2021年11月18日木曜日

日本人の雑食性

 



今朝の朝ごはんは、納豆、味噌汁、シャケにご飯といった純日本食であったが、昼は昨日食べた鶏のトマトソース煮込み(イタリア風)が入った弁当、そして夜は麻婆豆腐であった。和食、中華、洋食が日によって、混ざって食べることは日本人にとっては、特に不思議なことではなく、むしろ、毎食、和食という家庭は少ないであろう。

 

ところが隣国の韓国、台湾、中国を見てみよう。確かに日本食やイタリアレストランが増えて、日曜日や記念日に、こうしたレストランで外食することはあっても、基本的には韓国人はキムチを中心とした朝鮮料理を食べ、中国人、台湾人は中華料理を食べる。単純に割合で言えるようのものではないが、日本人は、和食1/3、洋食1/3、中華料理が1/3ぐらいと思うが、韓国人は90%が朝鮮料理、同様に台湾、中国人も90%が中華料理となる。それ以外の料理を自宅で食べることは少なく、食べる場合は外食となる。

 

それで他の国はどうかというと、タイは当然、タイ料理が主力であり、インドはインド料理、フランスはフランス料理がメインの料理であり、食べる割合も自国の料理が圧倒的に高い。アメリカはどうかというと、この国は、そもそも家で料理を作ることがなくなり、三食ともレクルト、冷凍食品という国となっている。それでもよく食べるのは冷凍ラザニアやパスタ、ハンバーガー、鶏料理などのいわゆる西洋料理が基本である。自宅で中華料理屋日本料理を作ることはほぼない。

 

明治になるまでの、日本人の食事は、ご飯、味噌汁、漬物、魚あるいは煮物といったものであったが、とりわけご飯の消費量は今の感覚からすれば信じられない量で、1日に五合は食べていた。その後、明治になっても、こうした和食を中心とした食事が続き、たまにすき焼きやカレーライスを家で作ったり、食べにいったりした。大正八年生まれの父親も、外ではカレーライスや中華料理、西洋料理が好きだったが、家では最後まで和食であった。お袋は、いろんな料理を作るのが好きで、テレビの料理番組や、本などを見ていろんな料理を作ったが、親父の食べるものは別メニューであった。母に実家のある徳島の脇町に行くと、そこでは毎日、毎日、和食で、子供心にも料理に不満があった。

 

おそらく明治になると、西洋料理や中華料理が日本に入り、少しずつお店もできて、昭和になると、外食としてそうした料理を食べることはそれほど珍しくなくなった。ただ家での食事に中に和食以外の料理が登場するのは、戦後も昭和30年以降のことで、NHKの「きょうの料理」が放送されたのが昭和32年である。この番組が家庭での洋食、中華料理の導入に大きな力を果たしているのは間違いない。実際、我が家もこの番組で紹介された料理をよく母親が作っていた。さらに学校給食でも、ご飯の代わりにコッペパンが主食で、それに牛乳やおかずが添えられた。おかずは主食がパンであるため、鯨の竜田揚げなど和食といえば和食であるが、洋食に近いものがでた。さらに近所の市場の肉屋ではコロッケやメンチカツが売られ、それらにキャベツを添えた料理が家でも出ることとなり、またインスタントラーメンの普及は、家庭でも中華料理の普及に連動したように思える。

 

根本的には、日本人の好奇心の強さと、移り身の速さ、すぐに新しいものに慣れてしまう、が関係しているが、こうした日本人の食の雑食性は、世界でも珍しいものであり、それもあって、世界的に有名な日本人のフランス料理、イタリア料理、中華料理シェフが多くいて、また東京には世界中の料理の店がある。おそらくこの日本人の雑食性によるのか、テレビ番組でも料理番組が非常に多く、また料理メニューを載せた雑誌も数多く、こうしたことも世界でも珍しいと思う。


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