2023年12月4日月曜日

日本は骨董のいい作品が残っている国である

 

      今度、アメリカのシンシナティ美術館で展示されることになりました。寄贈品




大阪商業大学の明尾圭造教授は、室町、江戸の書画が驚くほど安く買えるの世界でも日本だけと言っていた。流石に、画については平安、鎌倉時代のものは少ないし、高価であるが、書、写経であれば、天平、平安、鎌倉など700年以上前のものがヤフーオークションなどで安く手に入る。画についても江戸時代中期以降、すなわち300 年前くらいになると、今でも残っている画が多く、それほど高くない。さらに江戸後期から明治になると、掛け軸が豊富に残っている。300年前となるとフランスはロココ芸術が盛んな時期で、当時の油画などは今でもかなり高く、数千円で買えるようなものはない。それでも欧米にはまだ古いものが残っているが、東洋となると、まず中国は、多くの戦乱、近代で言えば、清朝の滅亡した、辛亥革命、支那事変、さらに文化大革命などで多くの文化財が消失した。もともと中国は帝王を中心とする絶対性であり、優れた文化物は中央に集まる仕組みであり、大商人が趣味で文物を集めても、まず商売が上手くいかないと散逸するし、また戦乱によっても消失することが多い。同様なことは朝鮮にも当てはまり、李朝朝鮮の崩壊、朝鮮戦争などでよりあらかた古い文物はなくなってしまった。アジアでは日本だけが、江戸以降平和な時期がずっと続き、唯一、太平洋戦争以外に大きな戦乱がなかった

 

もともと古いものを残すには、高い知性が必要となる。火事や戦乱にあっても真っ先に文物を持って逃げなくてはいけないし、掛け軸で言うなら、湿気の多いところに置いておくとカビだらけになるし、雨漏りによって掛け軸にシミがつくこともある。さらに表装自体が、少なくとも数十年ごとには新たな表装が必要となる。桐の箱に入れて、風通しの良い、日の当たらないところで保存していかなくてはいけないし、たまには虫干しも必要となる。紙あるいは絹を主体とする画材に描かれた絵をずっと保存するのは美術館でも難しい。ヨーロッパで言えば、もともと貴族を中心とした上流階級で絵をコレクションする流れがあり、そうしたコレクコションの一部が美術館に寄贈されて、現在に残っている。一方、日本では、絵の購入者は、まず大名、寺院、そして有力な商人であり、これらがパトロンとなって画家を育てた。そして家宝として代々、受け継がれて今に至る。ごく普通の家でも代々受け継がれるものがあり、例えば私の実家にある仏壇の位牌も少なくとも300年以上経つ。

 

古いものを尊び、保存するのは、最近は注目されているが、日本では昔からこうした国民性があったように思える。もったいないというだけでなく、先祖伝来のものを次に世代に残すという風潮があるように思える。こうした風潮は、世界的に見てもそれほど一般的なものではなく、むしろ古くなったら捨てるというのが普通である。それも大事にして綺麗に保存している。スマホにしても日本人の多くは、ケースに入れて、画面も保護フィルムをつけているので、中古でも本体は新品そのものであるが、外国ではそうした綺麗に使う習慣はなく、日本の中古のスマホはコンデションが良いとわざわざ買いにくる外国の方も多い。

 

「開運 なんでも鑑定団」がスタートしたのは1994年からなので、すでに30年近くなるが、この番組も日本のお宝を救うキッカケになっている。日本の骨董というと、書画、茶器が中心であったが、この番組のおかげで、玩具、アニメ、漫画、スポーツグッズなどの新たな骨董分野ができた。

 

こうした古いものが今でも保存状態の良い状態で残っているのは、日本は貴重な存在であり、外国の方からすれば、そうした点でも魅力ある国なのであろう。明治時代の浮世絵画家の1人に揚州周延という人がいる。明治時代の西洋風の新しい文物を浮世絵の中に扱っており、面白い版画となっている。アメリカでも人気のある浮世絵画家であるが、ヤフーオークションで5千円から1万円くらいで、コンデションの良い作品が手に入る。アメリカ、台湾の友人、数名にこれを贈ったが、大変喜ばれた。花鳥画などのいいお土産になると思うので、海外の友人の多い人はヤフーオークションで、江戸、明治時代の掛け軸、版画を見てほしい。結構素晴らしい作品が見つかるはずで、こうした作品をプレゼントにすれば、大変喜ばれるので、試してほしい。

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