので、弘前市の住宅事情についてネットで調べている。すると面白いことに気づいた。まず土地について言えば、弘前市でも中心部以外の郡部の土地についてはほとんど値がつかない。百坪ほどの土地に30坪くらいの古い住宅がついてせいぜい200-300万円の家がいくらでもある。おそらく壊すのも相当費用はかかるのだろう。売却主で撤去費用をもつのであれば、ほぼただ同然の価格である。同様に中心地でも昭和40年前後に建てられた築50-60年のビルの値崩れがひどい。当時の建物はほとんどアスベスト(石綿)を断熱のために使っていて、撤去費用がものすごく高い。3階建てのちょっとしたビルで、アスベストが使われていると撤去費用が2000あるいは3000万円を超えることも珍しくなく、青森県では対応できる会社が一軒しかないので、値段は毎年高騰している。先日、倒産した中三デパートでももしアスベストが使われていれば、撤去解体費は10億円ですまないであろう。こうした古いビルは売っても解体費による赤字なので、売れず、そのまま朽ちていく。将来的に市のものになっても解体費に税金が使われる。

 

住宅着工件数はコロナ以降でも低調なままで、その要因としては、まず建材の高騰以上に大工など工賃も上昇していて、建築費自体がかなり高くなっている。十年前であれば、50坪の土地に30坪の建売で2000万円以下で、何とか売り出せたが、今は2割以上高騰し、2500万円以下で売るのは難しく、売れない場合は値下げして最終的には業者の利益がほとんど出ないことがある。給料がそれほど上がらず、一戸建て住宅が高くなると若い人には家を持つことが難しくなる。工務店としては、土地が安く手に入っても建築費が高いと一戸建て建売住宅の販売は躊躇する。

 

一方、不思議なのは、大手の建築会社、例えばミサワ、セキスイのようなメーカである。ネットによるとミサワホーム、セキスイの建築坪単価は90万円近い。東京であれば、この値段でも決して高くはないが、弘前のような地方の工務店の在来工法では、坪50-70万円くらいで、大手メーカー比べてかなり安い。例えば、弘前駅の東側の60坪の土地、30坪の建物で、地元の工務店の建売価格は2700万円くらいなのに対して大手メーカのそれは4400万円くらいとなる。土地代が坪13万円としても800万円くらい、業者の利益は300万円くらいとすると、前者は坪52万円、後者は坪110万円となる。ほぼ建築コストは半分くらいになる。

 

もちろん地元工務店のローコストの住宅は、風呂、トイレ、キッチンなどの備品はタカラの安いものを使っているが、大手の住宅でも特に高級というよりは普通のものを使っている。

セキスイハウスの軽量鉄鋼住宅は、阪神大震災の時に周りに住宅が全滅したのに、この住宅だけが残ったという伝説があり、その耐震性は非常に有名であるが、それでもこの弘前で倍の費用を払ってまで買うのはどうした人か、不思議でならない。家の機能としてはそう違わないと思うし、金持ちであれば、もっと大きな家を作るだろう。知人の工務店の人に聞くと、確かに建築費は高いため、大手のハウスメーカーは地方では苦戦しているが、アパート建設などでは管理、資金繰りなどのトータルのサービスが優れているという。一般住宅でも、営業マンが有能なので、少し高い建売住宅もなんとか売り切ってしまうという。

 

新築住宅がここまで高くなってしまうと、このまま賃貸アパートに住むか、あるいはコンディションの良い中古住宅を買って、リフォームして住むという方法もある。アメリカでは全住宅の8割は中古住宅で、最初は子育てのために大きな中古住宅を購入し、子供が大きくなればそれを売って小さな中古住宅に住み直すということがごく普通である。今住んでいる家も、窓やドアはアメリカから輸入したものであるが、すごいのはNord社(ドア)やAndersen社(窓)では24年前のものと同じものが現在でも販売しており、部品もある。こうしたアメリカの中古住宅市場を反映しているのだろう。地方では土地価格が下がってままになっており、一方建築費は高騰しており、そうした意味では中古住宅の方が得のような気もする。住宅価値が20年でほぼゼロになるなら、例えば2700万円の50坪、30坪の新築物件もいいが、120坪の土地と40坪の中古住宅を1500万円で購入し、1000万円かけて風呂、台所、便所、屋根、壁をリフォームする方法もある。

 


3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

花田(30代)

匿名 さんのコメント...

花田と申します。いつも楽しくブログ拝見しております。上のコメント大変申し訳ございません。間違いました。

広瀬寿秀 さんのコメント...

コメントありがとうございます。沖縄、那覇市は弘前市の中心街くらいしかありません。そのため土地価格が坪百万円のところもあり、住宅費は高いです。家賃も高いです。逆に給料は低いのですが、幸福度は高く、気の持ちようなのでしょう。