アメリカでは歯のウィッグと呼ばれるSnap-on smileというものが、人気があるようです。これは歯を削るとかの一切の加工をせず、直接、薄い入れ歯のようなものを口に装着するものです。お口の型を取り、コンピュータ上で、きれいな歯並びを設計し、それを基にしてSnap-on smileを作ります。
こういったものは以前からもありましたが、使用用途が限られていて、パーティーのオモチャ、吸血鬼ドラキュラになる、さんまさんの物まねをするといったものでした。いかにも付け歯というものです。
最近のものは、色合わせもよく、かなり精巧にできています。それでも天然の歯のような質感は難しいでしょう。さらにこれを作ってどんな場に使うか、かなり抵抗があると思います。友人と会う時に使うとなると、変に思われるし、笑われることでしょう。全く面識のない人と会う時にしか使えないでしょう。
それでも暫間的に使用する場合、矯正歯科で言えば、先天欠如歯のあるような場合は使えそうです。これまで床タイプの保定装置に人工歯を付けて、使ってもらっていましたが、主流である透明な保定装置では使えませんでした。当院では透明な保定装置は、3日間は終日、その後は8時間使ってもらっていましたが、snap-on smileタイプの保定装置であれば、日中に保定装置を使ってもらい、夜間はずしてもらっていいわけです。2,3年たって落ち着いたところで、インプラントやブリッジに変更すればいいと思います。
矯正用となると、アメリカの矯正器材屋のリライアンスという会社のPerfect- A-Smileというものがあります。どういったものか、動画からははっきりしませんが、従来の透明の保定装置にレジンというプラスティックの充填材料を中に入れたもののように思えます。模型に欠損している歯を人工歯で仮におき、それを用いて、ヴァキュウムで透明の保定装置を作り、人工歯の部分にこのレジンを詰めるようです。通常の充填用のレジンでもできそうなので、症例をみて作ってみたいと思います。
この透明な保定装置は、中に漂白剤を入れることで、歯のホワイトニングもでき、ここ数年、私のところでも、ほとんどの症例にこの保定装置をつかっています。この傾向は世界的なもので、かって日本臨床矯正歯科医会の調査でもそうでしたし、アメリカ矯正歯科学会雑誌の論文でもそうでした。
従来型のものでは、半年終日使用してから、夜間使用でしたが、この透明な保定装置では3日間、終日使用、その後は8時間使用ですし、何より全く見えないことから、患者さんには喜ばれます。こちらも製作が極めて容易ですので、ほぼ8割の患者さんに使っています。ただ前歯が開いている開咬やかみ合わせの逆の反対咬合の症例では一部、従来型のものを使っています。
矯正用のインプラント(アンカースクリュー)やこの透明な保定装置のようなものは、それこそあっという間に臨床に普及します。逆に臨床医になかなか普及しないような材料は、あまりいいものではないのかもしれません。
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