2024年8月1日木曜日

中国による台湾侵攻

 



近年、中国軍による台湾侵攻の噂が喧しくなっている。まず台湾を海上封鎖し、その後、ミサイル攻撃、上陸、侵攻、占領まで一週間程度の短期で制圧可能であるという。もちろんこれはあくまで最速の可能性であり、通常のシュミレーションの結果はこんなに早期に台湾を占領できるものでない。同時に台湾有事に日本が巻き込まれるという声もかなり聞くようになった。台湾侵攻にあたって、後方基地となる沖縄、宮古などの南方の島々に攻撃をかけるという。結論からすれば、日本領土を攻撃するというのは、自衛権から自動的に日本と中国の戦争となり、日米安保条約で、これはアメリカとの戦争ということになる。さらにいうなら日本への攻撃は、単にアメリカの参戦だけではなく、イギリスやフランス、ドイツなどの西側諸国の参戦を招き、ある意味、中国対世界という図式となるため、流石に日本領土への攻撃はない。

 

一方、中国が台湾に侵攻した場合、日米が直接的に助けるかというとこれも、兵、艦船、軍用機を出して参戦することは、世界戦争になることを意味する。ウクライナ戦争は、こうした場合の例として現実的となった。つまり中国が台湾に侵略しても、日米欧は直接、軍を派遣することはしないで、金と情報、軍事品による援助を行う。直接、戦うのは中国軍と台湾軍であり、それに日米欧が助けるという構図である。

 

ウクライナの場合でも、欧米の軍事支援のルート、ウクライナ西側、ポーランドからのルートについてロシアは全く攻撃できず、ほぼ自由に武器、弾薬が入ってくる。一方、台湾の場合は、陸続きの国はなく、四方が海に囲まれているので、侵略する方も大変であるが、支援する方も船による運搬ということなる。少なくと、日本から台湾への海上ルートの安全が確保されていないと、武器弾薬の支援ができない。ここでまた日清日露戦争以来の問題、中立国の船舶は攻撃できないが、捜索、捕獲を命じることができる点であり、いきなり攻撃して沈めればこれは第二次世界大戦下における無差別攻撃、そして日米欧の参戦を招く。少なくとも台湾の東側の海域のルートの安全性を台湾軍が確保することが重要となる。逆に言えば、このエリアの海域の制海、制空圏が得られれば、まず軍事力の点で、いくら巨大な軍事力を持つとはいえ、日米欧の軍事支援に勝ち目はなく、それは同時にロシア同様の中国の国力の急速な低下を招く。

 

そうした意味では、台湾東側海域の確保が最重要課題であり、その決め手はズバリ潜水艦である。最近、台湾は3000トン級の潜水艦を自主開発し、完成させた。ゆくゆくは14隻の新型潜水艦ができるというが、そうなるとこうした最新鋭の潜水艦に対抗できる哨戒能力は中国軍にないため、台湾東側海域の制海権を台湾がリードすることなる。もちろん、海に囲まれた台湾を侵攻するためには、本土から台湾へ多くの物資、兵士、兵器を送り続けなくてはいけないが、現行の中国海軍の能力では、台湾の高性能の潜水艦を捕えきらず、多くの犠牲を出すのは間違いない。

 

この潜水艦については、まずベースはイギリスの協力ででき、そこにアメリカ、韓国、オーストラリアなどが関係しているという。日本は中国政府の反発を懸念して協力はしていないというが、通常型の潜水艦では日本は世界一の技術力を持っているので、潜水艦技術の要である溶接技術は日本人技術者が教えたようだ。さらに射程400kmの地対艦ミサイルも配備が進められ、アメリカ軍がフィリピンから早期警戒管制機を飛ばせば、台湾東部から発射された地対艦ミサイルもかなりの損害を与えるであろう。日米欧も中国の台湾への侵攻を防ぐため、そのミリタリーバランスを保つ努力をしている。

 

現在、台湾が保有する新型潜水艦はたった一隻、早急の造艦が望まれる。旧軍であれば、中国にとって一番嫌なことをやるだろうから、おそらく日本の新型潜水艦、「たいげい」型を輸出するであろうが、これは流石に露骨なので、潜水艦製作の要、鋼材、溶接技術、さらに中国艦船、潜水艦の音紋などの情報など、裏ベースで供給していけば良い。台湾の西側の海は深度が浅く、潜水艦は隠れることができないが、一方、東側の海は深度が深く、潜水艦の待ち伏せ攻撃では最高の場であり、ここに多くの潜水艦を張りつかせば、中国の船は入っていけない。東側の運搬ルートが確保できれば、いくらでも軍事支援ができるので、中国とて台湾に勝てず、最終的には今のロシアと同じようになる。すなわち世界から孤立した貧困大国となる。おしまいである。同時に中国侵攻の物資輸送ルートになる台湾の東側海域は大陸棚の浅い海で、ここでは潜水艦は活動しにくいが、絶好の機雷戦を行えるところであり、もし自衛隊の引退したPCなどを供給できるなら機雷敷設に活用でき、中国にとりかなりの脅威となる。

 

ウクライナ戦争こそが、中国の台湾侵攻への一番の抑止力となっており、現状として中国による台湾侵攻もないし、それに日本が巻き込まれる可能性もない。


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