2020年12月23日水曜日

戦争世代の退場

 

角野栄子さん 戦争世代とは言えない


 私は昭和31年生まれで、今年で64歳、自分ではそれほど自覚はなくとも、もはや老人世代であり、年金もすでにもらっており、いいこずかいになっている。僕らの世代は、生まれた時から、それほど大きな苦労はなく、もちろん戦争の記憶などはなく、もはや戦後ではないと言われた時代に育っている。

 

 学生時代、特に青春時代は、長髪、ジーンズ、ロックの時代であり、今の若者と文化的にはあまり変わらないという自負がある。こうした感覚は、私の5歳上の姉の世代でも同様であり、ミニスカート、フォーク、グループ・サウンズの時代であり、これも今にも続いている。それほど現役世代とは大きな壁となっていない。

 

 戦争世代、昭和20年の終戦までに戦争に参加した世代、大正からせいぜい昭和5年までの世代、90歳以上の世代とは大きな格差があるが、それより若い老人とは個人的には全く年齢差を感じない。昔は、何かといえば、年配の方からお前らは戦争を経験していないからそんなことを言える、できると散々言われてきた。戦争中の苦労を言われれば一言も言えない。長崎で原爆にあい、母と妹を自分で焼骨したという経験談を言われれば、これには何とも言えない。

 

 こうした世代がほぼ退場した現在、個人による経験の差、例えば昔は貧乏であったという経験の差はあるが、時代による差はほとんどない。若くして死ぬ、食うのに困る、自分の好きなことができない時代を経験していない。もちろん同世代でも貧乏で食うにも困る、学校に行けない、病気になっても病院にも行けない人はいる。ただこれは時代のせいではない。あくまで個別の話であり、現在の若者にもそうした人はいる。

 

  私自身はスマホを持っているが、ほとんど使っていないが、逆にコンピューターの使用は若い人より多いかもしれない。こうしたITにしても、アニメオタクやスポーツ好きでも、もはや世代間の差より世代内の差の方が大きいと思う。音楽にしてももちろん、僕たちに世代はハードロック、ブリティシュロックを聴いたが、若い世代でもこうした音楽が好きな人も多い。自分の子供より孫の方と趣味があうという老人もいるかもしれない。テレビゲームをする老人などごまんとおり、それほど珍しくもない。そうしたわけで、戦争を経験した上の世代がいなくなったおかげで、もはや誰も頭を下げる必要がなくなったことは嬉しいし、逆に若い世代に威張ることもできない。バカな老人が、コンビニの店員やレストランのウエイトレスに、クレームをつけて威張るニュースがあるが、今の私にはこうした老人はまったく怖くなく、普通に注意をするだろう。戦争も経験していないのに“今の若者は”というセリフを吐けないからである。たとえ、80歳で、終戦時5歳、満州から命がけで脱出してきたとしても記憶にはなく、経験したとはいえない。記憶しているのは全て親から聞いた後付け記憶であろう。老人にクレームをつけられても、若者に対するのと同じような対応をすればいいだけであり、敬老の日というものがあっても、それほど老人を敬う必要もない。

 

 もちろん老人になれば、体を弱り、他人の親切に頼りたいこともあるが、それを押し付ける必要もない。ITの発達によるのか、自分自身ではここ十年くらい、年齢差もあまり気にならなくなったし、言葉の問題を除けば人種差も全く感じないし、まだ男女差には多少敏感であるが、LGBTにも全く気にならない。戦争経験者の退場に伴い、本当に身軽になった。これからは世代差より個人差を中心としたグループ活動がもっと活発になっていくだろうが、そうした場合も決して年齢差をグループの上下に関連させてはいけない。

 

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