2007年12月6日木曜日
ブナコ 2
左のブナコのうつわは、2年ほど前に弘前市内のリサイクルショップで購入したものです。確か8000円くらいだったと思います。購入後に店長といろいろと話をしました。値づけがむずかしかったでしょうと聞くと、持ち込みのもので、ほぼ未使用ですが、中古食器の評価としてはこれくらいと言っていました。何の木材がはっきりしませんが、底の木目が非常に美しく、また縁の細工もすばらしいものと思います。ブナのテープ自体を互い違いに色目を変えているため、きれいな模様が出ています。相当手の込んだものと思われます。いつ頃に作られたものかははっきりしませんが、今ではなかなか作られないものではないでしょうか。おそらくは量産品の類いではなく、工芸品として作られたものかもしれません。いずれにしても非常に安い買い物だったと思います。こういうこともあるので、たまにはリサイクルショップものぞいてみるものです。
当初は、すしでも盛ろうと考えていましたが、あまりに美しすぎてもったいない気がして、未だに未使用です。前の持ち主も同様だったのでしょう。このあたりが、実用品と工芸品の使い方の難しい点で、食器としては下の写真のような現行品の方が優れていると思いますし、この路線でいいと思います。若い人はいいものを日常の生活にどんどん使っていき、生活そのものを楽しむ傾向があります。きれいなものでも高くてもったいないと思うようなものは、売れないのではないでしょうか。また食材を盛る器としても、あまりに凝ったものは使いにくいと思います。
話は変わりますが、9月に大阪の学会に行った折に、ちょうど京都市立美術館で「北欧モダン デザイン&クラフト展」がやっていました。大変混雑していましたが、内容はそこらで買えるようなものが展示していて、こんなものでよく展覧会が開けるものだと感心しました。ロールストランドの食器などは私も持っているものや、オークションなどでよく見られるもの(1-3万円程度のもの)が堂々と展示しており、入場料1000円は返せと言いたいところです。津軽の特産品であるブナコやこぎん刺し、津軽塗などもどこかできちんと収集しておかないと、散逸してしまう可能性も高いと思います。前回紹介したブナコや今回の盆もブナコの会社の方ではすでに保管しておらず、展覧会をする場合でも北欧モダン展と同じようになってしまいます。陶芸のような作家名が残るものについては、例えば津軽の代表的な陶芸家高橋一智の場合でも、遺族あるいはコレクターがその作品を保存していますが、ブナコ、こぎん刺し、津軽塗のような作家名にないものについては作品が散逸してしまう可能性が高く、弘前市立博物館などが積極的に収集してほしいものです。
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