2023年5月18日木曜日

もし日本が戦前の軍事国家だったら

 



北朝鮮からのミサイル発射に対して、何ら有効的な対策をしていない政府に不満な人も多い。朝っぱらから、緊急警報、ミサイルが落ちてくるかもしれません、避難してください、これはもはや戦時的な状況で、もしアメリカで同じようなことが頻回にあれば、軍が何らかの対策をするのは間違いない。逆に言えば、日本政府は舐められ、好き勝手にされているのだろう。もし仮定の話であるが、日本が、戦前の日本軍、あるいは現在のアメリカ軍並みの交戦的な国であったら、現状に対してどんな行動をするであろうか。

 

まず前提としては、日本がアメリカの友好国、中国、ロシアに敵対していて、核兵器、戦略ミサイル、原子力潜水艦、空母を保有している。まずウクライナ戦争に関しては、もちろん武器輸出については全く抵抗がないので、戦車や武器の供給は早くからしただろう。さらに手薄になったロシア極東軍を牽制するために、サハリン、国後など北海道北方方面で、大規模な陸海空軍の演習を行い、場合によっては北方領土奪還の素振りを見せるだろう。そうなるとロシア軍もウクライナ戦線に極東軍の兵員を割くことができず、結果的にウクライナの利となる。同様に、ロシア、中国の領海付近に頻回に爆撃機、戦闘機を進出させ、空軍の通弊を狙うだろう。特に中国は沿海部が長いため、空中給油機を使い、あちこちに進出するのも良い。今の自衛隊がロシア、中国からやられていることをそのままお返しするだけである。相手がすれば、こちらも同様なことをするというのは戦前の日本のやり方である。

 

北朝鮮については、まず発射されたミサイルはすべて迎撃して破壊する。その上、これ以上、発射すれば、発射場を破壊すると警告し、無視したなら巡航ミサイルで叩く。日本を核攻撃すると脅すなら、即座に一発でも攻撃するなら100発攻撃して北朝鮮を殲滅すると脅し、実際にそうする。さらには中国を牽制しながら、韓国と共同して、北朝鮮への武力侵攻を図るであろう。

 

中国についても、空母が出航すれば、原潜を張り付かせ、いつでも撃沈するという脅しを加えるとともに、爆撃機、戦闘機を周辺に飛ばし、脅かす。もちろん尖閣諸島については、レーザーサイト、ミサイルで要塞化し、領海を超える中国漁船については武器を使用し、追い出す。南沙諸島についてもフィリッピン、台湾とともに、戦闘機、艦船、原潜にて中国本土と南沙諸島の中国基地との繋がりを分断する。実際に、日本が10隻の正規空母と10隻の攻撃型原潜、10隻の戦略原潜を持っていれば、こうしたことも可能であろう。

 

昭和初期から終戦までの軍費は、国家予算の7から9割で、それを現在に換算すると、110兆円の7から9割で90兆円となる。アメリカの軍事予算が100兆円くらいなので、ほぼ同額となる。ものすごい額であるし、2023年度の日本の国防費が68000億円、アメリカの1/15なので、その凄さがわかる。日本も年間90兆円も使えば、上記のような戦前並みの軍事国家ができるだろう。

 

とまあ過激な妄想を述べたが、逆に言えば、日本の周囲、ロシア、北朝鮮、中国、アメリカはこのやり方であり、彼らの論理に従うなら、こうしたやり方も正当化できる。日本が戦争、あるいはそこまで行かなくても騒乱を体験したのは昭和20年、1945年以来、78年間ない。これは西暦1000年以降の日本の歴史においても、大塩平八郎の乱を騒乱と見做すなら、二つのアイヌ騒乱、シャクシャインの戦い(1669)からクナシリ・メナシの戦い(1789)の120年間に、続く長い平和であることは以前のブログで述べた。敗戦国、ドイツでも1992年のカンボジアを皮切りに、1999年のコソボ紛争では空爆に参加、2001年にはアフガニスタンに1200名の兵を派遣、さらにコンゴ、レバノン、ソマリア、シリアの紛争などに参加している。イタリアも、1982年のレバノン内戦に介入したのを皮切りに、欧州連合の一員として多くの軍事作戦に参加している。ドイツ、イタリア、日本は第二次世界大戦敗戦国であっても、もはや戦争作戦の参加を拒否できず、80年近く続く日本の奇跡的な平和の時代もこれまでなのかもしれない。

 こうした中、世界でも優秀と言われる自衛隊であっても、その主力兵器、国産兵器のほとんどは、一度も戦闘に使われておらず、またトップから末端まで誰一人、それも80年近く戦争経験をしたことがない。組織として、いざ戦争となると、これは大きな問題になる。できれば極秘でもいいのでウクライナ軍の作戦中枢に正式な自衛官を潜り込ませてほしい。近代戦を習う絶好の機会であり、おそらく欧米各国は武器供与の引き換えに、多くの将兵を実践経験させていると思う。備えあれば憂いなし。これは実際の近代戦を習う絶好のチャンスである。余っている74式戦車数十両をウクライナに送れるだろう。それを口実に指導自衛官を送り込む手はある。

0 件のコメント: