2012年10月13日土曜日

名匠の里紀行ー弘前ー


 女優檀れいさんのBS日テレ「名匠の里紀行手わざ恋恋和美巡り」、楽しみに見ています。この番組では日本各地に残っている手業の伝統工芸品を檀さんが訪ねて紹介するというものです。

 弘前についてはこれまで、3回紹介されています。一回目は津軽塗を取り扱っ田「青森・津軽塗と絶品旬の味~悠久の時を生き続ける漆と食の饗宴~」、二回目は津軽の女性の悲しく、美しい歴史をもつ「青森 こぎん刺し ~雪国の女性たちが伝え続ける刺繍の愛~」、そして三回目は先日放送された「青森・弘前 竹籠(かご)と蔓(つる)細工 ~りんごの里で愛され続ける籠の物語~」です。他には五所川原を取材した「青森・津軽半島 ねぷたの技と太宰治 ~風鈴列車で巨大ねぷたが彩る小説の故郷へ~」があります。

 1時間の番組ですが、ちょとした観光案内にもなっていて、地元の人も案外知らない場所が登場します。先日放送された竹籠についても、地元の人でも最近はあまり見る機会がなく、りんご屋に行くたびに昔のような竹籠入りのりんごを販売するように勧めますが、どうも売れないと取り扱ってもらえませんし、番組に取り上げられたような美しい竹籠は、特に観光客がいくようなところ、例えば津軽ねぷたの里や観光館にも置いていないように思います。

 うちの近所にも、宮本工芸というあけび細工の店や、リンゴ農作業用のはしご(脚立)を作っているところや、りんご剪定用のこぎりを扱っているお店があります。結構、しぶい店ですが、観光客には全く無縁の店です。こういったお店は弘前には多く、もっとうまく見せることができないかといつも思います。最近の流れとして、現代的なデザイナーと伝統工芸のコラボ、そして販路も日本国内に留まらず、海外へ進出というものがあります。例えば、西陣織を家具に使ったり、南部鉄瓶のカラー番を作ったりするもので、和、伝統的な要素を取り入れた家具、雑貨が若い人にも人気があります。弘前でもブナコという商品は、こういった流れに沿って、最近は人気が高くなってきました。ただデザイン的にはもう一歩で、まだまだ海外のデザイナーと組むことで斬新なものができると思いますし、可能性は高いように思えます。自由な曲面を極めてエコに作れるという大きな利点をもっており、今後もっと海外に紹介し、その特徴を宣伝し、コラボする作家を探してはどうでしょか。

 まだまだ弘前には工芸品があります。りんご剪定用のはさみ、江戸時代から続く刃物、藍染め、さらには裂き織り、下河原焼きの人形、こけし、錦石などがあります。また明治二年絵図の弘前城北の丸、作業方には、苫縄、すだれ、鼠尾、網藁(あみわら)や兼平石などの作業所があります。これらは江戸時代の特産品であったのでしょうが、今ではその存在するわからなくなっています。苫縄はおそらく菅や茅などの草を編んだ縄でしょう。すだれはそのまま。網藁は藁(わら)で編んだ網で、今でもホタルイカの漁などの使っているようです。問題は、鼠尾というものです。これが一向にわかりません。そびと発音するのでしょうか。おそらく筆のことでしょうが、津軽特産の筆というものを知りません。津軽塗りをあしらった筆なのでしょうか、それともイタチやテンなどのちょっと特殊な動物の毛を用いたものかわかりません。また金平石は輝石安山岩の板状節理で、石を平にする手間が省かれるため、墓石、碑、家の土台、敷石に使われていたようですが、昭和になってコンクリートの普及で一気に廃れました。こういった昔の特産品も、今の技術で違う使い方ができるかもしれません。

 さらにこれは特産品、工芸品とは言えませんが、「ボロ」と呼ばれる。継ぎはぎの衣料です。津軽では木綿が寒冷のため生産できなかったので、庶民は明治の中頃まで、衣服といえば麻が中心でした。非常に薄く、破れやすく、防寒にもなりませんでしたので、小切れを継ぎはぎして作った衣服が「ボロ」と呼ばれるもので、発想はこぎん刺しと同じです。これは完全にレプリカを作るべきで、東京のアミューズ ミュージアムに多くの作品がありますので、それを参考にして作ったらどうでしょうか。絨毯などはアンティークがいいのですが、さすがに着るものとなれば、新しく作らないと、売れないと思います。どなたかチャレンジしませんか。

下は兼平石で作った碑です。


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