2019年6月24日月曜日

イスラエルの矛盾


 イスラエルは、人口880万人、国土面積は22000km2で、それぞれ世界で98位と153位の小国である。またGDP3570億ドルで54位、日本の1/10以下である。人口およびGDPともヨーロッパでいうとスイスに匹敵するが、軍事費で言えばスイスが3700億円程度に対して、イスラエルは12000億円と4倍近い。軍事国家と言えよう。

 日本人には全く理解できないが、アメリカのこの小国、イスラエルに対する肩入れが半端でない。アメリカは北朝鮮、イランの核開発に関しては、戦争も辞さない強い態度に出ているが、イスラエルが確実に核兵器を持っても、全く文句も言わない。核保有国、アメリカ、中国、ロシア、フランス、イギリス、インドは世界的な大国であり、パキスタンにしろ、経済的には劣るものの人口は2億人近くおり、そうした核保有国に比べるとイスラエルの異常さは際立っている。本来なら、中東という危険なエリアにおいて核保有は時限爆弾を抱えるようなもので、疑惑でなく、確実に核兵器を保有するイスラエルこそが経済制裁を行うべきである。またユダヤ人の国、イスラエルは、自分たちがナチスから受けたホロコーストを過剰に宣伝するが、一方、パレスチナ人に対する迫害は何ら認めない。これも核兵器同様に、アメリカからの批判は全くといってない。

 本来なら、周囲がイスラム教の国に囲まれた、唯一の白人国、イスラエルは、かなり浮いた存在であり、戦争も含めた中東の多くの問題点は、イスラエルの存在自体に起因する。地政学的、政治上でできた人工国家であり、戦前、中国の満州にユダヤ人国家を作る計画があったが、今のイスラエルが、中国の東北部にあったと想像しても良い。その異様さが理解できる。ちなみにイスラエルはW杯予選はヨーロッパ枠となっている。

 このイスラエルに対するアメリカの支援は、すごいもので、10年間の軍事支援として約4兆円をすでに表明しており、常に最新の武器を支給している。実際、イスラエルという国がある日、突然に消失したところで、中東にはサウジアラビアなどの親米国家があるため、アメリカの存在を脅かすような問題がなく、どう考えても、アメリカがここまでイスラエルに肩入れする国際政治上の利点がない。

 一方、アメリカにおけるユダヤ人は人口の約2%で、メキシコ、キューバなどのヒスパニックの人口、17%近くに比べても少数派であり、数だけでいえば中国系アメリカ人と変わらない。隣国のメキシコが反米国家になることはアメリカにとって大きな脅威となるが、イスラエルほどメキシコに肩入れしていない。

 アメリカからすれば、イスラエルが核兵器を持っても、イランと違い、その使用は決してないと考えているかもしれないが、私にすればイラン以上に恐ろしい国で、かってイラクの原子炉ができれば平気で空爆、奇襲した。おそらくイランから攻撃があれば、核攻撃も多分躊躇わないであろう。エルサレムというユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地を人質にとっており、そこへの核攻撃はないとたかをくくっている。

 アメリカ人の知人に聞くと、高校、大学の知人にもユダヤ人はいるが、ほぼアメリカ人であり、日常的にイスラエルという国が話題になることもなく、アメリカそのものの利益にもなっていない。もしイランとアメリカが戦争することになれば、これはアメリカがイスラエルの代理戦争をしているようなもので、莫大なイスラエルへの軍事支援と合わせて、税金の支出者であるアメリカ国民の理解を得られるだろうか。

 昔、ハリウッドと言えば、ユダヤ系資本が牛耳っており、「ベンハー」や「十戒」などの映画や、極め付けは「栄光への脱出」というイスラエル建国の映画まであった。こうした流れは今でも止まらず、「シンドラーのリスト」や「戦場のピアニスト」まで続く。イスラエル、ユダヤ人=善、正義といった世論形成に長けているが、日本人を含めたアジア人には通用しない。これは絶対に無理とは思うが、日本政府はイラン、北朝鮮の核開発を批判するなら、同様にイスラエルの核保有をもっと追求すべきであり、それこそが中東の核開発を中止できる決め手となる。不思議なことに、こうした正論は共産党も含めて出てこない。

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