2019年6月10日月曜日

天国(極楽)、地獄のない国


 韓国や中国などの儒教国家では、基本的には来世はなく、地獄、天国(極楽)がありません。死んだ後はと言われれば何もない、魂がどこかに行くというだけです。そのために徹底的に現世思考となり、生きている間にできるだけ楽しいことをしたいと考えます。そのため、嘘をついたり、犯罪をすることは、現世での倫理的、刑法上の問題はありますが、来世で地獄に行くという恐れはありません。

 日本人の場合、人に嘘をつくと、死んだら地獄に行くとか、閻魔様に舌を抜かれるなどと、嗜められました。子供の頃からこうした学校外での教育により、嘘をつくことは悪いことだという思いは多くの人に共有すると思います。ところが中国や韓国では、こうした嘘=悪いことという感覚があまりありません。もちろん、商売上、友人、家族間で嘘が多いと、信頼関係にひびが入り、その後の付き合いにも影響するために、嘘をつくことはあまりないかもしれませんが、逆に言えば、それ以外の人、他人に嘘をついても悪いと思いません。こうしたことから学歴詐称や偽証が多発します。

 こうした嘘=悪いことという観念には、宗教上の影響が強くあります。まず仏教では嘘は悪とされ、地獄に行くと教えられます。同様にキリスト教やイスラム教でも、嘘は悪いことと教えられます。嘘が悪いと思わないと、どうなるかと言えば、そもそも契約自体を守る気がありません。契約自体が嘘なのですから。そのため、キリスト教、イスラム教国家、あるいは仏教国家では少なくとも契約は守るものだとされますが、嘘を悪と思わない国では嘘でも良いからとりあえず契約をとり、はなからその契約を守る気があまりありません。

 こうした見方で見ると、アジアにおいて、儒教国、あるいは無宗教国を調べると、韓国、北朝鮮、中国などが挙げられ、他の国では、仏教、イスラム教、キリスト教などが生活の中に根を下ろし、国民性にも影響を及ぼしています。一方、嘘と表裏一体となる、信頼関係については、中国人の方が明らかに韓国人より重視します。中国人にとって、強い絆で結びつけられた個人同士の信頼関係は何より大事です。嘘をつくことで、こうした関係を潰したくないので、家族、一族の延長として信頼関係のある人には誠実です。同じ儒教国の中国人が韓国人を嫌う理由、主として会社関係ですが、あまり信頼関係が構築できない、誠実ではないと言います。貿易関係をしている娘に聞くと、韓国人は中国人経営の縫製工場に、とんでもない価格を求めたり、急に発注を中止したり、逆に急な発注をしたりするので、中国人には相当、嫌われているようです。逆に日本人は価格交渉がきつくても、困った時には助けてくれたりするし、約束は必ず守るので、信用ができると言います。ただこれはあくまで個人間の信頼関係で、その個人が会社を変わっても、その関係はそのままとなります。

 人間はまことに身勝手な存在であり、その我儘を抑えるものとして宗教があり、道徳があります。道徳のように上から教育されるものはなかなか守らないが、死後の世界を決める来世観が大きな抑制となります。嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれると言う強烈なビジュアルは、子供に大きな影響力を与えるのです。世界的にみて、天国、地獄のない国は少ないですが、そうした稀な国が隣国に3カ国(中国、韓国、北朝鮮)がある日本は、何かと大変だと思います。

3 件のコメント:

標葉石介改め砂 さんのコメント...

傑作です、納得します、がお墓はあるのでしょうか?祈るのでしょうか。

広瀬寿秀 さんのコメント...

お墓があり、あくまでそこで祈るのは、子孫の繁栄のみです。

標葉石介改め砂 さんのコメント...

祈りは、神などの人間を超える神格化されたものに対して、何かの実現を願うことであるであるならば、この国の人々がお墓に子孫繁栄を願う行為は、墓という実態に訴えるだけで何ともつまらない話ではないでしょうか。平気で嘘をつく習慣はナルホド納得します。話は変わりますが、「明治2年弘前絵図」が「弘前市立弘前図書館/おくゆかしき津軽の古典籍」に掲載されることを願っております。