2026年5月24日日曜日

運送用のドローン、空飛ぶトラックの開発



ドローンというと、普通、バッテリー、電動モーターとプロペラが何個かついた小型の無線誘導機(マルチコプター)を考える。この分野では、圧倒的に中国がリードしており、市場も独占している。こうしたドローンに小型カメラなどを積み、上空からの撮影映像はよく見るが、積載量、稼働時間も少なく、活動は限られている。例えば、ウクライナ戦争でも近距離の偵察などには安価な民生用ドローンが使われているが、実際に爆弾を積み、長距離攻撃するドローンは民生用のものと違い、エンジンもレシプロあるいはジェットエンジンを搭載し、価格も数千万円から数十億円する。

 

そのため、バッテリーを搭載した電動のドローンは安価ではあるが、実際に産業に使われているのは、農地に肥料、殺虫剤をまく、インフラ設備の点検などに限られている。航続力と積載量がネックとなり、離島などへの本格的な輸送などには使われていない。ここで次世代のドローンとして注目されているのは、エンジンで発電し、それでモーター、プロペラを回すというハイブリット型ドローンである。これなら航続力、積載量も大幅に改善でき、これまでの輸送手段を抜本的に変えることができる。重いバッテリーを少なくでき、ガソリン、水素で電気を作り、モーターでプロペラを回す方法である。

 

このハイブリット型のドローンがこれからの実用的な活用のメインと予想されている。ハイブリット型ドローンで最も重要なものは、発電用の小型、高出力、耐久性の高いエンジンとなる。実は、日本でもレシプロエンジンによる無人ヘリ、ドローンがヤマハで実用化されており、1988年から農業用として販売されている。エンジンはオートバイ用を改良したもので、さらに川崎重工業もカワサキのバイクエンジンを活用した無人へりを開発している。現在、進められているガソリンエンジンの無人ヘリは、川崎重工業のもの、三菱重工+ヤマハのもの、ホンダはホンダジェットのエンジンを発電用とした空飛ぶクルマを開発している。200kgの荷物を積んで、100-200kmの航続距離を目指している。200kmの航続距離があれば、日本では有人離島の90%はカバーでき、災害時でも大きな威力となろう。さらに戦場においても、攻撃、輸送、偵察などかなり広範囲な任務を行うことができる。軍用ドローンには汎用性はなく、戦争以外に活用はないが、輸送用のドローンは用途が広い。

 

ただこうした運送用ドローンも中国は大きくリードしており、すでに飛行機型(W5000)であるが、5トンの貨物、2600kmの航続距離を記録した。他にも多くの運送用ドローンが開発されているが、今のところまだヘリコプタータイプのハイブリットドローンはできていない。マルチコプターに比べてヘリコプタータイプの利点は、構造的に長い歴史を持ち、スピードが速く、悪天候にも強度が強い。さらにガソリンエンジンのハイブリット型にすれば、飛行先のところで短時間にガソリン給油をすればすぐに飛び立て、飛行するにつれてガソリンが減って重量は軽減していく。

 

最初に述べたように、現在、日本はこの分野では、ヤマハ、川崎、三菱重工、ホンダが民間でしているが、これにヘリコプター、ミサイル技術に優れているスバル、さらに発電用ガソリンエンジンとして注目されているロータリーエンジンに強いマツダを加えた開発チームを作り、政府が主導して中国の運送用ドローンを凌駕する製品を作ってもらいたい。ヘリコプターは複雑な駆動系を有し、製品精度も含めて、この分野はまだまだ日本にも勝算がある。一時期、空飛ぶタクシーが話題になったが、むしろ空飛ぶトラックが本当に必要であり、ぶら下げタイプのモジュールにして、着陸先でAIを利用した細かい操作が可能であれば、モジュールキャッチャなどの設備があれば、どこでも物資を届けられる。工夫すれば病人も運搬できるかもしれないし、災害時に必要な機材を運ぶにも使われ、応用範囲は広い。特に山岳、離島の多い日本では、運送用ドローンの活用用途は広く、ハイブリット、レシプロにとらわれずに政府で大きな予算を出して開発して欲しい。





 

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