2022年12月19日月曜日

北欧好き

 

ブナコボール

フィン・ユールのボウル










私は、どうも北欧のものが好きである。家にある家具のほとんどは北欧のものであり、また北欧の陶器も好きで、あちこちに飾っている。最近は北欧の絵も気になりだし、診療所にはフィンランドの画家、マッティ・ピックヤムサさんの絵を2点飾っている。ごく最近もヤフーオークションで、スウェーデンのモナ・ヨハンソンさんの故郷イエテポリを描いた版画が素敵だと思い、2点購入した。自宅の白い壁に飾ると一気に北欧の雰囲気となった。

 

尼崎にいるとき、鹿児島にいるときは、それほど北欧のものには興味がなかったし、1980年代まで、日本でもそれほど北欧ブームではなかった。1990年頃から雑誌やメディアでも北欧ものが取り上げられ、それが今でも継続している。特に雪の降る、寒い青森に住むようになると、気候的にも北欧と親近感があるのか、ますます好きとなり、一度は行きたい国の筆頭である。

 

実は、北欧と日本は大きな関係があり、1900年頃までデンマークなど北欧各国の家具はヨーロッパの中でも安い製品で、また格別に陶器が盛んなところでもなかった。デンマークでいえば、1920年頃から国を挙げてデザインを重視する政策をとるようになり、コーア・クリントやヤコブセンなどのデザイナーが登場して、今に残る名作家具を作った。ちょうどヨーロッパを中心としてジャポネズムが浸透していった時代で、フィンランドのデザイナー、建築家のアアルトの設計した家にも多くの日本的要素を残す。グナー・ニールンド、ベルント・フリーベリなどの北欧陶器作家にとって、日本の陶器は憧れであった。彼らの小ぶりのボウルは、日本の茶会でも使われることがあるほど、日本の生活と馴染む。映画でいうと、日本でも人気のあるフィンランドのアキ・カウリマスキー監督の最も尊敬するのは小津安二郎で、彼の作品の随所に小津の影響を見る。

 

このようにヨーロッパの端、北欧とアジアの東端の日本とは、意外に親和性が高く、お互いの文化を愛し、尊重している。青森でも、ブナの木を薄く削いで、それを樹脂で固めた「ブナコ」という名産物があるが、これは意外に北欧ぽい雰囲気をもつ。ブナコの大きなボウルなどは、本家のフィン・ユールやカイボイソンがデザインした木製ボウルよりよほど北欧のものに近い。また大きな木を掘ったボウルより、ブナコの方がよほどエコで、地球環境に優しい。できれば北欧の家具メーカー、例えばフリッツハンセンなどの業務提携し、ブナコの技術は一社だけでなく、もっと多くのメーカーに使って欲しい。

 

スウェーデンで最も愛される果物は、りんごであり、青森と同様、各種のアップルパイがある。同じようにデンマーク、フィンランド、ノルウェイもリンゴを生産している。寒い地域の果物といえばりんごになるのだろう。これらの国ではリンゴを使った伝統的な料理、菓子があり、それも青森に似ている。フィンランド人のジョークに「内向的なフィンランド人であれば、人と話すときに自分の靴を見る、外向的なフィンランド人であれば、人と話すときに相手の靴を見る」とあるほど、恥ずかしがり屋で無口だそうだが、東北人、青森人にも同じようなところがある。

 

デンマークでは「Hygge  ヒュッゲ」という言葉がり、“居心地の良い雰囲気や時間”を指す言葉で、現在、世界的なブームとなっている。コーヒーテーブルで好きな本を読む、友人や家族と楽しい団欒をとる、自然の中で散歩するなど、贅沢ではないが、豊かな楽しみをすることである。自然環境も北欧に近い青森県で最も欠けているのが、このヒュッゲという感覚で、雪を嫌なものと見るか、美しく、楽しいものと見るかは、心も持ちようで、どうも青森人は、ネガティブ思考で、雪は嫌い、田舎は嫌い、寒さは嫌い、幸福度ランキングでも青森県は全国で40位、沖縄県が1位となっている。世界で見ると幸福度ランキング1位はフィンランド、続いて2位はデンマーク続き、5位にデンマーク、7位にスウェーデンと北欧各国が上記に入っているが、日本は62位とかなり低く、その日本の中でも青森県は幸福度が低い。

 

青森県は全国で一番の短命県で、平成27年度の調査で男子は78.7歳、女子は85.9歳(2015)と嘆いているが、最も幸福度の高いフィンランドの平均寿命は男子が77.7歳、女子は83.7歳(2012)で、むしろ青森県の方が長生きする。健康は最も大事であり、青森人ももっと幸せを感じても良さそうである。


0 件のコメント: