2022年1月2日日曜日

映画 男と女






54歳のアヌークエーメ

87歳のアヌークエーメ


クロード・ルルーシュの名画「男と女」を最初に見たのは、確か20歳頃で、仙台の名画座で観た記憶がある。この映画ができたのが1966年だから、10年後のリバイバル上映をみたわけである。

 

フランス・レイの音楽と、何よりもアヌーク・エーメの美しさにたまげた。当時、アヌーク・エーメは34歳、映画では5、6歳の子供がいる母親役で、ほぼ年齢通りの役柄である。当時、20歳の私から見た34歳の彼女の仕草がとても大人びて、セクシーに思え、憧れた。海岸の砂浜を子供と一緒に歩く彼女のムートンコートはとてもかっこよく、これぞフランスのおしゃれと思った。

 

その後、何度かテレビでもこの映画を見たが、数年前にツタヤのレンタルで、「男と女II」という続編があるので、へえと思ったレンタルした。前作の20年後を描いた映画で、公開は1986年であったが、全く記憶にない。この映画撮影の時のアヌーク・エーメの年齢が54歳、前の作品よりさらに美しくなり、セクシーども増している。スタイルもあまり変化せず、いわゆる美魔女という感じである。内容は、映画の中で映画を撮るというイタリアのデシーカー監督のやる手法であったが、全く成功しておらず、印象は弱い。

 

そして昨日、「男と女 人生最良の日々」(2019)を見た。最初の「男と女」から53年、彼女も87歳、共演のジャン=ルイ・トランティニアンはなんと89歳。流石のアヌーク・エーメもおばあさんになった。何よりウエストは2倍になったかと思うほど太っている。それでも見ているうちに、ちょっとしたしぐさに53年前の彼女の面影が思い出し、次第に綺麗と思うようになったのは不思議な感覚である。これは、普通の夫婦にも言えることで、歳をとるとお互い昔の容姿は衰えているが、それでもちょっとした仕草に若かった頃の面影も見つける。

 

この映画では、痴呆になった父親が、しきりに昔の恋人のことを言うので、その息子が恋人、アヌーク・エーメを探し出して、老人施設で会わせる。ところが彼氏、トランティニアンは所々の記憶はあるものの、実際に会いに来た彼女のことを最後まで思い出さないまま映画は終わる。逆にこの年齢で恋が再発すると、かなり面倒なことにもなりかねないので、一方が他方をあまり思い出さない設定の方が、昔の思い出のみに生きるという点ではいいのかもしれない。私も65歳、前期高齢者になると、実際の恋愛よりはむしろ思い出としての恋愛を懐かしむ方が楽しいかもしれないし、今更に恋愛を再開しても、逆に昔のいい思い出を消してしまう可能性もある。

 

映画などを見ていると、美男や美女にある日、彼女や彼が一目惚れして、求愛して付き合うという設定が多いが、こうした設定で言えば、美男、美女でなれば、恋愛はできないことなる。実際、世の中、美男美女はごくわずかしかおらず、多くの人は、映画のような設定で恋愛、結婚するわけではない。むしろ、ちょっとした仕草や話し方、動作の中に可愛いという感情がわき、恋愛感情を抱くのだろう。そうした恋愛のツボは個人により異なるため、美男、美女でなくとも、カップルが成立する。











 

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