2021年11月23日火曜日

もし日本共産党が政権をとったら

 


日本の知識人と呼ばれる人々は、共産党などの左翼政党を支持する人が多い。政権与党、自由民主党の政策やスキャンダルに過剰な反応を起こし、日本の自由を侵すものだと批判する。例えば、日本学術会議の問題では、推薦した会員候補の一部を政府が任命しなかったということで、学問の自由を侵害する大きな問題だと騒ぎを起こしている。他にも安倍首相時代の加計学園をめぐる問題、獣医学部新設に便宜を図った問題で、民間人と政府の癒着を激しく攻撃している。

 

 こうした左翼、それを支持するマスコミ、学者は、基本的にはマルクス・レーニン主義による共産主義を支持しているが、上記のような問題は、中国、北朝鮮や旧ソビエトのような社会主義国では起こらなかったのかというと、日本以上に露骨に、規模を大きく行われており、さらにそれに対する批判も完全に禁止される。つまり日本の左翼が支持する社会主義国では、彼らが批判する日本の政治をはるかに上回る問題が日常的に起きている。

 

 もちろん左翼を支持する人々は、中国、北朝鮮、旧ソビエトの社会主義は間違ったものであり、我々が目指す社会主義国はそうしたものと全く違うものだというだろう。ただ彼らが目指すような社会主義国が実際に存在したかというと、100年以上の社会主義の歴史を見ても、多くの社会主義国は最終的には一党独裁、全体主義となり、個人の自由を制限する方向性を持つ。つまりこれまで100年の社会主義理論の実践経験から、オリジナルのマルクス・レーニン主義、共産主義自体に内包する大きな問題ということになる。

 

 例えば、立教大学の井上周八名誉教授は、中国の文化大革命を支持し、北朝鮮を死ぬまで社会主義による理想郷とし、また北朝鮮による拉致事件をでっち上げと否定した。こうした学者は、最近ではさすがに少なくはなっているが、それでも1970年代、中国の文化大革命を支持した学者は驚くほど多く、むしろ中国の当時の実情をしっかりと把握していた学者は少なかった。その後も左派とよばれる学者では、共産主義、社会主義体制に強い憧れを持つ者は多い。

 

 こうした前提で、日本共産党が、日本の政権をとり、議席数で過半数、あるいは2/3以上の議席を取った場合を考える。まず彼らは、悲願である天皇制の解体を目指すであろう。皇居始め、天皇家の資産を全て没収し、完全に民間人にすることで、天皇制を廃止する。戦後の華族廃止した方法で進めていく。現在の秋篠宮家問題のようなゴシップが続くと、天皇家に対する国民の批判も高まり、将来的には天皇家の廃止も案外すんなり出来るかもしれない。日本共産党の綱領には、アメリカからの経済的、軍事的依存からの離脱と、第九条の完全実施、自衛隊の解消が書かれており、軍事同盟がなく、軍隊を持たない国家を目指している。もし中国から攻められれば、話し合いで解決すると言うのだろう。このことは自動的に中国への隷属を意味する。すなわち、日本から米軍が撤退し、経済関係も悪化すれば、その間隙に入るのは、間違いなく中国であり、そのまま中国の傀儡国家になっていくのだろう。

 

そしてこれも彼らの最重要課題、自衛隊の廃止と日米安保条約の破棄である。ただ軍隊は、旧ソビエト、中国、北朝鮮の例を持ち出すまでもなく、権力維持のために必要であり、何か問題があれば、強力な軍隊を出動して鎮圧する。そのため、自衛隊は残すか、逆に日本軍として、より強力な存在に格上げする可能性もある。もちろん日米安保条約の破棄は、隣国、中国の望むところであり、急速に日中間の距離が近くなる。日米安保条約に代わって、アメリカからの脅威に対する日中安保条約が結ばれ、米軍基地の後に中国軍が進駐する可能性がある。こうした動きは、中国の傀儡国となる第一歩であり、政権が長期化すれば、自由選挙の廃止、学問の自由の廃止など、現在の中国のような状況となっていく。

 

 もちろんこんなことが実際に起こることはないだろうが、それでも日本共産党は存在するし、それを支持する人がいるわけで、彼らは、日本共産党はこれまで地球上に存在した共産党とは全く違う、自民党政権下の日本以上に自由に発言できる政党であると主張するだろう。ただこれは「共産党」という概念とは別物の政党であり、論理的に考えるなら、共産党を名乗るメリットは少ない。党名を変えるべきであり、それをしない限り、この党を信頼することはできないし、支持する人々も信頼できない。

 

英国共産党党員775人、フランス共産党20000人、ドイツ共産党 解散、イタリア共産党 解党、スペイン共産党 党員35000人、アメリカ共産党 党員 5000-10000人、に対して、日本共産党 党員270.000人で、衆議院で10名、参議院で13名の議席を持ち、資本主義国の中で最大の勢力である。ある意味、日本は一種の理想的な社会主義国なのかもしれない。





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